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【銘柄紹介】Teslaってどんな企業?

出典:テスラ

世界的な自動車企業「Tesla(NASDAQ:TSLA)」。

ガソリン車やディーゼル車を生産せず、電気自動車のみの生産にコミットし、各自動車市場のEV車移行を促しているTeslaは、いつかはトヨタ自動車とのトップ交代があるのではとも囁かれています。

本記事ではTeslaの基本情報やセグメント、業績について解説します。投資対象を見つける際は、ぜひ参考にしてみてください。

基本情報

まずは、Teslaの基本情報をご紹介します。

  • 本社…カリフォルニア州パロアルト
  • 創業者…マーティン・エバーハード氏とマーク・ターペニング氏
  • 創業年…2003年
  • 現在のCEO…イーロン・マスク氏
  • 上場市場…NASDAQ (シンボル:TSLA)
  • 時価総額…1,635億700万ドル(2020年6月3日現在。Yahoo!ファイナンスより)
  • 決算日…12月31日
  • 発行済株式数…1億8,551万株(2020年6月3日現在。Bloombergより)

Teslaは、世界最大級の電気自動車メーカーです。

自動運転技術の開発も進めています。

世界の自動車メーカーにおける時価総額ランキング第2位を誇っていて、第1位はもちろん、日本が誇る世界的な自動車メーカーのトヨタ自動車です。

TeslaはドイツのVolkswagen(フォルクスワーゲン)に次ぐ第3位だったのですが、2020年1月22日に時価総額1,000億ドルという大台を突破して、第2位に君臨しました。

きっかけは、初めて米国外に建設した工場「Gigafactory Shanghai」で、工場建設着工後約11ヵ月後にTeslaが生産する自動車モデルの1つ「モデル3」の本格的な生産が開始し、株価が大きく上昇したことにあります。

2020年6月3日現在で、トヨタ自動車との時価総額の差もかなり縮まってきているため、トヨタ自動車の背中を追いかけるTeslaの動向には日本の投資家も注目するべきポイントです。

ちなみに現在のCEOイーロン・マスク氏は、かつて投資家としてTeslaに出資をしていた人物です。

2008年から経営に参加するようになり、現在に至ります。“人類を火星に移住させる”という発言で話題となりました。

Teslaの事業セグメント

Teslaは電気自動車メーカーである傍ら、太陽光発電事業なども展開しています。よって、事業セグメントは大きく以下の2つに分かれています。

  • 自動車
  • エネルギー生成・蓄積

自動車部門

1つめは、自動車部門です。

Teslaのブランド電気自動車の設計・開発・製造・販売・リースなどをおこなっています。

販売後は保証アフタサービスを提供したり、下取りした車を中古車として販売するサービスを提供したりしています・

Teslaが生産する電気自動車には、以下のようなモデルがあります。

  • モデル3
  • モデルY
  • モデルS
  • モデルX
  • Cybertruck
  • テスラセミ(商用電気自動車)

Tesla以外にも電気自動車を生産している自動車メーカーはありますが、圧倒的に上記モデルが人気です。また、自動車部門の収益源は以下の3つに分かれます。

  • 自動車販売:新車の売上や充電の従量課金、特定顧客への再販価格保証もしくは類似の買い戻し条件の提供
  • 自動車リース:オペレーティングリースで会計処理するリース取引の収益
  • 自動車サービスその他:アフターサービスや中古車販売、小売商品の売上

エネルギー生成・蓄積部門

2つめは、エネルギー生成・蓄積部門です。住宅や中小企業、家庭向けに太陽光発電システムや蓄電システムの販売をおこなっています。

基本的に顧客は、全額を前払いしてシステムを購入します。

また、これらシステムのリースもおこなっています。

2016年にTeslaが26億ドルで太陽光発電会社のSolarCityを買収したことにより、Teslaにおいて大きなビジネスを担うこととなったのです。

業績

では次に、Teslaの業績を見ていきましょう。出典は「投資家」ページです。

(図1)

図1は、売上高と当期純損失のグラフです。

実はTeslaは、年々売上高が増加しているものの、通期で見ると創業後1度も黒字になったことがないという懸念点があります。

とはいえ、2017年以降は徐々に当期純損失が少なってきています。四半期単位で見ると黒字になることもあるため、2020年通期決算では初の黒字が見込めるかもしれません。

現在、黒字に転じるかそうでないかの狭間にいて不安定である分、何か自動車業界やTeslaに関する悪いニュースが報じられた際のダメージは大きいかもしれません。

株価が下落しやすい点には注意しましょう。

(図2)

図2は、売上高と売上原価、粗利益率を示したグラフです。

粗利益率は15%以上を確保しており、この時点では黒字であることがわかります。

そこで次は、気になる営業利益(営業損失)を見ていきましょう。

(図3)

図3からわかるとおり、年々営業損失が出ているようです。

とはいえ、図1と同様年々損失額は小さくなっているので、このまま売上高が伸びてくれれば黒字に転じるのも時間も問題でしょう。

(図4)

図4は、売上高内訳のグラフです。

年々売上高が増加していることによって黒字幅が小さくなっていますが、自動車販売の売上が大きく寄与しています。

具体的な要因として、モデル3の販売が好調だったということが挙げられます。

そこで、自動車メーカーの業績を把握するのに欠かせない、車両の販売台数を見てみます。

(図5)

2019年通期の車両販売台数は36万7,656台と、過去最高を記録しています。

2018年通期から約50%も増加しており、売上高増加に大きく寄与しました。

しかし、電気自動車の販売において低価格モデルを導入したため、一部相殺されているようです。

また、もう1つ図4における自動車販売の売上高を押し上げた要因として「クレジット販売」があります。

米国の一部の州では、「ZEV規制」というものが実施されているのをご存知でしょうか?

「ZEV」とは、環境に良くない排出ガスを一切出さない電気自動車や燃料電池車のことです。

カリフォルニア州を発端として実施されるようになったZEV規制では、一定台数以上の自動車を販売する自動車メーカーは、その一定比率(2020年は16%)をZEVにしなければならないということが定められています。

もちろんTeslaが販売している自動車はすべて電気自動車なので、ZEV規制には引っかかっていません。

しかし、ZEVの比率が16%を満たしていない自動車メーカーが存在することも事実です。

そこでTeslaなどのZEV規制に引っかかっていない自動車メーカーは、引っかかっているメーカーに対してZEVの余剰分(クレジット)を販売し、その対価を収益とすることができます。

この収益が「クレジット販売」で、通常通り電気自動車を販売するだけで得られるため、コストもかからず非常に効率の良い収益源なのです。

今後もTeslaのクレジット販売収益は増加する可能性が高いので、安定した収益基盤を確保できているという点は大きいでしょう。

(図6)

図6は、地域別売上高のグラフです。

主要な売上先のうちノルウェーは、2025年までにヨーロッパで最初にガソリン車やディーゼル車の販売を禁止する国となることを目指しています。

さらに電気自動車については免税措置がとられたことで、現に渋滞や大気汚染も緩和されるなどメリットが目に見えている国なのです。

競合他社のVolkswagenはノルウェーについて“2025年には自動車市場の電気自動車シェアが100%に達するだろう”との見込みを示しているほどで、今後もノルウェーは重要な収益源となると考えられます。

また、中国での売上高も、2019年通期に大きく増加しています。大気汚染がかなり深刻化しているため、電気自動車の導入は必要不可欠です。

そこでTeslaは、2019年12月末に上海に建てた海外初のTesla製造工場「Gigafactory Shanghai」で生産が開始しているモデル3に、低コストかつ長寿命のバッテリーを2020年内もしくは2021年初めごろに採用する計画を発表しています。

このバッテリーの採用がうまくいくと、高価なイメージのある電気自動車をガソリン車やディーゼル車と同じくらいの価格で販売しても利益が出るといわれており、実現すればTeslaは電気自動車メーカーとして大きな地位を築くことができるでしょう。

(図7)

図7は、キャッシュフローのグラフです。2017以前まですべてがマイナスだったキャッシュフローが、2018年に入り大きく改善を見せています。

ちなみに2019年通期の投資CFは、Gigafactory Shanghaiの建設や現地でのモデル3生産、太陽光発電システムの設計・設置に費やされました。

上記でも述べたように、中国は電気自動車の導入が重要視されているので、Gigafactory Shanghaiの生産力向上には今後も大きく尽力していく様子です。

設備投資が売上を弾ませる要因となれば、投資家としても喜ばしいですね。

新型コロナショックのダメージは回復傾向

株式市場に大きなダメージを及ぼした新型コロナウイルス感染症の感染拡大。

Teslaの株価も図8からわかるとおり大きく下落しましたが、今や新型コロナショックが起こる前の水準まで全回復しているのです。

(図8)

本来ならTeslaも、店舗販売や営業販売をおこなっているので、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による事業の制限は大きな打撃となったはずです。

ですが、Teslaには“ネット注文が主流”という新型コロナショックに立ち向かえる大きな強みがあるため、外出自粛によるネット利用の増加はTeslaにとって良い方に転びました。

ネット注文では自動車のカラーはもちろん、スペックやオプションを選択して自分流にカスタムすることができるので、ほとんど不自由はありません。

ネット注文が主流ではない他社自動車メーカーと比べると、新型コロナショックによる影響は小さいと投資家が判断し、株価が元の水準にまで回復した可能性があります。

企業の明暗を受ける新型コロナショックでしたが、Teslaの強みが大きく発揮された機会となりました。

今後のカギは3大陸にまたがる生産台数拡大

Teslaは2020年通期の目標として、3大陸にまたがる生産台数の拡大を掲げています。拠点は、以下3カ所の工場です。

  • カリフォルニア州のFremont工場
  • 上海のGigafactory Shanghai
  • ドイツのGigafactory Berlin

Fremont工場では、予定を前倒しして2020年1月からモデルYの生産が開始しています。

モデル3と合わせて40万台生産できるまで年間生産能力を高めるという目標を設けており、さらに設備を整えて最終的には年間50万台の生産を目指すとのことです。

モデルYは、モデル3をコンパクトにした電動SUVとなっていて、すでにモデル3の売上が好調である米国市場にどう踏み込めるかに注目が集まります。

また、Gigafactory Shanghaiでは、モデル3を年間で15万台生産することを目標としています。

バッテリーの生産を現地でおこなうことができればより生産率が向上し、競合が多い中国の電気自動車市場でも競争できる価格での製品販売が可能になる見通しです。

さらに中国でのシェアを占めることができるかに、注目が集まります。

最後のGigafactory Berlinについては、ヨーロッパ市場に向けた販売のために2021年7月の稼働を目指して現在建設中の、Tesla4番目の工場です。

Teslaが2020年1月22日に時価総額を追い抜いたVolkswagenの地場市場で競争を挑むことになります。

2020年以降、これら3工場でいかに費用対効果の高い大量生産ができるかどうが、Teslaの業績を左右するのではないでしょうか?

まとめ

本記事では、Teslaについてご説明してきました。

自動車業界で時価総額トップの日本企業トヨタ自動車に次ぐ、時価総額第2位のTeslaが製造する自動車は100%電気自動車です。

各国から大人気のTeslaの自動車は、今後もさらに各地で生産台数を増やしていくため工場での生産効率化が図られています。

ここ数年損失額が小さくなり売上高も増加傾向にあるため、順当にいけば、2020年通期の黒字転換も見込まれるかもしれません。

黒字に転換し収益性が安定してきた際には、生産台数などの動向を見たうえでTeslaに投資をすることを検討してみてはいかがでしょうか?

免責事項と開示事項 記事の作者、タナカチアキは、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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