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【米国個別株動向】エヌビディアの短期的な懸念点と長期的な収益機会

出典:Getty Images

モトリーフール米国本社、2018年12月8日投稿記事より

NVIDIA(エヌビディア、ティッカー:NVDA)は、グラフィックス関連技術に強みを持つGPU(グラフィックス・プロセッサー)などの製造を手掛ける企業です。

同社の株価は、直近の決算発表以来、急落しています。

前四半期、売上高は前期比年率21%増、純利益は年率47%増と、わずかに市場予想を下回ったものの、決して悪い内容ではありません。

しかし、同社の出したガイダンスが、投資家の悲観的な見方を呼び、株価の急落につながりました。

ガイダンスの内容は、第4四半期の売上高が前年同期比で7%減少するというものです。

当初、市場では17%の増加が予想されていたため、投資家はNVIDIAの将来の見通しに不安を抱き、パニック売りが起こりました。

決算発表後の株価の下落は約20%にもおよびます。

しかし、このようなパニック売りを浴びせた投資家は、大事なポイントを見逃しています。それは長期的な視点です。

NVIDIAは短期で投資すべき銘柄ではありませんし、好調な業績を取り戻すのは、それほど遠い未来ではないでしょう。

筆者がそう考える理由をご説明します。

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エヌビディアの短期的な懸念点

PCゲーム事業は、NVIDIAの総売上高の55%以上を占める、同社で最大の事業分野です。

したがって、この分野での業績が、同社全体の業績に大きな影響を与えることになります。

ここ数四半期にかけて、PCゲーム事業は飛躍的な成長を遂げました。

その要因の一つが、仮想通貨の採掘(マイニング)による特需です。

仮想通貨のマイニング業者によるグラフィックス・カードの需要は非常に大きく、GPUの供給不足を引き起こしました。

その結果、GPUの価格は急上昇し、NVIDIAをはじめとしたGPUメーカーは大きな利益を上げました。

NVIDIAの中で、仮想通貨関連事業が占める割合は4.5%程度でしたが、一部のGPUは定価の2倍以上で取引されるなど、業績に好影響を与えました。

しかし、仮想通貨の価格が急落しマイニング業者の勢いが下火になったことで、この特需が終わりを迎えるのは時間の問題でした。

さらに、単に需要が減少しただけでなく、それまで買い手だったマイニング業者がグラフィックス・カードを低価格で市場に放出したことで、グラフィックス・カードは供給過剰状態となりました。

コレット・クレCFOは、11月中旬の第3四半期決算発表において、グラフィックス・カードの供給過剰とゲーム事業の不調について、以下のように述べました。

ゲーム事業の売上高は、目標額を下回りました。

また、第4四半期も、中価格帯のグラフィックス・カードの供給過剰が業績に影響を与える見通しです。

しかし、これは短期的な問題であり、1~2四半期で供給過剰は解消するでしょう。

私たちは引き続き、わが社の競争力と市場の収益機会に自信を持っています。

たった1~2四半期続くだけの逆風のために、NVIDIA株を売却するのは合理的な判断だといえるでしょうか。

同社の成長性を詳細に調べてみると、短期的な視点しか持たない投資家は大きなチャンスを逃してしまうと思われます。

長期的な収益機会

PCゲーム事業が、同社の復活の鍵となるでしょう。

CFOのコメントにあった通り、仮想通貨ブームの終焉に伴い、中価格帯のグラフィックス・カード の需要は弱くなっています。

ですから、グラフィックス・カードの在庫が正常な水準に達するまでは、GPUの出荷を抑えることになるでしょう。

つまり、提携するグラフィックス・カードメーカーが保有する“パスカル”搭載GPUのグラフィックス・カードの在庫処分が進むまでの数四半期は、NVIDIAはGPUを出荷せず待機するということです。

“パスカル”とは、同社が以前開発したグラフィックス・アーキテクチャー(映像設計技術)で、NVIDIAは今年、“パスカル”に代わる最新のアーキテクチャー“チューリング”を発表しました。

“パスカル”搭載GPUのグラフィックス・カードの在庫が正常な水準に戻れば、NVIDIAは最新の“チューリング”搭載GPUを展開することができるようになります。

NVIDIAはすでに、高価格帯の20シリーズから3種類の“チューリング”搭載GPUを展開しています。

小売価格999ドルのRTX 2080 Ti、同699ドルのRTX 2080、同499ドルのRTX 2070です。

同社のラインナップのうち、中価格帯の製品は、2年以上前に販売開始した”パスカル”を搭載したものです。

したがって、既存の中価格帯製品は、間もなく製造停止される可能性があります。

フール・ドットコムの最近の記事によれば、NVIDIAのジェン・セン・フアンCEOは「“チューリング”搭載GPUを、わが社の主力商品とし、より多くのゲーマーに使っていただきたい」と考えている一方で、「“チューリング”発表以前から大々的に販売されていたため」現在同社で最も売れているのは“パスカル”搭載の製品だそうです。

“パスカル”搭載の古いモデルの在庫がなくなれば、NVIDIAの製品ラインナップは生まれ変わるでしょう。

同時にグラフィックス・カードの流通市場でも、古いモデルの在庫がなくなるにつれて、新しいモデルの取引数増加が期待されます。

これにより、“パスカル”から“チューリング”への切り替え需要が見込まれ、NVIDIAにとっては大きな成長のチャンスとなります。

NVIDIAがこれまで販売したGPUのうち、“パスカル”搭載のものは30%となっています。

“パスカル”は旧型のアーキテクチャーであるため、ゲーマーの多くは古いグラフィックス・カードを使用しているということになります。

一方で、最近のPCゲームは、リアル感を追求するため、レイ・トレーシングなどの最先端の技術を取り入れています。

PCゲームの映像技術が高度化するにつれ、古いカードの性能では処理できなくなり、より高性能なGPUにアップグレードする必要があります。

このような“パスカル”から“チューリング”への切り替えが実現すれば、NVIDIAの業績にポジティブであるのは間違いないでしょう。

長期的に見れば、同社のゲーム事業の復活に期待が持てるのではないでしょうか。

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