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スペースXの有人飛行成功と一部事業のテクノロジー・コープ上場の可能性について

スペースXは現在、全米で最も注目されている起業家イーロン・マスク氏が率いる宇宙ベンチャー企業です。

年々破竹の勢いで成長を続けており、現在、民間宇宙企業のトップランナーといって間違いないでしょう。

そして今回は初の民間宇宙飛行に成功したスペースXの「クルードラゴン」と一部事業の「テクノロジー・コープ」の株式上場の可能性について考察していきます。

スペースXの宇宙船「クルードラゴン」成功の凄さとは何か

民間企業として初めて有人打ち上げを成功したのがスペースXの宇宙船「クルードラゴン」です。

NASAが資金提供する「商業クルー開発(CCDev)」よってスペースXが開発し、貨物を輸送する「カーゴ・ドラゴン」とあわせて「ドラゴン2」とも呼ばれています。

そのミッションはNASAの宇宙飛行士2名を国際宇宙ステーション(ISS)に運搬することであり、2020年5月31日に見事ドッキングに成功しました。

これについてトランプ大統領は「米国の新たな時代の始まり」と発言しており、世界中のメディアが本格的な「宇宙ビジネス時代の到来」と報じました。

また、この成功は「米国の宇宙産業」を理解する上でも重要な転換点です。

なぜなら米国には宇宙軍があり、これは地球における陸・海・空を防衛するための優位性を確保するために、宇宙空間における絶対的な技術が欠かせないからです。

そのために米国は自国の宇宙ベンチャー企業に門戸を開き、民間企業間の競争原理を働かせることによって、従来よりも格段に低コストで宇宙空間へ行ける未来が目の前に近づいています。

また安全保障上の観点からも「クルードラゴン」は有益です。

なぜなら米国の宇宙技術の前進に寄与するだけでなく、民間の宇宙ビジネスが拡大することにより、将来米国の脅威となる敵対勢力の台頭を抑止することにも繋がるからです。

安全保障上の観点から考えても、今回の出来事は米国にとても有益な出来事であるのは間違いありません。

スペースXのスターリンク計画とテクノロジー・コープ

スペースXが開発する衛星「スターリンク」を約1万2000機打ち上げることで、高速のブロードバンド通信を地球上のどの場所にいても利用できることを目指しているのが「スターリンク計画」です。

既に打ち上げをFCC(連邦通信委員会)から正式に許可されており、スペースXは現在までに500機以上の打ち上げに成功しています。

2021年には世界中(まずは人口密度の高い地域)でサービス提供がスタートする予定です。

またスペースXにはIPOを期待する声が絶えず上がっていますが、スペースXのCOO(最高執行責任者)であるグヴィン・ショットウェル氏は、スペースX自体ではなく、一部事業である「テクノロジー・コープ」については株式上場を検討している発言をしています。

事業の一部を上場させて更なる資金を集めると同時に、本体の「スペースX」に株主が関与しないで自由に事業ができるバランスを考えてのことでしょう。

つまり、スペースXの一部事業である「テクノロジー・コープ」が今後上場する可能性は大いにあり、「スペースX」の躍進によってその期待値は大きく高まっていくことが予想されます。

スペースXの今後の計画

スペースXの今後の野望として外せないプロジェクトが「スターシップ」と「スーパーヘビー」です。

これは民間人や貨物を月や火星に輸送することを想定しており、スペースXの掲げるミッションとは「火星移住計画」と言っていいでしょう。

それこそ人類が繁栄し続けるために必要であるという信念から、このような計画が進められています。

また宇宙空間に沢山の衛星を置くことで、宇宙そのものの情報の解像度が高まるだけでなく、地球上の様々な技術サービスにもイノベーションが起きることが期待されています。

その他にも「高速長距離移動計画」といって、スターシップとスーパーヘビーを利用し、大気圏外を使って世界中を1時間以内に移動することが構想されています。

スペースXの今後の計画とは、衛星とロケットの打ち上げに伴った有人飛行事業を拡張し、それと並行して通信衛星事業を成長させていくことなのです。

すでに上場している宇宙旅行事業会社とは

2019年10月28日にニューヨーク証券取引所に上場したヴァージン・ギャラクティック(NYSE:SPCE)は、現在上場している会社で唯一宇宙への旅を提供しています。

これは25万ドル支払えば90分間の宇宙旅行が出来る富裕層向けのサービスですが、新型コロナの影響もあり、ヴァージン・グループは所有していた株式の一部を売却しました。

これは傘下の航空会社ヴァージン・アトランティックの赤字を補填するための運転資金を工面するために行われたものです。

宇宙ビジネスのメリットは再生利用可能な資源を使ったビジネスモデルを目指していることと、今後の成長性が青天井なことです。

しかし1回の事故でその会社が傾くリスクもあり、宇宙産業全体が安心・安全を担保するためにはもう少し時間が必要かもしれません。

おわりに 米国のロシア依存からの脱却

最後にスペースXが米国の宇宙産業に与えた最大の恩恵として「ロシア依存からの脱却」が挙げられます。

ソ連崩壊後の米国とロシアの関係はしばらく良好でした。

また1990年代はロシア製ロケットエンジンの「RD-180」が安価で高性能であったため、米国はエンジンでロシアに長らく依存してきた歴史があります。

また2011年に米国のスペースシャトルが終了し、その後はロシアの有人宇宙船「ソユーズ」にも依存していました。

こうした2重のロシア依存の構造から脱却するシンボリックな出来事が今回のスペースXによる有人飛行成功なのです。

つまり民間企業初の偉業であると同時に米国の宇宙産業の起爆剤となる効果が今回の出来事といえるでしょう。

各国の宇宙産業における競争の結果、今後も宇宙空間に衛星が沢山打ち上げられます。

その恩恵として地球上で暮らす私たちの生活は飛躍的に向上していくはずです。

遥か彼方に感じた「宇宙」の世界が身近なサービスと繋がっていることを実感する未来が、もう目の前に迫っているのです。

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免責事項と開示事項 記事の作者、鈴木林太郎は、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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