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2020年9月、厚生年金保険料が高くなるのはどんな人?

2020年9月に、会社員の方が加入する厚生年金保険制度において、変化が起こることをご存知でしょうか?

この変化において厚生年金保険料が高くなるのは、簡単にいうと、収入の高い方です。

毎月給料から差し引かれる厚生年金保険料、どのように金額が決まっているのかを理解しておくことは大切なことです。

本記事では、厚生年金保険料を算出する方法や2020年9月の制度変更の概要を解説します。

厚生年金に加入している方は、ぜひ参考にしてください。

厚生年金保険料の計算方法

給料から差し引かれる厚生年金保険料は、給料をどれくらい受け取ったかを考慮して算出されるものです。

専門用語を使うと、このとき考慮する給料を「標準報酬月額」といい、基本給だけではなく役付手当・勤務地手当・家族手当・通勤手当・残業手当…などの手当なども含みます。

そして、厚生年金保険料は以下のように算出することができます。

  • 厚生年金保険料=標準報酬月額×18.3%

 18.3%というのが厚生年金の保険料率で、平成16年10月当時の13.934%から段階的に引き上げられてきたものです。

しかし、平成29年9月に18.3%に引き上げられてから引き上げが終了し、以降厚生年金保険料率は18.3%で固定となっています。

また、厚生年金保険料は上記の式で算出した金額をすべて労働者が支払うわけではありません。

というのも、厚生年金保険料は労働者と雇用者で折半するものだからです。

そのため厳密には、厚生年金保険料率でいうとお互いが9.15%ずつ負担することになります。

2020年9月、高給取りの方は保険料が高くなる?

厚生年金保険料は、労働者は受け取った給料(基本給+手当)である標準報酬月額をもとに算出されますが、これは給料そのものの金額ではありません。

というのも、標準報酬月額は、“実際の給料(月額)が〇円~△円の範囲であれば、□円“という風に区分によって決まるものだからです。

ちなみに、このときの一定の幅の区分を「等級」といいます。

実際の給料よりも厚生年金保険料の計算に使用する標準報酬月額の方が高くなる可能性もあり、一致することはほとんどありません。

そして2020年9月、厚生年金保険料の決定において変化が起こるわけですが、具体的には31等級から32等級に、1つ等級が増えるとのことです。

これは、高給取りの方が負担する厚生年金保険料が高くなることを示しています。

以下が、等級に分けた標準報酬月額と給料をまとめたものです。

赤字で示した部分が、2020年9月の変更点になります。

(図1 出典:日本年金機構)

変更前は31等級までしかなく、報酬月額(給料)が605,000円を超えている方は全員標準報酬月額が620,000円でした。

つまり、どれだけ605,000円を超えて高給取りであったとしても、給料から差し引かれる厚生年金保険料は、“620,000円×9.15%”で済んでいたのです。

しかし、2020年9月に32等級が追加されることになったため(32等級の赤字部分)、標準報酬月額が620,000円となる方の給料の上限が635,000円となり(31等級の赤字部分)、635,000円を超えている方は32等級に新たに属すという運びとなりました。

32等級に属すと、標準報酬月額が650,000円となるので、変更前よりも負担する厚生年金保険料が高くなってしまうのです。

つまり、給料が635,000円を超えている方は、2020年9月以降厚生年金保険料の負担が大きくなることを覚悟しておかなければなりません。

等級が上がるのは良くないことなのか?

ここまでご説明してきたように、2020年9月に32等級が追加されることで、32等級に上がり厚生年金保険料が高くなる方が出てくる可能性があります。

とはいえ、等級が上がる(標準報酬月額が高くなる)ことに、まったくメリットがないというわけではありません。

というのも、将来受け取る老齢厚生年金は標準報酬月額を元に算出され、標準報酬月額が高いほど受け取り金額も高くなるからです。

老齢厚生年金の算出方法は、65歳未満のときに受け取るか、65歳以上のときに受け取るかで異なりますが、どちらにしても標準報酬月額が考慮されています。

65歳未満で受け取る場合

老齢厚生年金を65歳未満で受け取る場合、年金額は以下の式から算出することが可能です。

  • 年金額=定額部分+報酬比例部分+加給年金額

この「報酬比例部分」が、標準報酬月額をもとに計算されることになっています。

通常は、以下(1)を報酬比例部分の金額としますが、(1)が(2)を下回った場合は(2)が報酬比例部分の金額となります。

(図2 出典:日本年金機構)

65歳以上で受け取る場合

老齢厚生年金を65歳以上で受け取る場合、年金額は以下の式から算出することが可能です。

  • 年金額=報酬比例年金額+経過的加算+加給年金額

この「報酬比例年金額」が、標準報酬月額をもとに計算されることになっており、算出方法は図2と同様です。

このように、老齢厚生年金の年金額を算出するときには標準報酬月額を考慮するため、将来受け取る年金額は多くなる可能性が高いです。

まとめ

本記事では、2020年9月の厚生年金保険制度変更による高給取りの方への影響を解説しました。

冒頭では、厚生年金保険料の算出方法をご紹介したので、いかに給料が支払う保険料に影響を与えているかがお分かりいただけたかと思います。

2020年9月に給料605,000円を超える方が対応する32等級が設定されるので、これまで標準報酬月額が31等級の620,000円だった方は、厚生年金保険料の引き上げが懸念されます。

とはいえ、その分将来受け取れる年金額は増加するため、そこまで痛手ではないでしょう。

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