The Motley Fool

「グロース=人気=割高」「バリュー=不人気=割安」の落とし穴

銘柄選定をするときは様々な採用基準がありますが、その一つとして「バリュー」であるか「グロース」であるかを考える方も多いでしょう。

人により好みがあるでしょうし、ここでそれぞれの是非を問う気はありませんが、偏った見方に左右されてしまうことは避けるべきでしょう。

グロースとバリューの定義

書籍や記事により「バリュー」と「グロース」の捉え方がマチマチである可能性があるので、言葉の定義をしておこうと思います。

「成長に掛かる時間も考慮した上で、相対的に」と言う前提を置いた上で…

  • バリュー投資:現在の「妥当と思える」株価より割安である株
  • グロース投資:将来の「妥当と思える」株価より割安である株

つまりこの定義に従えば、バリューとは「現在既に割安な銘柄」であり、グロースとは「将来の成長期待を加味すれば割安であると言える銘柄」と言うことです。

個人的にお気に入りの表現をさせていただきますと、バリューは「現在の失望分が将来的に妥当なラインまで戻す」ことに賭け、グロースは「将来的に妥当なラインが現在の期待分まで上げる」ことに賭けているわけです。

一般的なイメージに近いグロースのパターンである「現在は割高だが、将来の成長は加味すれば割安」と言う考え方や、一般的なイメージに近いバリューのパターンである「現在は割安だが、年間成長率で見ると将来はそこまで期待できない」と言う考え方をしてしまうと、これらは相反するものと捉えがちです。

しかし、私は決して相反するものではないと考えています。

例えば「現在価格が既に本質的な価格より割安であり、さらに将来の成長も期待できる」という最高のケースは「グロースでありバリューである」状態です。

このような銘柄を探し当てる事ができれば、長期的に大きなリターンを期待できることでしょう。

要素の混同に注意

とは言え、現実には「一般的なイメージに近い」パターンも多いため、「バリュー=不人気割安銘柄」、「グロース=人気割高銘柄」と言う捉え方になりがちです。

ザックリと「そういう傾向にありそうだなぁ」と分類することは、情報整理の第一歩として大切なことです。

銘柄は多くありますから、最初から1つ1つ厳密に見すぎると時間がかかってしまいます。

しかし、このような捉え方をした時、「グロース=人気=割高」「バリュー=不人気=割安」と「必ずしも関連するとは限らない」項目を関連付けてしまっていませんか?

その上で「割高」「割安」部分にフォーカスしてしまっていませんか?

これには2つの落とし穴があります。

1つ目は「グロース=割高」だから手を出しにくい、「バリュー=割安」だから気軽に買いやすい、と言う誤認に至ってしまうことです。

確かに売買を行う際は、その行為を行うのは「今」であるため、どうしても今の値付けを基準にしてしまいがちです。

そのため、今割高だと買いづらい、今割安だと買いやすい…と感じてしまうわけです。

そうなると判断基準が将来であるグロース投資は「期待が乗っている分割高すぎるのではないか」と言う不安がよぎることでしょう。

実際にこれは懸念すべき事項ではありますが、グロース投資においては現在のバリュエーションではなく成長性を基準に考えるべきです。

つまり「成長期待が実現するのか」「必要な要素は何か」「期待の実現まで何年くらいかかりそうか」「その場合、年率換算したらどの程度リターンを得られそうか」などに目を向けるということですね。

また、反対に「気軽に買いやすそう」と感じるバリュー投資においては、「割安」と考える際に「現在の失望分は将来的に妥当なラインまで戻すのだろうか」「更なる失望が発生しないか」と言う思考も挟むべきでしょう。

「万年割安」であり「本質的価値」まで値を戻さないのなら、それはバリュー投資とは言えないでしょう。

2つ目は「人気=割高」「不人気=割安」という、株式の値付けにおける重要な要素に対し、正しい捉え方が出来なくなってしまうことです。

確かに、株価は短期的に人気投票的な要素で値付けされますから、「現在のバリュエーション」を基準とし、妥当な水準から人気が過ぎれば割高になり、不人気が過ぎれば割安になります。

しかし、人気=割高だから買わない方が良い(高掴みをしそう)だとか、不人気=割安だから利ザヤを狙える、と言う考えはあまりに安直です。

前述の通り「将来を基準として割安」であれば、「今人気」であっても「将来もっと人気(=高値)」になる可能性があるわけです。

また、成長が追いつけば割高だった水準は妥当なラインまで落ち着くかもしれません(大抵は妥当なラインを超えて株価は上がっているものですが)。

逆に現在価格から見て割安であっても、「不人気な理由」が加速すれば更なる割安を招き、割安と思っていたのに直近株価で見れば高掴み…と言う可能性もあるわけです。

今現在、人気であろうが不人気であろうが、利益を上げるためには「今よりもっと人気になる」ことが必要不可欠なのです。

人気な銘柄が人気を維持、あるいは人気を高め、将来価値の上昇を見極めるグロース投資は難しいものですが、不人気で割安に置かれているものが再評価される時期や可能性を見極めるバリュー投資も十分に難しいものと言えるでしょう。

前述の通り、必ずしも「グロース=人気=割高」「バリュー=不人気=割安」とは限りませんが、イメージだけに流されてしまうと思わぬ落とし穴にハマる事になるので注意が必要です。

まとめ

「グロース」「バリュー」はマイナス方向からフラットなラインへの利ザヤを狙うか、フラットなラインからプラス方向への利ザヤを狙うかの投資手法であり、相反するものではなく両方を狙える可能性もあります。

そして、これらは「人気」「不人気」や「割高」「割安」などと関連付けできるケースもあるものの、必ずしもイコールで紐づけられるとは限りません。安易に混同せず切り分けた上で、それぞれの理由を考えましょう。

「何故、いつまでに期待分まで上がると考えるのか」

「何故、いつまでに失望分が埋まると考えるのか」

「何故、いつまで人気なのか」

「何故、いつまで不人気なのか」

「何故、いつまで割高なのか」

「何故、いつまで割安なのか」

これらを総合的に考え、判断し、銘柄を選ぶことを心掛けたいですね。

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