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ホームファニシング(家具)セクターの概観と、バフェットが「RH」を保有する理由

ホームファニシング業界というのは、あまり聞きなれない業界名かもしれません。

簡単にいうと、家具やカーテンなど家を飾るものを生産したり、売ったりするビジネスをしている業界になります。

日本で言えば、大塚家具や、ニトリなども入るかと思います。

ホームファニシングの会社は景気が良く、株式市場が上昇している時は、資産効果などで業績も上昇しやすいことは想像に難くないと思います。

きわめて景気循環的な企業群です。確かに、景気の悪い時には我慢できるものでもあります。家を新しくすれば、新しい家具やカーテンなど家財は新しくすることも多いです。

家は変わらなくても、家具や家財を新調するのは、やはり景気の良い時であることも非常に理解しやすい傾向です。

新型コロナウィルスの感染拡大でロックダウンが起きる前までは、きわめて好調な業績でした。

ロックダウンと、解除された後の景気の回復の仕方で、業績も大きく振れそうです。

ウォーレン・バフェットも家具大手のRHを保有

世界一の投資家であるウォーレン・バフェットが2019年秋にRH(旧Restoration Hardware)の約6.5%の株式を購入しています。(記事執筆現時点では約8.9%)

もともと、このセクターは大手企業が少なく、小規模な企業が乱立する業界でもあります。

景気の変動も受けやすい業種でもあり、バフェットが買っているというニュースが入った時は意外な感じもしました。

ただ、よく考えると、バークシャーは家具屋を子会社に持っていました。

バフェットのストーリー(例えば「スノーボール」など)を読むと必ず出てくる、ミセスBによるネブラスカ・ファニチャー・マートです。

こうした会社を持っているので、最終的にRHを買収候補として考えていることもあり得ます。

そうしたことも踏まえ、業界の全体観と、RHがバフェットの目を引いたのはなぜだったのかを明らかにしていきたいと思います。

ホームファニシングの競合

このセクターで、RHを中心にいくつかの競合をピックアップしてみましょう。

RH(NYSE:RH)

ハイエンドの顧客をターゲットとし、大型のモールや路面店を米国とカナダで展開しています。

ネットなどで写真を見ていただければ、かなりゴージャスな造りの店舗であることが分かります。

ウィリアムズ・ソノマ/William Sonoma(NYSE:WSM)

高級キッチン用品店のイメージが強いですが、売り上的には、傘下のPottery Barn(38%)、West Elm(25%)、Williams Sonoma(18%)と、家具を扱うWest Elmの存在が大きいです。

Pottery BarnとWest Elmの成長が原動力となります。

West Elmは年率14%近く伸びており、WSMの収益成長に大きく貢献しています。

West Elmはどちらかというと若い人向け(ミレニアルなど)でもあるので、比較的早い時期から顧客の囲い込みが出来ると会社は考えているようです。

スリープ・ナンバー/Sleep Number(NASDAQ:SNBR)

ここはベッド・マットレスなどが中心です。

プロスポーツ選手も同製品を使用しており、ハイクオリティな睡眠を提供することをセールスポイントとしています。

レイジー・ボーイ/LA-Z-BOY(NYSE:LZB)

リクライニングチェア(Lazy Boyという商品名のリクライニングチェアが代表商品)のトップ企業です。

仕事から帰り、これに座ってテレビを見るのが一般的なアメリカ人男性の間ではかなり普及しているスタイルのようです。

イーセン・アーレン/Ethan Allen(NYSE:ETH)

トップ家具メーカーの一つです。中流以上を対象にしているイメージです。

アメリカやヨーロッパの伝統的デザインを取り入れたシックな作りが魅力です。

ウェイフェア/Wayfair(NYSE:W)

世界最大のオンライン家具小売り企業です。(米加英独で展開)

Wayfair(ウェイフェア)は家具のオンライン売上が成長。独自のプラットフォーム構築も追い風

年率45%でここ3年ほど成長しています。

米中の貿易摩擦から来た関税の上乗せで、成長が落ちてきていますが、それでも昨年第3四半期は多少減速しても35%程度ですから、このセグメントは成長性があります。

他にもありますが、この辺りが主なところかと思います。

米国企業ではないですが、イケア(IKEA)などは、かなりのビッグプレーヤーです。

RHが他社と比較して際立っている点

この中で、他社の状況も見ながら、RHが他と際立っていることを考えていきたいと思います。

小売りの世界では、ほぼ全てのセグメントでアマゾンの脅威に晒されています。

しかし、RHは相対的にアマゾンなどのオンライン小売の脅威を受けにくいです。

RHの扱っているのは高級家具です。

$200(2万円くらい)のラグなどならアマゾンでも気兼ねなく買う人も多いでしょう。

しかし、RHではラグが$5000(約50万円)以上したりします。

こうしたものを、実物を見ずにオンラインで購入する人は少ないでしょうし、そもそもアマゾンではこの価格帯のものはあまり扱っていません。

高級品を扱っているために、アマゾンの脅威=価格競争にさらされていない、というのが一つの大きな強みです。

また、RHはアマゾンやオンライン小売の脅威を受けにくいという状況の中で、更にリアルの店舗を充実させて、顧客のショッピングエクスペリエンスを向上させようとしています。

人気の郊外エリアで大型のデザイン・ギャラリーと呼ばれるフォーマットの店舗の展開をしています。

ニューヨークやシカゴ近郊のデザイン・ギャラリーは、通常33,000sq.ft(約3,000㎡)のところ、70,000sq.ft.(約6,500㎡)、90,000sq.ft.(約8,364㎡)とかなり大きく、ゴージャス感あふれる造りになっているようです。

この大がかりでゴージャスな仕掛けの持つ効果で売り上げを伸ばしています。

そうしたカスタマー・エクスペリエンスは、RHで買い物をすることの特別感を感じられるものなのだと思います。

更に海外展開やセカンドハウス(別荘)を持つ人達も新たなターゲットに加えようとしているようです。

新しい取り組みとして、2016年から年間$100の会費を払うと定価からいつでも25%の割引が得られるという仕組みも導入し、顧客の囲い込みに役立てています。

この取り組みは、業界のリーダーであるイーセン・アーレンも取り入れています。

バフェットがRHを気に入りそうな要因

意外に成長しているホームファニシング業界ですが、その中でRHの強みとバフェットが気に入りそうな要因はどこにあるのでしょうか?

まず、上述のように、ハイエンドのマーケットを対象としていることから、アマゾンの脅威を受けにくく、価格競争にさらされていません。

そして高級家具屋としてのブランドがあります。

また、同業他社に比べて収益性が高く、それを可能にした効率的なサプライチェーンマネジメントなどがあります。

結果として、キャッシュフローが潤沢です。ビジネスをする上で、キャッシュフローが潤沢にあることはとても大きなプラスです。

経営陣定評があり、会長兼CEOのゲーリー・フリードマンGary Friedmanは自社の強みについて次のように語っています。

  • building a brand with no peer 比類なきブランドの構築
  • creating a customer experience that cannot be replicated online オンラインでは真似できないカスタマー・エクスペリエンス
  • total control of our brand from concept to customer ブランドのトータル・コントロール

バフェットの気に入りそうなビジネスのやり方です。

こうしたことから単なる株式の保有ではなく、最終的に買収による完全子会社化もあり得るかもしれません。

最後に収益性の比較を業界でしてみましょう。RHが際立って高いことが見て取れます。

(数字はValue Lineから取得)

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