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中国大手ECサイトの「京東商城(JD.com)」が香港取引所に上場する理由を解説

中国大手ECサイトを運営する「京東商城(NASDAQ:JD)」が香港取引所に上場する可能性が浮上し、個人投資家や外国人投資家の注目が集まっています。

昨年香港取引所に上場したアリババには多くの個人投資家が殺到したこともあり、京東商城の上場は期待されています。

そこで今回は京東商城がどのような企業なのか、香港取引所に上場する狙いは、そして上場に関する不安材料について解説します。

京東商城とは

京東商城はアリババが運営する中国最大手ECサイト「Tmall(天猫)」に次ぐ、シェア2位の「JD.com」を運営している企業です。

「JD.com」の前身は2004年にPC機器専門のECサイトからスタートし、家電製品や携帯電話など扱っていましたが、現在ではあらゆるジャンルの商品を取り扱う総合ECサイトに成長。

2018年の売上は約7兆7000億円となり、同年の楽天の7倍近い売り上げとなっています。

京東商城はアリババと合わせて112兆円規模にまで成長した中国のECサイトシェアの80%を独占する企業へと成長し、現在ではスマートフォン向けインスタントメッセンジャーアプリ「WeChat」を運営するテンセントグループの一員となっています。

京東商城のビジネスモデル

アリババの「Tmall(天猫)」は企業がECサイトにページを作り、出店者から出展料を徴収するスタイルで、日本では楽天に近いと言われています。

一方で京東商城の「JD.com」自社で商品を仕入れ、それをECサイト上で販売する直販型となっています。

ビジネスモデルの形として近いのはAmazonで、中国に複数ある直販型ECサイトではシェア50%以上を占めています。

京東商城がこれほどまでにシェアを獲得しているのは、まさにAmazonと同じやり方を広大な中国でも実践しているからに他なりません。

たとえば、Amazonは日本全国に物流センターを設け、網目状に張り巡らした物流網で荷物を迅速に宅配します。

「JD.com」でも、中国全土に物流センターを約7,000カ所も設置し、迅速な宅配に対応。

午前11時までに注文した商品は当日中に配送される211限時達という配送サービスを始め、時間指定や配送日指定など、利用者のライフスタイルに合わせて荷物の届くタイミングを指定できるのが、利用者獲得に繋がりました。

ほかにも京東商城の注目すべきポイントとして、配送の無人化が上げられます。

倉庫内の荷物の運搬や配送準備は全てロボットが行い、最近のニュースではドローンを用いた無人配送なども話題になりました。

また、Amazonや楽天では年に数回大規模なセールを実施していますが、「JD.com」にもあります。

毎年6月1日から創業日である6月18日まで618と銘打ったセールイベントでは、あらゆる商品が割引されるため、利用者の購買意欲が刺激され、この期間だけで2兆円以上の売り上げが計上されます。

2020年はコロナによって冷え込んだ消費の反動が大きいと予想され、市場の注目が集まっています。

今ではアリババの「Tmall(天猫)」を含めた中国ECサイトが対抗策としてセールを打ち出しており、独身の日(11月11日)に匹敵するお祭り騒ぎとなっています。

このように京東商城は中国ECサイトとして大きな影響を与える企業へと成長しています。

香港取引所に上場する狙い

基本的に株式会社が取引所に新規上場するのは、資金調達が大きな狙いとなります。

今回の香港取引所の上場では調達目標額が20億ドル(約2200億円)と見られており、業績も堅調なため外国人投資家の注目が集まっています。

中国株は、中国本土の市場と香港市場でルールが異なっているのが特徴です。

以前に比べて中国本土の市場も外国人投資家が参加しやすくなっていますが、それでも中国人向けのルールが多く、参加するメリットが少ないのがネックとなっています。

一方で香港取引所は日本人を含めた外国人投資家が参加しやすい市場となっています。

2019年11月26日に上場したアリババの募集に対して、約42倍の個人投資家から申し込みが殺到。

当初の枠は1,250万株でしたが、最終的には5,000万株に引き上げ、1兆2000億円規模の資金調達となりました。

京東商城の香港取引所上場が何時になるのか不明ですが、中国ECサイト2位の企業だけに、アリババの上場と同じような過熱ぶりが期待できます。

ただし、不安材料もささやかれています。

京東商城の不安材料

京東商城の不安材料は2つあります。

1つは、経済がコロナによって打撃を受けている中で、京東商城の上場に影響を与えるのではないかという懸念です。

アリババが香港取引所に上場した際は、香港で行われた抗議デモの影響が不安視されていましたが、結果的には高い需要が集まり場所と呼べる結果に終わりました。

しかし、コロナによって経済が衰退しつつある状況下で、どこまでの申込みがあるのかは予想もできません。

もう1つの不安材料が、中国ECサイトの勢力図が変わりつつあるという現状です。

中国大手ECサイトの、2020年第1四半期(2020年1月~3月)の決算を比較すると、3位だった「拼多多(Pinduoduo)」が時価総額約9兆円に達し、2位の京東商城を抜いたのです。

年間アクティブユーザー数も1位のアリババが7億2,600万人に対して、拼多多は6億2,800万人と順調に数を伸ばしており、損失覚悟の薄利多売という事業展開は投資家からも支持されています。

まだ、ECサイトのシェアや売上高では京東商城を抜いていませんが、このままアクティブユーザー数を増やしていけば、2位の座を脅かすかもしれません。

京東商城の香港取引所上場が過熱する条件としても、やはり中国ECサイト2位という肩書があってこそのため、後ろから迫ってくるライバルの存在は不安材料となります。

まとめ

以上が、京東商城の香港取引所上場の解説になります。

京東商城はアメリカのナスダック市場にも上場しているため、重複上場となります。

アリババも重複上場となっており、ニューヨーク取引所の株価は上場前から上昇しており、3ヵ月で20%増となりました。

香港取引所上場となれば申し込みが殺到するのが目に見えているため、公募を避けてナスダック市場の株式を購入しておくのも一つの戦略といえます。

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免責事項と開示事項 記事の作者、野田幹太は、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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