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「ダウの犬投資法」における上位3社を解析

米国株を語る上で外せない指標 (インデックス)といえば「S&P500」です。

あのウォーレンバフェット氏は株主宛ての手紙の中で「プロでない投資家の目的は上手くいきそうなビジネスに横断的に投資する事」であり、「S&P500に連動する低コストのインデックスファンドに投資する事でその目的は達成される」と述べています。

そんな優秀な「S&P500」が長期投資家にとってポピュラーな一方で、米国株式市場における主要3指数のうちの一つ、「ダウ・ジョーンズ工業株価平均」通称、「NYダウ平均株価(DJI)」は米国の優良企業30社の平均株価指数として、世界中の投資家から注目されています。

米国株価主要3指数 主な特徴 構成銘柄 算出基準日
NYダウ平均株価

 

構成銘柄の平均株価を指数化 米国の優良企業30社 1896年5月26日
 

S&P500

 

時価総額加重平均型株価指数

米国の主要産業を代表する500社(米国株式市場の時価総額の約80%をカバー) 1941年から1943年の平均を10として算出
ナスダック総合指数 時価総額加重平均型株価指数 米ナスダック市場に上場する全銘柄 1971年2月5日

出所:S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社

上記の様に、最初の株価指数の一つ、また米国で最も一般的な株価指数の一つである「NYダウ平均株価」ですが、同指数には「ダウ10戦略」、通称「ダウの犬 (Dogs of the DOW)」と呼ばれる投資手法が存在します。

「ダウの犬投資法」とは?配当重視の長期投資法について解説

具体的には、「NYダウ平均株価」構成銘柄のうち、配当利回りが最も高い10銘柄に年末12月31日に投資し、翌年末まで継続保有し、12月31日時点で配当利回りが最も高い10銘柄へリバランスするというものです。

「ダウ10戦略」のパフォーマンスにおいては、ペンシルベニア大学大学院のジェレミー・シーゲル教授が著著「Stocks for the Long Run 4/E」(和名:「株式投資」)の中で、「NYダウ平均株価」との比較に言及されています。

  • ダウ10戦略と主要指数のパフォーマンス比較(1957~2006年)
利回り(CAGR) ベータ
ダウ10戦略 14.08% 0.8532
ダウ30(NYダウ平均株価) 11.86% 0.9341
S&P500 11.13% 1.000

出所:ジェレミー・シーゲル著「株式投資」

このように、「ダウ10戦略」は主要指数を長期的(過去50年間)なスパンではオーバーパフォームしており、同時にベータが市場平均 (S&P500)の1より小さい点から、市場サイクルを通してより安定していたと言えます。

以下の比較チャートでは、リーマンショック時におけるパフォーマンスが「NYダウ平均株価」を下回る場面もありますが、直近10年間(2008~2018年)においては、その差が歴然であるため、配当再投資の効果が長期投資において非常に重要だと分かります。

前提:2008年始から2018年末にそれぞれ$10,000を投資した場合を想定

(*Buy and Hold:NYダウ平均株価を継続保有したものと仮定)

出所:investopedia.com「Dogs of the DOW」

2018年末時点の評価 10年間の利回り(年率)
ダウ10戦略 $21,420 21.4%
ダウ30(NYダウ平均株価) $17,350 17.4%

それでは、2020年における「ダウ10戦略 (ダウの犬)」に採用された10銘柄ならびに、「YOC (5年間)」上位3銘柄を紹介致します。

「YOC」とは具体的に「年間受取り配当金÷買値 (平均取得価格)」であるため、連続増配する前提で考えると、基本的に「YOC」が高い銘柄ほど、長期保有するに従って配当利回りが上昇します。

フリーキャッシュ・フローマージンは具体的に「フリーキャッシュフロー÷売上高」であり、連続増配の原資となる企業が自由に使える現金をどれだけ効率よく稼いでるかを見る指標として、その対象銘柄の収益面、ならびに財務面の安定性を図る重要です。

【優秀銘柄】~Dogs of the DOW~

「ダウ10種」採用の10銘柄 において、YOC (5年)の平均は4.11%で、上位4銘柄が平均を上回る結果となりました。

セクター別にみると、「生活必需品」「情報技術」の2セクターで全体の4割を占めており、同セクターは、「過去 (1957~2003) における米国株のセクター別のトータルリターン」において、それぞれ13.36%、11.39%と上位2セクターに入っています。

Dogs of the DOW Growth (Year) FCFM
(TTM)
YOC3Y
(%)
YOC5Y
(%)
Sector
1 CSCO 9 28.77 4.37 5.15 Information Technology
2 VZ 15 12.82 5.05 5.02 Communication Services
3 CVX 34 9.44 4.74 4.85 Energy
4 PFE 10 19.31 4.48 4.33 Health Care
5 XOM 37 2.10 4.20 4.08 Energy
6 KO 57 22.59 3.84 4.03 Consumer Staples
7 IBM 20 15.38 3.80 3.99 Information Technology
8 MMM 61 16.71 3.09 3.55 Industrials
9 WBA 44 3.80 2.21 2.00 Consumer Staples
10 DOW 0 9.24 N/A N/A Materials
Average 28.7 14.02 3.98 4.11

出所:FCFM (TTM):Key Ratioー(morinigstar.com)

YOC(3Y,5Y):Yield on Costー(seekingalpha.com)

Growth(Y):DIVIDEND GROWTH (dividend.com)

*いずれも2020/04/18時点のデータを参照。

*N/A:データ取得不可

*連続増配 (Growth)は暦年ベースで受取り配当年数が増加する銘柄を指します。

 Cisco Systems, Inc.(NASDAQ:CSCO)

比較データ

  • 連続増配年数:9年→「ダウ10戦略」内順位No.9
  • FCFM (TTM):28.77%→「ダウ10戦略」内順位No.1
  • YOC3Y:4.37%→「ダウ10戦略」内順位No.4

長期チャート  (過去30年の比較チャート対NYダウ平均株価)

コメント

2009年にNYダウ平均株価指数に採用された同社は、ネットワーク・ソリューション分野において世界最大のハードウェア並びにソフトウェアのサプライヤーです。

収益源を分解すると、米国の約6割に続いて、EMEA (欧州・中東・アフリカ)が25%、そしてAsia(日本・中国)の15%という事で、クロスボーダーでネットワーク製品を展開しており、地理的にも良くバランスの取れた事業ポートフォリオを持っています。

中でも「Infrastructure Platform」が売上げ製品の約6割を占めており、テレビカンファレンス等のビジネス現場における製品に加え、近年では「Webex」といった「Applications」における収益拡大も視野に入れています。

そして、最大の強みは利益率の高さにあり、同社のFCFMは過去10年間、平均24.35%と非常に安定しており、配当性向も50%前半という事で、今後の連続増配にも期待できます。

また、増配率については、3年、5年それぞれ11.71%, 13.27%と安定的に2桁をキープしており、強固なビジネスモデルに裏付けされた潤沢なキャッシュフローが大きな強みとなっています。

Verizon Communications Inc.(NYSE:VZ)

比較データ

  • 連続増配年数:15年→「ダウ10戦略」内順位No.7
  • FCFM (TTM):12.82%→「ダウ10戦略」内順位No.6
  • YOC3Y:5.05%→「ダウ10戦略」内順位No.1

長期チャート  (過去30年の比較チャート対NYダウ平均株価)

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ワイヤレスキャリアとしては米国最大の規模を誇る同社は、2015年までAT&T(同年に指数から除外)と電気通信大手2強として有名でしたが、現在は同セクターを独占しています。

事業ポートフォリオの中心になるワイヤレス(無線サービス)はボーダーフォン(英)と提携し「Verizon Wireless」ブランドで全米に展開しており、収益全体の7割を占めるコアビジネスです。

また同社はESG投資に対応すべく経営ガバナンスを充実させており、CO2排出量、5Gネットワーク、再生可能エネルギー(電力)の目標達成フレームワークを設定するなど、IR活動にも積極的な姿勢は機関投資家・個人問わず好印象を与えます。

配当利回りにおいては、過去4年間の平均が、ライバル社のAT&Tが6.0%前後であるのに対し、4.72%と劣るものの、配当性向は51.80% (AT&Tは64.21%)と現在15年の連続増配記録を継続するにあたり、問題のない水準と判断できます。

総じて、株価パフォーマンスは指数平均に大きく劣っているものの、コロナショックのような弱気相場においては、同指数平均が最大約4割下落(2020年初来)する局面でも約2割程度に留まっている点からディフェンシブ銘柄として大きな役割を果たしています。

Chevron Corporation(NYSE:CVX)

比較データ

  • 連続増配年数:34年→「ダウ10戦略」内順位No.5
  • FCFM (TTM):9.44%→「ダウ10戦略」内順位No.7
  • YOC3Y:4.74%→「ダウ10戦略」内順位No.2

長期チャート  (過去30年の比較チャート対NYダウ平均株価)

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「国際石油資本」、または「Supermajor(6社)」の一角である同社は、「Energy」セクターにおける時価総額で、エクソンモービル (XOM)次いで2番目の規模を誇っており、前者同様に「S&P500 配当貴族指数」にも採用されている連続増配銘柄です。

その歴史は1879年創業とYOCランキング上位3銘柄で最も長く、上流と下流の2つの事業セグメントを通して、主に原油と天然ガス、また石油化学製品など幅広くエネルギー産業にビジネス展開しています。

よって、ビジネスモデルの性質上、売上げが原油価格に依存する点は否定できないため、2015年以降の原油価格が低迷する中、株価パフォーマンスは採用指数に劣るものの、同社は決算レポート(2019年)において、株主リターン (Total stockholder returns)を正式に公表しており、過去10年間で、年率8.5%と同業他社4銘柄中、首位である事が分かります。

その背景にあるのは、利益率の高さで、同社のFCFMは9.44%と最大手のXOM (2.1%)や「Supermajor」の6.98%を上回っており、配当政策をはじめ株主還元に積極的な経営環境を可能にしている点が大きな強みとなって、今後も長期保有を通して投資家にリターンをもたらす公算が高いと言えます。

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