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【米国株動向】ハイテク大手のマイクロソフトとオラクルを比較

モトリーフール米国本社、2020514日投稿記事より

ハイテク大手のマイクロソフト(NASDAQ:MSFT)とオラクル(NYSE:ORCL)はどちらも、過去30年の間に株価下落局面を幾度も柔軟に乗り切ってきました。

過去5年間で見ると、マイクロソフトの株価は4倍近くになっており、オラクルの20%増とは開きがあります。

この背景には、マイクロソフトが成長著しいクラウドコンピューティング事業に大きく舵を切り、従来のソフトウエア製品への依存からの脱却に成功した点があげられます。

オラクルも同様の試みをしているものの、成長はマイクロソフトには追いついていません。

投資対象という観点からより注目すべきはどちらの銘柄でしょうか。

マイクロソフトの事業は3つに分かれています。

ひとつはProductivity and Business Processes(生産性と業務プロセス)事業で、Office、クラウドベースの顧客関係管理(CRM)と企業資源計画(ERP)システムのDynamics、Skype、LinkedInを扱います。

次にAzure、Windowsサーバー他、データセンター関連サービスを扱うクラウド事業。そしてWindows、Xbox、Surface等の製品や検索エンジンBingを扱うパーソナル向け事業です。

同社の2019年7月~2020年3月の9か月間では、3事業それぞれが売上全体のほぼ3分の1ずつを稼ぎ出しました。

新型コロナウイルスの感染拡大はパーソナル向け事業が大きく影響を受けました。

同事業におけるWindowsのライセンスやゲーム機、Surface(タブレットPC)、検索エンジン広告料の売上が鈍化しました。

一方で主にOffice 365、Dynamics 365、LinkedIn、Azureの商業クラウドコンピューティングは好調を示し不振部門をカバーしました。

クラウド事業の同9カ月間の売上は前年同期比で38%増加し、売上全体の36%を占めました。

パンデミック下で在宅勤務が進む中、この分野は大きな恩恵を受けています。

一方のオラクルは、クラウドサービスとライセンスサポート事業、クラウドライセンスとオンプレミス(サーバー等の情報システムのハードウェアを自社内に保有し、自主管理運営すること)ラインセンス事業、ハードウエア製品事業、サービス事業の4本柱で、同9か月間の売上全体に占める割合はそれぞれ72%、11%、9%、2%でした。

オラクルの売上の源泉は主にデータベース事業によるものですが、NetSuite(ネットスイート)を2016年に買収したことで、セールスフォース・ドットコム(NYSE:CRM)が強さを示すCRM市場や、ワークデイ(NASDAQ:WDAY)が牽引する人事管理(HCM)システム市場でも存在感を強めています。

この買収によりオラクルはまた、中小企業にアプローチする道筋も手に入れました。

オラクルは2018年以降、クラウドサービス事業の業績を個別に開示していないため、実際効果のほどは不明です。

また、クラウド事業の拡大に尽力してきた共同CEOマーク・ハード氏が昨年後半に死去したことも懸念となりました。

しかし直近の四半期では予想を上回る成長を示し、同社は多くの顧客が長期契約を結んでいることを理由に、パンデミックの影響は最小限に留まる見込みとしています。

マイクロソフトの2019年7月~2020年3月期の業績は前年同期で14%の増収、28%の増益でした。同期間中に172億ドル相当の自社株買いを実施しましたが、通年ベースでの発行済株式数削減の効果は1%ほどでした。

予想配当利回りは1.1%です。

アナリストによる予想では今年の同社の売上は12%の上昇、利益は20%上昇する見込みと、期待が高まる内容ですが、株価のバリュエーションは予想株価収益率(PER)30倍と割高な水準です。

クラウド事業も同社のAzureはアマゾン・ドット・コムの提供するアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)との競争、Dynamicsはセールスフォースとの競争が今後激化すると予想されます。

一方のオラクルは、2019年7月~2020年3月期の業績は前年同期で1%の増収、9%の増益でした。

しかし、利益の伸びは主に139億ドル相当の自社株買いの効果によるもので、自社株買いにより通年ベースで発行済株式数を12%ほど減らしました。

アナリストは、同社の今年の売上は前年並み、利益は自社株買いの効果で10%に押し上げられると予想しています。

予想PERは13倍と適正水準にあり、予想配当利回りは1.8%です。

Fusion(業務アプリケーション群)とNetSuite事業の2桁売上成長期待に加え、Zoom(NASDAQ:ZM)などの成長企業との新規契約はクラウド事業強化の中心になる一方、アマゾン他、ライバル企業との競争激化は不可避でしょう。

投資対象としては一見、オラクルがマイクロソフトより安全と言えます。

しかし、売上の伸びは弱く、クラウド市場での立ち位置、さらに自社株買いに依存した増益を考慮すると魅力が十分でないのも事実です。

マイクロソフトの株価が割高な水準にあることから、ポジションを積み増すには、株価の下落を待つのも賢い選択と言えます。

しかし同社のクラウド事業が好調で、マクロ要因の影響を受けやすい他の事業の弱さを十分カバーできる現状から、当面投資家は割高でも同銘柄を買うと予想されます。

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免責事項と開示事項 記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アマゾンの子会社ホールフーズ・マーケットのCEOであるJohn Mackeyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。マイクロソフトの子会社LinkedInの従業員であるTeresa Kerstenは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Leo Sunは、アマゾン株を保有しています。モトリーフール米国本社は、アマゾン株、セールスフォース株、マイクロソフト株、ズーム・コミュニケーションズ株を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は、以下のオプションを推奨しています(ズーム・コミュニケーションズ株の2020年5月の120ドルのショート・コール、アマゾン株の2020年1月の1940ドルのショート・コール、アマゾン株の2022年1月の1920ドルのロング・コール、マイクロソフト株の2021年1月の85ドルのロング・コール、マイクロソフト株の2021年1月の115ドルのロング・コール)。

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