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【米国株動向】アマゾンがAMCエンターテインメントの買収に興味をもつ3つの理由

モトリーフール米国本社、2020514日投稿記事より

現時点(執筆時点)では噂に過ぎませんが、アマゾン・ドット・コム(NASDAQ:AMZN)は、苦境に立つ映画館チェーン経営の持株会社AMC エンターテインメント・ホールディングス(NYSE:AMC)の買収に興味を示しているとされています。

英『デイリー・メール』紙は5月11日、某情報筋からの情報として、アマゾンによるAMC買収の可能性について報じました。

アマゾン・ドット・コムは2018年に米専門映画館チェーンのランドマーク・シアターズの買収に興味を示していると伝えられ、2019年にはハリウッドの歴史ある映画館、エジプシャン・シアターにも関心を寄せていると言われていました。

これらのことを考えると、アマゾンがAMC買収に興味を持つのも驚くことではありません。

買収にはアマゾンにとって3つの大きなメリットが考えられます。

1. アマゾン・スタジオ・オリジナル作品を上映する場となる

アマゾン・ドット・コムは、オリジナル・コンテンツを制作し、アマゾン・プライムで公開しています。そのうち、映画作品は年間12本程度になります。

その数はライバルのネットフリックス(NASDAQ:NFLX)には及びませんが、ウォルト・ディズニー(NYSE:DIS)やバイアコムCBS(NASDAQ:VIAC)傘下のパラマウント・ピクチャーズといった従来の映画スタジオと肩を並べる数となっています。

アマゾンのオリジナル映画を傘下の劇場で広く公開することは、映画業界にとって脅威になるだけでなく、アマゾンにとって、家庭での視聴にとどまらない、魅力ある作品をより多く制作する起爆剤にもなるでしょう。

ちなみに、映画ビジネスに関するインターネット・サイト『ザ・ナンバーズ』によると、米国の年間映画興行収入は約120億ドルでした。

2. 映画賞の候補資格を得る

アマゾンの作品は、すでにいくつかの賞を受賞していますが、それは簡単なことではありませんでした。

ハリウッド中心主義の映画業界の壁は厚く、業界基準から外れるEコマース企業は、賞を取る資格はないとする風潮があります。

アカデミー賞を認定する団体である米映画芸術科学協会は、アカデミー賞の候補作品となる条件として、ロサンゼルス市内の劇場で7日間以上上映されることを義務付けています。

AMCは全米に380以上の映画館を抱えており、アマゾンが買収すれば、同社オリジナル作品を受賞候補とする資格は得られるでしょう。

映画賞を受賞することが直接収益につながるわけではありませんが、間違いなくアマゾン・プライムの市場価値は上がるはずです。

3. 利用者をサブスクリプション・エコシステムに取り込む

AMCが映画のサブスクリプションを積極的に受け入れたことは、高く評価されています。

AMCのサブスクリプション・システムであるスタブAリストの会員は、月額19.99ドルで週に3本の映画を鑑賞することができます。

一方で、このシステムはすでに低迷していたAMCの事業をさらに悪化させるものとなりました。

作品あたりの入場料は大きく減少し、会員はスナックや飲み物も割引で買うことができ、同社の利益率はさらに低下することになりました。

なにより、家庭でより安価なビデオが見られる環境にあって、年間240ドルを払って映画館に足を運ぶことに価値を感じなくなる会員もいます。

米国人が劇場で見る映画は平均で年間わずか4本、平均入場料は10ドルを下回っています。

ですがAMCのスタブAリストの会員は、アマゾン・プライムの上顧客となる可能性があります。

アマゾン・プライム会員は、非会員よりもアマゾン・ドット・コムでの購買額が多いことで知られています。

結論

AMCとアマゾンは、どちらも買収の噂を否定していなければ肯定もしていません。

ですがこの噂は、長い間親密だった映画館とスタジオの関係がすでに綻びているタイミングで現れました。

たとえば、コムキャスト傘下のユニバーサル・スタジオは、映画公開から90日間は、劇場のみで上映するという慣例を破り、子供向け映画『トロール・ワールド・ツアー』をストリーミング・ビデオで直接視聴者に提供しました。

NBCユニバーサルのジェフ・シェル最高経営責任者(CEO)は、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に対し「『トロール・ワールド・ツアー』の結果は、プレミアム・ビデオ・オン・デマンド(PVOD)の力が発揮されて、予想を上回るものだった」と語っています。

同氏はさらにコムキャストの第1四半期決算発表で、将来的には「大半の映画が、家庭で視聴されることになるだろう。

我々は変化していくと考えるのが現実的だ」とも語っています。

さらに米司法省は2019年末、映画スタジオによる映画館所有を阻む規則は、もはや不要だとしています。

AMCは2017年の最高値から80%以上下落しており、時価総額は6億ドル弱となっています(執筆時点)。

アマゾンはこれを現金で容易に買収することができます。

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免責事項と開示事項 記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アマゾンの子会社ホールフーズ・マーケットのCEOであるJohn Mackeyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者James Brumleyは、記事で言及されている株式を保有していません。モトリーフール米国本社は、アマゾン株、ネットフリックス株、ウォルト・ディズニー株を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は、コムキャスト株を推奨しています。モトリーフール米国本社は、以下のオプションを推奨しています(アマゾン株の2020年1月の1940ドルのショート・コール、アマゾン株の2022年1月の1920ドルのロング・コール、ウォルト・ディズニー株の2021年1月の60ドルのロング・コール、ウォルト・ディズニー株の2020年6月の115ドルのショート・コール)。

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