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ソフトバンクグループの決算情報と今後の株価の推移

ソフトバンクグループは東京に本社を置き、ソフトバンク(株)などの電気通信事業者やインターネット関連企業を傘下に置く持株会社です。

同社は「群戦略」という独自の組織戦略に取り組むとともに、2017年に設立した「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」を中心に投資活動を拡大し、情報・テクノロジー分野において多様な事業を展開する企業グループを構築しており、近年は投資会社としての側面が強化されていると言えるでしょう。

主な事業としては、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業」、「ソフトバンク事業」、「アーム事業」や「ブライトスター事業」などが挙げられます。

本記事では同社の2020年3月期決算の内容と株価の推移について見ていきます。

決算発表前におけるソフトバンクグループの株価等のデータ

ソフトバンクグループの2020年3月期決算は、2020/5/18の日本市場閉場後に発表されました。

5/18の始値は4,614円であり、日中は大きな変化などはなく、終値は4,621円となっています。

次に同社の今までの株価の値動きについて概観していきます。

2012年頃までは1,000円台でほぼ横ばいの推移となっていましたが、2013年には大きく上昇し、4,000円台にまでなりました。

2016年に一度2,000円前後にまで下落したものの、その後は緩やかに上昇し、52週高値は5,886円となっています。

新型コロナウイルス感染症よる世界経済の悪化が発生する2月中旬ごろは5,500円前後で推移していましたが、3月末にかけて2,600円前後まで大幅に下落しました。

その後同社の株価は回復し、5/18の終値では4,621円となっています。

同社の5/19時点での時価総額は9兆3916億円であり、同社株は日経平均株価及びTOPIX Core30の構成銘柄の一つとなっています。

また5/19時点での同社の日経平均株価の構成率は4.75%であり、これはファーストリテイリングに次ぐ第二位であり、日本の株式市場に対する影響力が大きい企業の一つであると言えるでしょう。

ソフトバンクグループの決算情報

概要

ソフトバンクグループの2020年3月期決算の概要は以下の通りです。

売上高 6兆1,851億円 前期比1.5%増
営業利益 -1兆3,646億円 前期比166%減
親会社の所有者に帰属する当期利益 -9,616億円 前期比168%減
希薄後一株当たり当期利益 -485.33円 前期比177%減

同社の売上高は1.5%増と微増している一方で、営業利益は前期の2兆736億円から1兆3,646億円の大幅な赤字へと転落しました。

それに付随して親会社の所有者に帰属する当期利益や希薄後一株当たり当期利益も大幅なマイナスへと転落しています。

これらの経営成績の説明として、ソフトバンク事業の営業利益は前期比7.4%増の好調さであった一方で、ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBAIの運営するファンドからの営業損失が1.9兆円にも上ったため、1.4兆円の営業損失が生じたとしています。

この業績に対する対応策として、同社は自己株式取得と負債削減のために最大4.5兆円の当社保有資産の売却または資金化を4四半期にわたって行うとしています。

同社はこのプログラムを通じ、自己株式取得に合わせて行う社債買い入れを含む負債の大幅削減によってバランスシートをさらに強化し、信用格付けの向上を目指していると述べています。

これに関して同社は、アリババグループの株式を活用し、1兆2500億円の資金調達に成功したと発表しました。

詳細

次に同社の決算情報を事業別に見ていきます。事業別のセグメント利益は以下の通りです。

ソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業 -1兆9314億円 前期比165%減
ソフトバンク事業 9,233億円 前期比7.4%増
アーム事業 -428億円 前期比132%減
ブライトスター事業 -53億円 前期比77%増
その他事業 -2495億円 前期比177%減

まずソフトバンク・ビジョン・ファンド等SBIAの運営するファンド事業について見ていきます。

Uber、We Workおよびその関係会社3社の公正価値が減少したほか、新型コロナウイルスの感染拡大の影響に伴い、第4四半期においてその他の投資先の公正価値の合計が減少したことを受け、当期末保有する投資の未実現評価損失(純額)は1.9兆円に及びました。

現在同社は88銘柄を保有していますが、同社社長の孫正義氏はオンラインにて行った記者会見にて「投資を行っている世界各地の88の企業に関して、15社くらいは倒産すると考えているが、15社くらいはそれらの損失をカバーできるほどの成功を収めるだろう」と述べていました。

また、「リーマンショックなど、大きな経済不況の後は新規事業が大きく成長することが確認されている」と述べた一方で自身を楽観主義者であるとも述べていました。

同社は投資先の事業に対する支援として、SBIAは投資先企業と緊密に連携しながら、収益の減少や流動性の低下など、事業環境のさらなる悪化に備えるための支援を行い、新型コロナウイルスの感染拡大による経済悪化局面における事業への悪影響の低減を図っているとしています。

次に旧ヤフー事業を含む、ソフトバンク事業について見ていきます。

コンシューマ向けサービスを中心とする通信事業が牽引し増収増益を達成したとしています。

具体的には「SoftBank」「Y!mobile」「LINEモバイル」の3ブランドを擁するスマートフォンの累計契約数や光回線サービスの累計契約数が増加し、顧客基盤が順調に拡大した結果の増収増益であったとしています。

新型コロナウイルスの感染拡大による影響としては、通信サービス契約者は引き続き安定的に推移し、外出自粛の影響で通信サービス契約者のデータ使用量が増加すると見込んでいるものの、店舗へ来店する顧客数の減少や対面販売の機会の減少などの悪影響が見込まれるとしています。

次にアーム事業について見ていきます。

同事業では、低消費電力型マイクロプロセッサーおよび関連テクノロジーのデザインなど、半導体のIPのライセンス事業を行っています。

アーム事業の業績は半導体市場の動向に強く影響を受けることがあり、今まで減少傾向にあったものの現在は回復の兆しがある一方、貿易摩擦や特定企業への制裁の影響や新型コロナウイルスの感染拡大の影響にさらされているとしているものの、現時点で半導体業界全体やアーム事業への悪影響を見通すことは時期尚早であると考えています。

同社は今後の見通しとして、テクノロジーの高度化の進行に伴いアームのテクノロジーが活用される機会が長期的に拡大していくと期待できると述べています。

また同社は未確定な要素が多く、連結業績を見通すことが困難であることを理由に、2020年度の業績見通しの発表を控えました。

決算発表後のソフトバンクグループの株価の推移

5/18の終値である4,621円に対しては5/19は4,697円の始値でスタートしました。

一時4,700円を超えましたが、その後は大幅に下落し、終値は4,494円となっています。

一時的な高値は、厳しい経営状態の中、1.2兆円以上の資金調達を行ったことに対する好感から来たものだと考えることができます。

しかしながら前期決算から3兆円以上の減益となり、1兆円以上の営業損失を出したことのインパクトは大きかったため、前日終値に対して3%ほど下落したと考えることができます。

今後の株価の推移ですが、4.5兆円の同社保有資産の売却または資金化を行うとしているものの、事業業績を向上させる要因にはなりえず、株価を継続的に上昇させていく要因にはなりにくいと言えます。

また同社社長の孫正義氏によるファンド事業への見通しも自身の経験に基づいたものであり、自らを楽観主義者だと述べていたこともあり、次期における業績の見通しも非常に不安定であると言えます。

したがって同社が投資する企業や事業が一定の成果を見せるなどの好材料がない限り大幅な株価の上昇は見込みにくく、横ばいもしくは下落での推移になると言えるのではないでしょうか。

参考元:ソフトバンクグループ(株) 2020年3月期 決算短信

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