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原油需給の考察とエネルギーセクターへの投資について

石油は、現代社会の発展に欠かせないものとして非常に重要な役割を果たしてきましたし、依然果たしています。

しかし、それに伴う様々な問題も意識されるようになり、産業全体として岐路に立っているようにも見えます。

原油価格は、需要と供給のバランスで決まっています。

その代表的な参考価格となるのが、NY上場のWTI(West Texas Intermediate)と呼ばれる軽質油の先物と、ロンドン上場のICEブレント原油と呼ばれるものです。

価格水準は異なりますが、連動して動いています。

原油価格はどのように決まるのか

原油価格はどのように決まるのでしょうか?

まず、供給サイドから見ていきましょう。生産量とその調整、埋蔵量などがファクターとしてあげられるでしょう。

原油はあと何年で掘りつくしてしまう、という話を昔はよく聞きました。今はあまり聞きません。生産量は増えているのに、不思議です。

そもそも、地球上にどれだけの原油の埋蔵量があるのかは分かっていないようです。

新たな発見もありますし、採掘コストとの兼ね合いで採掘していなかった油田が、技術の進歩により採掘可能になっていたりします。

その一つの例が、アメリカのシェール・オイルです。

原油価格の高騰と技術の進歩で、採掘によって利益の出るレベルになったことで一気に拡大し、アメリカは今や世界一の石油産出国になっています。

1バレル当たりの採掘コストが50ドルであったとすると、原油価格が50ドル以下では損が出るので採掘はしない、60ドルであれば、利益が出るので沢山掘ります。

シェール・オイルの採掘コストは比較的高いと言われているので、価格の調整弁になっているともいわれています。

輸送が効率化されると、シェール・オイルがもっと市場に出やすくなるともいわれており、供給を増やせる潜在力はまだまだあります。

また、原油価格に直接的な影響を与えるのはOPEC・OPECプラスなどによる生産調整です。

価格維持のための減産合意がなされたりしますが、原油価格が上昇したら出来るだけたくさん売りたくなるため、結局、減産合意がなかなか守られていないのが現状です。

供給サイドは潜在的な供給量まで考えると、かなり大きいと考えて良いかと思います。

では、需要サイドはどうでしょうか?

原油はどんなものに使われているのでしょうか?まず、輸送用としてガソリンやジェット燃料などでしょう。

重油も様々な用途があります。また、多くの化学製品の原料にもなっています。

景気のサイクルの影響を大きく受けるものが多いです。

また新興国の成長は、石油への需要を基本的には増加させます。これは長期トレンドとしての需要増の要因です。

人口増、新興国経済の経済成長などにより、世界の石油消費量における、OECDなどの先進国のウェイトは下がり続け、今や4割くらいになっています。

新興国のウェイトが上昇し、世界全体の需要の伸び(約年2.6%)は新興国がけん引しています。これは安定した長期トレンドと思われます。

その一方で、大きな問題・関心事になっている地球温暖化・気候変動の一つの大きな原因とされているのが、二酸化炭素排出問題です。

これは主に化石燃料(石炭や石油)を燃やすことから発生します。

地球温暖化対策から、二酸化炭素排出を減らすため、エネルギー効率を向上させて、同じエネルギーを得るために燃やす化石燃料の量を減らす努力がされています。

また、自動車においても、ガソリン車、ディーゼル車から、ハイブリットへ、そして電気自動車(EV)化が従来以上に進んでいます。

航空機の世界でも、エネルギー効率の良いエンジン・機体の開発が進んでいます。

また、石油製品であるプラスチックにしても、ごみ問題もあり、これを減らす方向で様々な研究がされています。

長期では、新興国の経済成長の需要増と、先進国も含めた脱炭素エネルギー、プラスチックごみ削減の動きで、需要は増加するものの、その増加率は低減していくことが予想されます。

足元の原油需給と投資先

長期の需給のトレンドを構成する要因を考えてきましたが、足元では、3月にOPECプラスで減産合意がなされず、そして、4月に減産合意が出た時には、新型コロナウィルス感染拡大防止のための経済活動停止の影響が出て、需要が一気に冷えてしまいました。

飛行機が飛んでいないので、ジェット燃料の需要がなく、移動制限により自動車が動かないので、ガソリン需要も大きく減退しました。

活動停止状態は2か月程度にわたったこと、そして、活動再開後も緩やかに戻していくので、冷え込んだ需要が一気に戻ることは予想しがたいし、新たな生活様式はこれまで程の移動や消費を伴わない可能性もあり、過大な期待は禁物です。

こうして見ると、目先は厳しい状況が続きそうです。一方で、ここまで、下落したので、短期中期的には引き続き投資機会は存在すると思います。

では、どのような形で投資するのが良いでしょうか。原油は現物で取引をされる方はいないと思いますので、排除します。また、先物で投資する人も少ないかと思います。

とはいえ、ファンドやETFなどを介して先物に投資することは可能です。

石油のようなコモディティは、債券や株と違い、保有しているだけで利子や配当がもらえるわけではなく、利益の源泉は価格の動きです。

価格がどちらの方向に動くかで、買いや売りを考える必要があります。

先物市場で直接先物を売買しなくても、同様のことがETFを使えば可能になります。(米国市場上場のETF)

先物価格が上昇したら価格が上昇するETFや、逆に先物価格が下落したら価格が上昇するETFや、更にそれぞれにレバレッジをかけたETFなどもあります。

逆オイルショックと言える今こそ知りたい原油投資

先月、原油先物価格が史上初めてマイナスになって話題になりましたが、需給の問題が大きかったとはいえ、その裏では、このレバレッジのかかったETFの存在が大きかったといえます。

株式で原油関連のセクターに投資しようとした場合、関連セクターはたくさんあります。

エクソン・モービル(NYSE:XOM)のような総合型の石油企業、採掘に特化した企業、輸送に特化した企業、採掘に関連したサービスを提供する企業など沢山あります。

それぞれ見るべき要素は多少異なりますが、基本的には原油価格の動きを見ていく必要があります。

最も一般的な総合型の石油企業は、巨大企業でもあり、財務的な体力は非常に強いものがあります。

業績の伸びは、景気のサイクルによって大きく変わりますが、かなり高い配当を払っています。

例えば、エクソン・モービルは、5月15日現在で、8.29%の配当利回りです。

配当がカットされるかどうかが大きなポイントになりますが、配当カットがなければ、配当で安定的なリターンを稼ぐというのも一つの方法かと思われます。

原油価格に明るい未来が描けないのであれば、原油価格先物のベア型ETF(先物価格が下がると価格が上昇するETF)などでヘッジをかけて投資し、配当をもらうのも一つの方法です。


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免責事項と開示事項 記事の作者、松本義和は、記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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