メルカリの決算内容と株価の今後について

メルカリはみなさんご存知の通り、日本に本社を置く企業で、フリマアプリ「メルカリ」のサービスを運営している企業です。
同社はメルカリ日本事業、メルカリ米国事業、QRコード決済であるメルペイ事業の3本柱を確立しており、今後もそれぞれの分野において事業成長を目指すとしています。
フリマアプリ「メルカリ」競合としては主に楽天(株)が運営する「ラクマ」が挙げられます。
2019年末時点でのダウンロード数について、メルカリは7000万以上であるのに対し、ラクマは1500万以上となっており、「メルカリ」は競合である「ラクマ」を大きく突き放していることがわかります。
本記事では2018年6月に東証マザーズに上場し、その実績や将来性からユニコーン企業として話題になったメルカリの2020年6月期第3四半期決算情報と今後の株価の推移について見ていきます。
同社の5/1時点での同社の時価総額は4,235万円で、発行済株式数155,817,495株となっています。
決算発表前におけるメルカリの株価推移について
メルカリは2020年6月期第3四半期決算を2020/4/30の日本市場閉場後に発表しましたので、発表直前である30日における同社の株価の推移を見ていきます。
30日の前日である28日(29日は祝日につき閉場)の終値2,518円に対して、30日は2,528円の始値でスタートしました。
その後は決算発表に向けて徐々に株価は上昇し、30日の終値は始値から8.5%上昇した2,743円になっています。
同社の今までの株価の値動きを概観していきます。
同社は2018年6月に東証マザーズに上場しました。
IPO当日に公募価格3000円から倍の6000円まで株価が高騰するなどの動きを見せ、初日の終値は5300円となっていました。
しかしその後はフリマ事業以外のメルペイや海外事業での業績の悪さや最終損益の大幅な赤字などにより株価は低迷し、2019年初頭では1800円台まで下落しました。
その後はやや回復したものの、同社株価は再び下落し、新型コロナウイルスを発端とした世界経済の悪化の影響もあってか、2020年3月末には1600円台まで下落しました。
その後同社株価は回復傾向にあり、30日には2,743円の終値となりました。
メルカリの決算情報
概要
メルカリが2020/4/30に発表した2020年6月期第3四半期決算によれば、連結の売上高は203億円で前年同期と比較して49.8%の増加と非常に好調であると言えるでしょう。
その一方で営業利益はマイナス63億円で、前年同期から40億円の赤字幅拡大となっています。
一株当たりの四半期純利益はマイナス114円82銭であり、前年同期のマイナス51円28銭から63円54銭のマイナス幅拡大となっています。
同社はこの経営成績に対する説明として、「メルカリ日本事業・メルカリ米国事業・メルペイ事業の3事業を柱として確立し、引き続き事業成長を最優先した投資を継続する勝負の年として位置づけており、ミッション達成に向けた強固な基盤の構築を進めてきた。国内のフリマアプリ市場拡大やメルペイの顧客・加盟店の獲得などにより、同社の売上高は好調であった一方、その過程において広告宣伝費や人件費が増加したため、営業損失・経常損失が203億円前後にまで増加した。」と述べています。
その一方で「連結営業損失は第2四半期決算で一旦ピークを越え、今後日本のメルカリ事業のGMV成長率の再加速と業務提携効果により、連結営業損失は縮小方向に向かっていく。」との考えを述べました。
なお、GMVとはキャンセル等を考慮した後の取引高の合計のことを指します。
また新型コロナウイルスによる同社に対する影響は、第3四半期決算においてはほぼないと述べています。
詳細
次に同社のメルカリ日本事業・メルカリ米国事業・メルペイ事業それぞれについてより詳しく見ていきます。
メルカリ事業においては、MAU(月間アクティブユーザー)とGMV(調整後取引高)ともに上昇を続けており、MAUは前年同期と比較して27.5%増加の1,657万人、GMVは23.4%増加の1,641億円となっています。
第2四半期においては、暖冬の影響や昨年度のCRM施策の影響によりGMVが前年同期比20%増と鈍化しましたが、第3四半期決算においては成長率が再び拡大しています。
これに対して同社は継続的な出品施策による出品向上および出品と購入バランスの最適化が進んだ結果であるとの見方を示しています。
これらの結果、メルカリ日本事業の売上は153億円となり、前年同期と比較して26.7%増加しました。
調整後営業利益は46億円、調整後営業利益率は30%となり、それぞれ前年同期比57.6%増加と6ポイント増加であり、非常に好調であると言えるでしょう。
メルカリ米国事業においては、マーケティングへの投資拡大により、GMVおよびMAUの成長加速を達成しました。
GMVは160億円と前年同期と比較して55%増加しており、またMAUも340万人にまで増加し、前年同期比74%を達成しています。
これに対して同社は、「第3四半期においては認知度の向上に注力してきた。今後もさらなる成長への礎を気づきたい。」と述べ、さらなる投資の継続を示唆しました。
メルペイ事業においては、2020年6月期は先行投資やメルカリとのシナジー創出を行うフェーズにあると述べ、「日常で使われる決済」を目指しているとしています。
利用者は600万人を超え、加盟店数も170万か所になりました。
来期以降は次のフェーズであるメルペイ収益化を目指していくと述べ、来期以降同社の営業損失が縮小する可能性を示唆したと言えるでしょう。
これらを踏まえて、同社は2020年6月期通期業績予想を発表しました。連結での売上高は730~750億円、営業利益はマイナス250~マイナス230億円になり、メルカリ日本事業単体での売上高は570~580億円で前年同期比23~25%増になると予想しています。
この業績予想に関して同社は、「日本、アメリカの両地域におけるEコマース需要拡大により、メルカリ事業は拡大していく一方、オフライン決済が主軸のメルペイにとっては向かい風になると予測できる。」と述べています。
決算発表後のメルカリの株価の推移
メルカリの2020年6月期第3四半期決算発表直前である2020/4/30の終値は2,743円でしたが、翌日5/1の始値は2,613円となっており、5%下落しています。
その後同社の株価は回復したため、1日の終値は2,718円となり、前日終値と比較して1%の下落となっていました。
同社の営業損失は大幅な赤字であったものの、メルカリ日本事業を始めとした同社の売上は好調であったことに加え、メルペイ事業が来期以降収益化を推し進めるフェーズに突入する見通しを示したことや新型コロナウイルスなどによる外的要因の変化を注視する必要性は述べたものの、2020年6月期の業績予想を示したことなどが評価されたため、1日の終値は決算発表前とほぼ同水準であったと推測できます。
今後の動きとしては、メルカリ日本事業が好調であることに加え、来期以降メルペイ事業が収益化に向けて動き出すことから、長期的に見れば同社の株価は上昇していくと考えられるのではないでしょうか。
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