新型コロナによる相場急落。投資信託を持っているけど、どうすればいい?

まだはっきりとした終息の兆しが見えない新型コロナウイルス感染症。
投資家の方はまだまだ悩みが尽きないはずです。
とくに投資信託を保有している方は、個別株式の投資と違って“満期”という概念があるため、余計不安になってしまうかもしれません。
本記事では、今回の新型コロナウイルス感染症による影響はもちろん、今後の相場急落に備えた投資信託保有者に必要な心持ちについて、お話していきます。
刻一刻と状況が変化する中、ひとつの道しるべとして参考にしていただけると幸いです。
【3月】コロナによる投資信託への影響
まずは、実際に新型コロナウイルス感染症による相場急落で、投資信託はどのような影響を受けているのかを確認していきましょう。
参考:日本経済新聞
これによると、2020年3月の投資信託月間騰落率(分配金再投資ベース)は下記のようになっています。
騰落率下位ランキング順位 | ファンド名 | 運用会社 | 騰落率(%) |
1位 | 資源ツインαファンド(通貨選択型)ブラジルレアルコース | T&D | -59.3 |
2位 | 米国MLPファンド(毎月分配型)Bコース(円ヘッジなし) | ドイチェ | -49.81 |
3位 | 米国エネルギーMLPオープン(毎月決算型)為替ヘッジなし | 三菱UFJ国際 | -49.35 |
4位 | 米国MLPファンド(毎月分配型)Aコース(円ヘッジあり) | ドイチェ | -49.07 |
5位 | 米国エネルギー・ハイインカム・ファンド | リクソー | -48.76 |
6位 | 米国エネルギーMLPオープン(毎月決算型)為替ヘッジあり | 三菱UFJ国際 | -48.15 |
7位 | 資源ツインαファンド(通貨選択型)トルコリラコース | T&D | -47.69 |
8位 | インデックスファンドMLP(1年決算型) | 日興 | -47.62 |
9位 | インデックスファンドMLP(毎月分配型) | 日興 | -47.24 |
10位 | ニッセイ・オーストラリア・リート・オープン(年2回決算型) | ニッセイ | -46.78 |
(図1)
図1は、ETFとブル・ベア型を除く国内公募追加型株式投資信託5,754本のうち、騰落率下位ランキング1位~10位を示したものです。
全体的に「資源」、「エネルギー」といった単語が目立つかと思いますが、コロナショックにおいて原油などのエネルギー需要が減少するとの見込みとなったことや、主要産油国による協議で協調減産交渉が決裂したことなどから、原油価格が大きく下落したことが要因の1つとなっています。
ちなみに5,754本のうち全体の9割の騰落率がマイナスとなったようで、金融市場は大きく打撃を受けていることがわかります。
4月の月間では騰落率に変化はあるのか、今後の情報にも要注目です。
投資信託を保有しているときに心得ておくべきこと
ここでは、投資信託を保有していて新型コロナウイルス感染症などによる影響を受けてしまっている方やその不安がある方が心得ておくべきことを3つ、解説していきます。
今回の事象に限らず今後も生かすことができるので、ぜひ参考にしてみてください。
焦って売却する必要はない
人間は行動経済学的に、利益を得ることよりも損失を被ることに敏感で、損失をできるだけ避けようとしてしまう習性があります。
なので、今回のように新型コロナウイルス感染症などの影響で相場が急落し、自分が保有している投資信託のパフォーマンスが落ちてしまうと、“これ以上下がる前に売ってしまいたい!”と後先考えずに手放してしまうことがあります。
しかし、投資信託はどちらかというと、中長期的に保有して資産を形成していくための金融商品であると考えられます。
なので、新型コロナウイルス感染症という突発的な出来事による相場急落が一時的なものである場合に、焦って投資信託を売ってしまうと非常にもったいないです。
もし中途解約するとなるとコストとして「信託財産留保額」を支払うことになり、それも負担になってしまいます。
本来投資信託は、満期まで保有することを前提に組成されているので、中途解約を希望するとこのようなコストは避けられません(かからない投資信託もありますが)。
また、相場というのはずっと下がり続けるということはめったになく、いつかは必ず転換点が訪れます。
今回の新型コロナウイルス感染症などの影響による相場急落と似たものとして、2008年のリーマンショックが挙げられますが、数年経てば相場水準は元通りです。
長い目で資産を育てていきたいと思うなら、現時点での含み損はそのままに、広い心で相場が反発するのを待つのが適切だと考えられます。
再投資利回りは長期的に改善する
投資信託では、プロの運用によって資産が大きくなることで基準価額が上昇し、その上昇分が運用益となります。
基本的にこの運用益は、一部または全部が「分配金」という形で投資家に還元されることになっているのです。
そして、この分配金の使いみちについては、再投資か口座受け取りを選択することになります。
再投資とは、分配金を投資資金に回して同じ投資信託を再度購入することです。
本来投資信託の購入には販売手数料がかかりますが、再投資の場合にはこの手数料が免除されるというメリットがあり、再投資コースを選択しておけば自動でおこなわれるので手間もかかりません。
また、福利効果が高まるのも大きな魅力です。
そこで、もし新型コロナウイルス感染症によってある銘柄の株価が大きく下落し、含み損が拡大したとします。
短期的に見るとこの含み損は、非常にネックに感じられるかもしれません。
しかし、長期的な視野で見ると、配当利回りが上昇することで保有し続ければするほど含み損分をカバーでき、最終的にはパフォーマンスを上回ることが可能です。
株価が下落したとしても、分配金の再投資利回りは長期的に改善するということを意識しておきましょう。
資産の見直しが必要になる可能性
新型コロナウイルス感染症など不測の事態によって相場が急落したとき、焦ってすぐに売却する必要はないとお話しましたが、やはり自身のポートフォリオには敏感になるべきです。
つまりは、資産の見直しは必要不可欠だということになります。
1番のポイントは、「分散投資」ができているかということです。
投資信託は分散投資が容易におこなえる金融商品となっていて、投資の際は資産の組み合わせが非常に重要になってきます。
分散させるポイントとしては、投資先の地域やリスクの大きさなどが考えられます。
たとえば、日本の金融商品ばかり投資をしているよりも、アメリカやヨーロッパなどの地域の金融商品も併せて保有しておいた方が、日本の相場が急落してしまったときのダメージを抑えることができます。
このような一時的な相場の急落では、思わぬところで資産の割合が変化していることもあるので、これを機に見直しをしてリバランスをおこなっておくことが大切です。
まとめ
本記事では、新型コロナウイルス感染症による相場急落において、投資信託を持っている方に知っておいていただきたいことをお話してきました。
冒頭にご紹介したとおり、投資信託の9割がマイナスとなっていて、金融市場はかなり深刻な状態です。とくに、資源・エネルギーといった分野には不安が募ります。
しかし、今回のように原因が明確な相場急落の場合は、ずっと下落し続けるということはなく、いつかは必ず上昇に転じると考えてよいと思います。
とくに投資信託という長期的に資産を形成するための金融商品を持っているからには、粘り強く育てていくべきです。
とはいえ、ほったらかしておくのではなく、ポートフォリオの見直しはやはり欠かせません。
改善に向けて、今できることをコツコツおこなっていくことが大切です。
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コロナ禍で消費者が一斉にレストランや航空機の利用を敬遠した一方、在宅需要という大きな恩恵を享受し、新産業として伸びた分野もあります。過去1年で既に株価は大幅に上昇してしまいましたが、在宅関連銘柄としても、長期的な成長株としても注目できる3銘柄を取り上げます。
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