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FRBの緊急融資策によって金と金鉱株セクターの時代が到来するのか

新型コロナウィルスによるパンデミックが起こり、世界経済は景気後退期へ突入することがほぼ確実な状況となっています。

米国の失業保険申請件数は過去最大となり、4月の失業率は10%を超えるとも言われています。

FRB(米連邦準備制度理事会)が次々と緊急融資策を打つのは、米経済が前例がないほどの危機的な状況であるからです。

ウィルスが私たちから奪ったものは命だけでなく人と人との交流でした。

対人接触が感染へと繋がるリスクがあるため、世界経済が停止した状態となり、多くのサービス業が自粛へと追い込まれています。

こうした有事の際に人気になるのが金や金鉱株です。

政府が通貨供給量を増やす中で、金の先物価格が高騰しています。

長期チャートを見ると株価が「カップ・ウィズ・ハンドル」というチャートパターンを形成しており、さらなる金価格の上昇が期待されます。

今後は横ばいの価格帯や上値抵抗線があるかもしれませんが、新値更新の可能性が極めて高いでしょう。

なぜなら、米政府は景気を刺激しようとしており、FRBも前例がない金融緩和策を次々と打ち出していますが、人々の健康に対する不安はワクチンが完成するまで長期間に渡り続き、将来への不安から消費行動を抑える傾向が続くからです。

局面としては金が活躍する時代に突入しています。

また金鉱株は金よりも大きく値上がりする傾向があり、金鉱株への投資が今後しばらく活発になるはずです。

株式市場の市場規模と比べて金市場は10分の1程度に過ぎません。つまりわずかな資金が流入するだけで一気に金鉱株が高騰することが期待されます。

過去にも1970年代のインフレ局面や2008年のリーマンショック時に金は高騰しました。

そしてコロナ・ショックが引き金となり世界のお金がグロース株から安全資産へと流れています。

そもそも金とは何か?なぜ金鉱株なのか?

まず金には2つの役割があります。

それは「通貨としての金」と「コモディティとしての金」です。

そもそも金の需要の50%は宝飾品、投資は27%、その他が公的機関(中央銀行)が15%、工業関連が8%です。

なぜ中央銀行が一定数の金を保有しているのかというと、自国通貨の価値を保証するためです。

例えば紙幣がなぜ価値を持つかというと、多くの人がその紙幣に価値があると信じているからです。

日銀の場合、日銀発行の紙幣に価値があると裏付けるために米国債や金・銀を保有しています。

つまりドルや金を保有していない通貨の価値は安全性が低いともいえるのです。

新興国の中国やロシアが必死に金を集めているのは自国通貨の価値を裏付けようとしているからに他なりません。

そしてなぜ金の宝飾品の需要が50%もあるのかというと、インドや中国には花嫁に金の宝飾品を持たせる習慣があるからです。

自国通貨を信用できない場合、金を持たせることが一番合理的なのです。

つまり我々が生きる資本主義社会の紙幣の裏付けのために、金は常に必要とされているのです。

そもそも米国では1971年まで金は固定相場制でした。これにより金価格は変動しませんでした。その理由はドルの裏付けのためです。

金の保有量に対してドルの供給量も決まっていました。ところが米国はベトナム戦争の影響で深刻な財政赤字に陥りました。

これにより金が大量に米国から流出し、ドルの価値が下落していきます。金本位制が崩れ、大量のドルを発行できるようになったのです。

こうして紙幣の流通量が増えることと比例して、金やモノの価値が値上がりするようになったのです。

その後1980年代からの20年間で世界経済が何度となく経済危機が襲い、各国が保有していた金を売却したことと、金鉱会社が金を空売りするなど世界中が金を売り続けたため、長年、金価格は停滞していました。

しかし2000年代に入ると金ETFが登場したことと、金価格が生産コスト付近まで値下がりしたことから、大きな上昇局面へと向かいます。

金相場の目安として、金先物価格と米2年債利回りが反対の動きをするシーソーのような関係であることも覚えておくと良いでしょう。

そもそも金は利息を生まないので、金利上昇局面では株式に投資をしたほうが得です。

しかし、今のような金利が下落する局面では金の魅力が増していくので、金価格が上昇を期待できる局面ですが未だ高騰していません。

加えてFRBがゼロ金利政策を打ち出したことで米2年債利回りも下落して売られており、過去のデータ通りなら上昇局面といえるはずです。

ではなぜ高騰していないのかというと、機関投資家の金を組み入れたポートフォリオがまだ追いついていないことが主な理由でしょう。

個人投資家にとっては金鉱株を組み入れるチャンスでもあるのです。

なぜ金鉱株かというと金鉱山会社の生産コストは変わらず金価格が上昇するので、そこにレバレッジ効果が発生して金鉱山会社の利益が大きく伸びることが期待されるからです。

次に金鉱株会社をいくつか解説していきます。

金鉱株セクター分析

産金会社は1オンスの採掘コストが異なります。

その理由は金の鉱床の状態でそれぞれ露天掘りにするのか、地下深くに炭鉱夫が掘り進めなければならないのか、それによりコストが異なるからです。

つまり露天堀りのほうがコストが安く、ニューモント・マイニングやパリック・ゴールドは露天堀りを主体とした企業であるため、産出コストが他の金鉱山会社よりも安いのです。

それに対して南アフリカのハーモニー・ゴールド・マイニングは立坑であるため産出コストが高くなります。

つまり産出コストが高く、通常時は利益が見込めませんが、金上昇局面では通常時の株価が低い分、上昇した場合は大きな利益を狙いやすくなり、多くの投資家が意図的に南アフリカの金鉱株に集中投資をするケースが起こるのです。

また金鉱株は下落のスピードも速い銘柄であるので短期売買向きと言えるでしょう。

ニューモント・コーポレーション

ニューモント・コーポレーション(NYSE:NEM)は世界第2位、全米最大の金鉱山会社です。

第4四半期決算はEPS2.94ドル、1株当たり配当は0.56ドルです。

金鉱株として唯一「S&P500」にも採用されています。

金の生産業者として北米、南米、アジア太平洋、アフリカのセグメントを通じて事業展開をしています。

バリック・ゴールド

バリック・ゴールド(NYSE:GOLD)はカナダ最大手の産金業者です。金の生産量は世界一です。

第4四半期決算はEPS1.32ドル、1株当たりの配当は0.19ドルです。

世界各国で事業展開をしており、合計で30の金・銅鉱山の権益を所有しています。

上場している証券取引所はカナダのTSX(トロント証券取引所)と米国のNYSE(ニューヨーク証券取引所)の2つに上場しています。

決算は米ドルで発表しています。

ハーモニー・ゴールド・マイニング

ハーモニー・ゴールド・マイニング(NYSE:HMY)は南アフリカ第3位の産金会社です。

南アフリカの採掘場は米国やカナダよりも採掘コストが高いことに加えて、金塊のグレードが劣化しており、生産コストが高く、同業他社と比べて収益性が低くなっています。

しかし金価格が上昇する局面では、利益が何倍にも膨らむため株価が大きく上昇します。

それを利用して、意図的に同社の株を購入している投資家もいるのです。

金投資の種類

実際に金投資をする方法は幾つかありますが、ここでは「純金積立」「金ETF」「金地金」について解説していきます。

純金積立

純金積立ですが、メリットとしては購入の手間がかからず少額投資が可能です。

実物資産なので引き出しも可能ですが手数料が高いことがデメリットといえるでしょう。

主に証券会社や貴金属会社などで積立が出来ます。

金ETF

金ETF(投資信託)ですが、証券会社で購入出来ます。

メリットとしては手数料が低いことと、一番簡単に投資ができます。

具体的にはSPDRゴールドシェア(GLD)という金価格の値動きと連動するETFを購入することでしょう。

日本の証券会社からも米国株の取引口座さえあれば投資することができます。

デメリットとしては現物の金との交換を前提としていないことでしょうが、金投資という意味では必ずしも現物資産にこだわる必要もないでしょう。

株価低迷時の投資先は「金」が最適?金投資のメリットと代表的なETFを紹介

金地金

金地金ですが、少額から購入(Amazonでも購入可)できることと、5年以上保有することで税金が減額されるメリットがあります。

デメリットとしては保管コストが高いことです。

金地金の標準サイズは1kgバーであり、金地金投資をするには最低でも数百万円がかかるので、まとまった資金を持つ方が対象と言えるでしょう。

おわりに 金と金鉱株はどこまで上昇するのか?

新型コロナウィルスが引き金となり、今後、金と金鉱株の時代が到来することは間違いないでしょう。

なぜなら「最後の貸し手」であるFRBが「ゼロ金利政策」と「量的緩和政策」という2つの政策を発表したからです。

このこと自体が異例ですが、それに加えて「量的緩和政策」の規模を無期限としており、法改正してまで禁じ手といわれる社債の購入まで実行しています。

ここまで次々と政策を実行しているのは、それだけ世界経済が破壊的なダメージを受けているからに他なりません。

こうした有事の時こそ金と金鉱株は輝きを増していきます。

金先物価格の最高値1923ドルをいつアウトブレイクするのか、またティーカップのように底が深いチャートを長年形成してきたからこそ、底の深さ分の上昇が起こり得るのです。

最高値と底値の幅を足すと3,540ドルとなりますが、数年後3,540ドルをターゲットに大暴騰する可能性も充分にあるでしょう。

ぜひ今こそポートフォリオの一部に金や金鉱株を組み込むことを検討すべきではないでしょうか。

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