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日本の緊急事態宣言による株価への影響は?

出典:Getty Images

新型コロナウイルスの感染拡大に備え、安倍晋三首相は7日、新型コロナ特措法に基づき緊急事態宣言を7都府県に発令しました。

ようやくとも言える発令ですが、外出自粛要請など法的に強制力のあるものは少なく、医療品や食料の売り渡し・臨時医療施設を開くための土地や建物の利用にのみ強制力が発生するものとなっています。

発令から一夜明けた8日は全国での新しい感染者確認数が400人を超える中、罰則を伴う行動制限や都市封鎖(ロックダウン)を含む海外の措置と異なる今回の発令は、その効力を疑問視する声も少なくありません。

しかしながらGDPの半分弱を占める7都府県への発令によって日本経済がさらなる後進をみせることは確実で、主に外出自粛による需要減から外食産業や宿泊産業にはさらなる痛手となりそうです。

一方で、日経平均株価は7日の発令に伴って上昇を見せています。

この要因としては、海外での感染ペースが鈍化していることからピークが期待されること、また緊急事態宣言により悪い材料が出尽くしたとの見方がなされていることが挙げられますが、実態はパニック安ののちに来る買い戻しのフェーズと見るのが妥当でしょう。

実体経済に反した株価の上昇が、今後どこまで保たれるのかは依然不透明です。

市場は上昇も結局はウイルス次第

今回のいわゆるコロナショックは、経済的影響において「リーマンショック級」と危惧されています。

実際のリーマンショック時の相場を見直してみましょう。

NYダウは2007年10月11日に高値14198ドルをつけ、底に達した安値は2009年3月6日の6470ドル(騰落率54,4%)となっており、相場下落の期間としては500日を超えています。

また当初は影響の大きさを過小評価していた日経市場も、最終的に2009年3月10日に7054円の底をつけており、リーマンブラザーズ破綻の2008年9月15日からおよそ6ヶ月の下落相場となりました。

今回のコロナショックによる株式市場への影響は長く見ても現在3ヶ月程度ですので、単純な比較ではありますが底を見たという判断はまだ早いのかもしれません。

実体経済の立て直しはウイルスの収束という極めて見通しの立てづらい未来にかかっていますから、今はまだ希望的な見方をする段階には立ててはいません。

特に株式市場の乱高下には、AIを用いてアクティブにリターンを求めるヘッジファンドの資金繰りによる取引膨張が含まれますから、現在の市場に参戦する場合は、ロスカットラインを決めリスクを限定化させた取引が望ましいでしょう。

産業界はさらなる低調

7日の発令以降、産業界では低調なニュースが続いています。

都内タクシー事業大手のロイヤルリムジンは8日、グループ会社を含む5社で約600人いる乗務員全員を解雇する方針を明らかにしました。

三菱自動車は生産停止中の国内工場の従業員を一部帰休させたほか、自動車大手は米国工場の軒並み生産停止の延長が決まっています。

旅行需要の激減を受け旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)は8日から5月6日まで、全国の店舗の臨時休業とほぼ全社員にあたる約6000人の社員を自宅待機とすることを決定しました。

物流業界はその公共性の高さから事業継続がもとめられていますが、それでも航空機減便などの影響からヤマト運輸では一部配送の遅れがあるとしており、佐川急便は5月6日まで予約集荷制とすることを発表しているほか、各社対応を決定しています。

今回の宣言の基となった特措法では、休業要請を出した企業名を都府県が発表することが示されており、従わなかった企業に社会的圧力がかかるという狙いもあるとみられ、今後もほぼ全ての産業セクターで一時的な休業の発表が相次ぐ見通しです。

外食など株価高

一方で7日の株式市場では、悪影響が最も大きいと予想される外食・サービス株が大きな上昇を見せました。

回転寿司チェーン大手のスシローグローバルホールディングスやトリドールホールディングス、居酒屋ではヨシックスや大庄のほか、カラオケやエンターテイメントの株価まで軒並み大幅高となっています。

実際の業績に関しては、外食チェーン大手のサイゼリヤが年間の予想利益を40%下方修正したことを8日発表したほか、鳥貴族は直営店全店舗の休業を発表するなど、確実に悪影響は広がっています。

これら外食・サービス株の上昇は政府の経済対策への期待感や欧州の感染鈍化などが要因として挙げられますが、やはり買い戻しやバーゲンハンティングによる株式需要の影響が最も大きいと考えられるでしょう。

コロナ「特需」も?

しかしながら、今回のコロナによって逆に発生した需要もあります。

厚生省が3月31日〜4月1日に実施した調査ではテレワークを実施している企業はわずか5.6%という結果でした。

これに関連した通信ソフトや機材の需要は今後期待感があり、関連銘柄としてはアクモス<6888>、日本オラクル<4716>、ソリトンシステムズ<3040>などに注目です。

またオンライン診療の規制緩和や医薬品・医療分野への注目も顕著で、オンライン診療大手のメドレー<4480>、すでにコロナウイルスへの有効性が取り沙汰された抗インフルエンザ薬「アビガン」の臨床試験段階に入っている富士フイルムホールディングス<4901>、医療系画像システムのイメージワン<2667>などの動きもチェックしていきたいです。

今回のコロナショックによりクローズアップされたこれらの事業は、収束後の上値も期待できるといえます。

欧米ピークアウトの兆しも2番底に注意

欧州や米NY州では感染のピークアウトにあるとの見方もある一方、国内では8日、感染者数増加が500人を超え、オーバーシュートへの危機感も高まっています。

政府は108兆円の経済対策を予定していることを発表していますが、給付申請の方法など具体的には未調整であり、今後も経済への影響は避けられない見通しです。

現在国内市場はオーバーアクションともとれる買い先行の模様ですが、特に国内での感染拡大の状況は、不透明である限り上値の重しとなるはずです。

数ヶ月以内のいわゆる「2番底」の安値も想定されますので、基本的にキャッシュポジションは潤沢に、合理性に背くほどの短期的乱高下が起こってきていることに留意しましょう。

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