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原油価格の下落は米国株にどのような影響を与えるか

26日のダウ平均三十種は米国時間10:30の時点で、21,909ドル前後と前日比約700ドル高と続伸しています。

直近一週間では18,000ドルを伺う場面もあったことを踏まえると、一旦は落ち着きを取り戻していると思われます。

しかしながら、新型コロナウイルスに加え原油価格の大幅な下落は、今後も米国株に影響をもたらすでしょう。

今回は、原油価格の下落が米国株にもたらす影響について、考察していきたいと思います。

「原油戦争」際限なき消耗戦

前置きとして、此度の原油価格の下落について、簡単に背景をおさらいしておきます。

今回、OPEC(石油輸出機構)がコロナウイルスの感染拡大により、原油需要が減少するとの見方から対応を協議したところ、うまく案がまとまらず、2大石油大国のサウジアラビアとロシアはこれまで行ってきた協調減産を白紙に戻すという発表をしました。

サウジアラビアとロシアの大幅な増産により、石油価格下落分の収入をカバーしようとし、それによりさらに価格が下がるという地獄絵図です。

体力のない産油国から順に倒れていく消耗戦の様相を呈すこととなりました。

この発表を受けて、原油価格は一時30%以上下落し、史上最高の下落幅を記録しました。

現時点で、その状況は変化することなく、一時は17年ぶりの安値を付けることとなりました。

今後も、底打ったとは言い難く、10ドル台への下落も考えられる程で、緊迫した状況が続きます。

原油価格と米国株

それでは、原油価格と米国株はどのようにかかわってくるのでしょうか。

以下の2点が影響してきます。

  • 米国のシェールガス企業への影響
  • オイルマネーの流出による株価下落

それぞれ説明していきます。

米国のシェールガス企業への影響

原油価格の下落による、シェールガス企業への影響は甚大です。

シェールガスは原油に並ぶ新エネルギーとして、近年台頭してきており、米国のシェールガス企業は100を超えます。

しかし、当然ライバルは原油なので、原油の価格が安いとシェールガスを買ってもらえないため、採算が取れなくなります。

その採算は、原油価格にして、40~50ドルと言われており、今の水準では到底採算が取れません。

当然株価は尋常ならざる影響を受けており、例えばシェールガス会社の一つアンテロ・リソーシズ(NYSE:AR)は1.6ドルから0.8ドルへと一時50パーセント以上の下落をしています。

また、発展途上の技術ということもあり、財務的に虚弱なスタートアップ企業が多く、高配当のジャンク債を多数発行しています。

このジャンク債も価格が大きく下落しており、いくつかの会社のデフォルトの可能性も否定できません。

債権がデフォルトを起こせば、当然周りの企業へと波及し、米国株全体へと影響は波のように波及していくでしょう。

オイルマネーの流出による株価下落

サウジアラビアが代表的ですが、原油産出国の大富豪が、原油価格下落による損失の穴埋めのために、株式を売って損失補てんするのではないかという観測があります。

日本株の話になってしまいますが、東証一部上場のソフトバンクGは一時11パーセントもの株価下落を記録しました。

これは、石油産出国の大富豪が大株主であることから、資金流出懸念があったからです。

当然米国株でも同様の現象が起きると予想されます。

回復は見込めるか

前項の通り、米国株への影響は甚大ですが、今後の回復は見込めるのでしょうか。

今のところ、OPEC各国の戦いは消耗戦の様相を呈しており、原油価格の大幅な上昇は当分見込めなそうです。

とはいえ、エネルギー関係企業以外の資金流出は、ある程度緩和されることでしょう。

2015年~2016に原油価格が同等のように下落した時も、エネルギー関係企業以外への影響は比較的早く回復したからです。

エネルギー関連企業に関しては、今後しばらくは、低迷することを覚悟した方がいいかも知れません。

 原油価格下落は米国株にどのように影響を与えるか・まとめ 

今回のまとめとしては、

  • 原油価格は、シェールガス企業の採算、オイルマネーの流出の2点で米国株に影響を与える
  • 今後も原油価格はしばらく安定しないと思われる
  • エネルギー企業以外は、比較的早く回復する可能性もある

投資スタンスとしては、エネルギー株を避ければ、少し買い増ししてもいいかもしれません。

とはいえ、このように大きな動きがあった時は、しばらく様子を見るのが吉です。

大きな動きは、別の大きな動きを生み出します。

元はと言えば、今回の原油ショックは、コロナウイルスが発端で生まれたことを忘れてはなりません。

例えば、シェールガス関連企業の破たんによる債務デフォルトが起きた場合、連鎖破たんにつながる可能性なども考えられなくはありません。

複雑化した現代では、普段の動きは少ないのですが、動くときは、予想不能なことがいくつも起きるとされています。

しばらくは何が起きてもおかしくないとの姿勢で臨むべきでしょう。


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コロナウイルスの感染が欧米に広がったことにより、世界の株式市場が弱気相場入りしましたが、こういうときこそ企業の長期の成長性に集中する必要があります。「新型コロナウイルス相場で気をつけるべきことと、注目すべき米国株4銘柄」こちらからご覧ください。(メールアドレスの登録が必要です)

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