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子供の教育費を投資で運用する際の考え方 ~銀行金利ではカバーできないインフレ率の恐ろしさ~

ファイナンシャルプランニングの世界で、人生の三大支出は『教育・住宅・老後』となります。

その中でも子育て世帯が真っ先に直面する三大支出が教育費です。

前回の記事では日本社会における物価・民間給与・大学授業料の推移に関してお話させていただきました。

子供の教育費を投資で運用する際の考え方 ~増えない給与と増える教育費~

今回の記事では教育費を用意するにあたって、自分の親世代の『考え方』を絶対に真似してはいけないというお話をさせていただきます。

具体的な観点としては以下の2つです。

Ⅰ:収入に占める大学授業料の推移

Ⅱ:親世代と同じ手法で教育費を用意する危険性

:収入に占める大学授業料の推移

まずは前回の記事で紹介した、民間給与と国公立&私立大学の授業料の推移を集計したグラフを見てみましょう。

あらためてグラフを見てみると、2つの特徴が分かります。

  1. 国公立大学の授業料は、2000年以降ほとんど上昇していない(赤丸部位)
  2. 私立大学の授業料は、常に上昇している(灰色の線)

次に、このデータを基に、民間給与に対する4年間の大学授業料が占める割合をみてみます。

こうすることで大学授業料が収入に対してどれだけ影響しているかが分かるのですが、とても興味深い事が分かりました。

上記グラフから言えることは2つです。

  1. 国公立大学の4年間の授業料は、民間給与(年収)の50%を超えていない
  2. 私立大学の4年間の授業料は、民間給与(年収)の100%に近づいている

つまり国公立大学の授業料に関しては今の給与に対する授業の割合が、インフレしていくことはなさそうとも考えられます。

しかし私立大学に関していうと、授業料が高止まりしているようには見えません。

私立大学の授業料が上昇しなくても、もし我々の民間給与が減ると相対的に授業料の割合が高くなっていきます。

では私立大学の授業料のインフレ率はどれぐらいなのか?

直近の過去20年の推移から計算してみたいと思います

私立大学の授業料は、この20年間で1.15倍に上昇しており、年率換算すると1.4%のインフレになります。

:親世代と同じ手法で教育費を用意する危険性

国公立大学の授業料はこれ以上インフレする可能性は低そうですが、私立大学の授業のインフレは継続しそうです。

しかし子供の選択肢という観点からすると、私立大学の魅力は高いと思います。

昔と今で民間給与がそこまで変わっていないけど、私立大学の授業料は今も昔もインフレが続いているという事実。

では我々の親世代は、子供たち(自分達)の学費をどのように用意してきたのでしょうか?

おそらく、大多数の家庭は郵便局の定期預金や、学資保険だったかと思われます。

私の幼少期の記憶になりますが、母親が自宅の玄関で郵便局員(保険の人?)の人と定期的に話をし、万単位のお金を払っていた姿を覚えています。

では我々も親世代と同じように定期預金や学資保険でいいのか?と問われると、間違いなく『良いとは思えない』でしょう。

その最たる理由は、銀行の金利が2~30年前と今ではまるで違いうからです。

どれぐらい違うかというと、昔の銀行預金の金利は今よりも4000倍も高かったのです。

以下のグラフは、日銀が集計している銀行の定期預金『金利』の推移となります。

2020年現在の銀行金利は、定期預金でもほぼ0.01%しかありません。1990年初頭は4%近くもありました。

なぜこうなったかというと、景気刺激策として中央銀行がゼロ金利政策を行ってきたので、銀行や学資保険の金利も低下してきました。

この背景を話すと長くなるので割愛しますが、社会的な状況が昔と変わっており、今の金融政策が2~30年前の水準に戻るかは不明です。

では銀行預金の金利が4000倍も違うと、同じ『積み立て貯金』したらどれぐらい差がつくのか比較してみましょう。

条件は毎月2万円の積み立てを18年間行った場合です。

金利の条件は親世代の4%と、今の0.001%で計算します。

すでに見た目で驚きの結果です。具体的にどれくらい差があるのかというと、積み立て元本432万円に対して、

親世代の金利なら:6,401,095円 (元本に対して1.48倍増えた)

我々世代の金利では:4,320,410円 (元本に対して1.000095倍にしかならない)

見た目が小さな金利であっても、これほどの差がでてしまいます。

銀行金利の場合は投資商品みたいな価格変動がないので、資産は奇麗な複利なカーブを描いて増加していきます。

今回の記事では、あえて上記複利カーブを作成してお見せしました。

なぜなら、さきほど計算した私立大学の授業料は年率1.4%でインフレしております。

現在の定期預金の金利がほぼゼロなのを鑑みると、私立大学の授業料はこれからも年率1.4%ずつ複利カーブインフレしていきます。

つまり、積み立てている子供の教育の価値が目減りしていくことになるからです。

親世代の定額預金の金利なら大学費のインフレ率をカバーできましたが、今の定期預金の金利では積み立てた元本の価値が低下していきます。

頑張ってコツコツと定額貯金で教育費を積み立てても、18年後に『全然足りてない!?』と成りかねないのです。

親世代の『考え方』を絶対に真似していてはいけない理由がこれです。

このような事実を目の当たりにしつつ、次回以降の記事は、膨大な教育費に対して投資家目線でどう考えていった方がいいのかお話をさせていただきます。

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