【米国個別株動向】ハドソンズ・ベイの業績が回復する3つの可能性

モトリーフール米国本社、2018年11月10日投稿記事より
ハドソンズ・ベイ(ティッカー:HBC)は、カナダに本社を置く多国籍企業で、百貨店経営を手掛けるコングロマリットです。
現在の同社は、4~5年前のシアーズ・ホールディングス(以下「シアーズ」ティッカー:SHLDQ)とよく似ている点があります。
当時のシアーズは、価値の高い不動産を多数所有しており、資産額が企業価値を上回ると見られていました。
一方で、シアーズは損失を出し続け、赤字経営となっていました。
同社の株主は、経営改革によって損失を食い止めることと、保有する不動産の一部を売却して株主還元に充てることを期待しました。
しかし、このような株主の期待が叶えられることはありませんでした。
シアーズは優良な不動産を数多く保有していましたが、不動産の売却益のほとんどは、拡大を続ける赤字を埋め合わせるために使われました。
結果的に、シアーズは2018年10月、破産申請に至ることとなりました。
投資家はハドソンズ・ベイに、同様のジレンマを抱えています。
同社は価値の高い不動産を多数保有していますが、近年不採算な経営状態が続いています。
しかし、シアーズとは異なり、ハドソンズ・ベイの不動産戦略は成功する可能性が大いにあると思われます。
負債の劇的な縮小が期待される
ハドソンズ・ベイには、8月上旬時点で、貸借対照表に約40億カナダドル(31億米ドル)の負債およびファイナンス・リースがあります。
また、過去数年間で3つの合弁会社を設立し、これらの会社からほとんどの店舗をリースしています。
いずれの合弁会社にも、ハドソンズ・ベイの貸借対照表に記載されない借入金があります。
しかし、ハドソンズ・ベイは、2019年初頭までにこの負債の大幅な縮小に成功する可能性があります。
例えば、保有するロード&テイラーの旗艦店舗の売却が、今後数ヶ月以内に完了する予定です。
同社はすでに、その売却の前受金として1億米ドルを受け取っています。
そして、売却契約完了時には、追加で現金7.5億米ドル(または現金6.25億米ドルと1.25億米ドル分のビル所有権)を受け取ります。
さらに、ハドソンズ・ベイは、ヨーロッパの不動産および事業の約半分をシグナ・リテール・ホールディングスに売却する契約をまとめました。
ハドソンズ・ベイは、課税後で現金4.11億ユーロ(4.7億米ドル)を得る見込みです。
今回の取引により、ヨーロッパの不動産合弁会社を通じて抱える債務は、大幅に縮小されることになります。
また、ハドソンズ・ベイは先月、1億5,150万カナダドル(1億1,540万米ドル)を受け取りました。
これは、最近不動産市場が過熱しているバンクーバーで保有するショッピングモールの再開発に、単に同意したことによるものです。
このような不動産取引に加え、第4四半期の通常のキャッシュフローにより、ハドソンズ・ベイは負債を半減することができるはずです。
ハドソンズ・ベイとシアーズの決定的な違い
今後の不動産売却は、ハドソンズ・ベイの大きな転換点になるでしょう。
一方で、シアーズが過去5年間に不動産を売却して数十億米ドルの現金を得たにもかかわらず、破産してしまったことにも事実です。
しかし、両社には大きな違いがあります。
シアーズは、長年ブランドイメージがあまり良くありませんでしたが、ハドソンズ・ベイはカナダの百貨店業界で高い地位を築いてきましたし、米国でも名高い高級百貨店として認知されています。
ハドソンズ・ベイの中でも特に厳しい事業環境にあるロード&テイラーでさえも、ここ10年間のシアーズよりましな経営ができています。
同社は近年、店舗の改装、特に旗艦店のリニューアルに力を入れています。
これには莫大な費用がかかっていますが、シアーズのような客離れを防いでいます。
ハドソンズ・ベイは早期に復活する可能性がある
以下のような要因によって、ハドソンズ・ベイは来年、業績が大幅に改善する可能性があります。
1つ目は上記で述べた取引に関連しています。
ヨーロッパでの損失を切り離し、支払利息を軽減したため、来年の利益は数億ドル増加します。
2つ目は、来年早々に計画されている、業績が不調なロード&テイラーの約10店舗の閉店です。
閉店した店舗の売上を他の店舗が一部でも獲得することができれば、利益の伸びが期待できます。
3つ目は、ハドソンズ・ベイが、来年初めに数年にわたったニューヨークにある旗艦店の2.5億米ドルの改装が完了するということです。
これにより、改装中だった今年の売上と比べれば、2019年にはこの大型店の売上はかなり増加することは間違いないでしょう。
これらの要因に加え、ハドソンズ・ベイのヘレナ・フォルクス新CEOと経営陣は、経営最適化のために、事業のあらゆる面に注意深く目を向けてきました。
このように、同社は成長局面に入りつつあり、長年の業績不振に苦しんでいる同社の株主にとっても大きな復活劇となる可能性があります。
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