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【銘柄紹介】The Procter & Gamble Company(P&G)ってどんな企業?

みなさんは「The Procter & Gamble Company」という米国企業はご存知でしょうか?この企業名を聞くと、聞きなれない感じがするかもしれません。

では「アリエール」、「ハーバルエッセンス」、「パンテーン」はどうでしょう?とても馴染みのある商品名かと思います。

実はこれらの日用品を製造しているのがThe Procter & Gamble Companyです。略称及びロゴでは「P&G」として表記されます。

米国企業に投資するのは少し不安という方も、The Procter & Gamble Companyのような日本にも商品を展開している企業なら投資対象として選びやすいかと思います。

そこれ本記事ではThe Procter & Gamble Companyについて、詳しく解説していきます。

ぜひ米国株投資に役立ててくださいね。

基本情報

まずは、The Procter & Gamble Company (以下:P&G)の基本情報をご紹介します。

  • 本社…オハイオ州
  • 創業者…ジェームズ・ギャンブルとウィリアム・プロクター
  • 創業年…1837年
  • 現在のCEO…デイビット・S・テイラー
  • 上場市場…ニューヨーク証券取引所 (NYSE:PG)
  • 時価総額…3,140億9,170万ドル(2020年2月22日現在。Yahoo!ファイナンスより)
  • 決算日…6月30日
  • 発行済株式数…24億6,900万株(2020年2月22日現在。Bloombergより)

概要

P&Gは生活必需品を販売する日用品メーカーであるため、景気後退時にも強いディフェンシブ株といえます。

63年連続増配を達成している配当貴族銘柄であるため、割安な時期に買って長期的に保有するのがもっともおすすめの投資方法です。

2016年には43の美容系ブランドを売却して、残りの65主力ブランドに注力しました。

その甲斐もあって、美容セグメントの業績を回復させることに成功しました。

2018年には、ドイツの化学品・医薬品メーカー企業であるMerckから、ヘルスケア事業「KGaA」を買収し、一般医薬品にも注力し始めています。

また、日用品メーカーとしての競合であるKimberly Clark Corporation(以下:Kimberly Clark)よりも収益基盤が分散されていることから、ビジネスが安定的です。

P&Gは販売チャネルを持っていないので、商品提供先のプライベートブランドと競合しないような商品づくりが重要となるでしょう。

業績

では、P&Gの業績を見ていきましょう。

出典は「年間報告」ページです。

(図1)

図1は、売上高と当期純利益のグラフです。売上高は過去5年で大きな変化はなく、安定しています。

また、当期純利益が2019年に大きく減少し、その影響で売上高当期純利益率も低下しました。

この当期純利益の減少は、シェービングセグメント内の男性用カミソリブランド「Gillette」の減損処理によるものです。

この影響をより理解するために、下記の図2もご覧ください。

(図2)

図2は、売上高と売上原価、そして粗利益率のグラフです。

当期純利益が大きく減少していた2019年を見ると、粗利益率は低下していません。

つまり売上高に対する粗利益の割合に変化がないことから、売上原価が上昇したという線はなくなります。

(図3)

図3は、売上高と営業利益のグラフです。2019年の営業利益が、当期純利益と同様に低下していることがわかります。

ここで米国株投資をしている方に1つ、財務諸表を分析するときの知識をご提供します。

それは、日本と米国で違う「減損」の計上方法です。日本の会計基準では減損を「特別損失」に計上するため、営業利益には影響しません。

しかし米国の会計基準では「営業費用」に計上するため、営業利益に影響するのです。

つまり、図3を見ると営業利益が大きく減少している(営業費用が増加している)ため、業績不振に陥ったのかと思ってしまいますが、これはGilletteの減損によるもの。

つまり今後の業績に悪影響を及ぼすとは考えにくいのです。

(図4)

図4は、営業費用内訳のグラフです。

上記でご紹介したように、2019年のみ営業費用として減損費用が計上されていることがお分かりいただけるかと思います。

また、P&Gはブランドマーケティングで商品を売って成長力を高めているため、販売費及び一般管理費(広告費用)が常に高水準となっています。

(図5)

図5は、地域別売上高のグラフです。売上高全体に対する割合は2019年の場合、米国が約42%、米国以外が約58%でした。

つまり1つの国に大きく依存しておらず、景気に左右されにくい収益基盤が構築されていることがわかります。

以上が、P&Gの業績についての解説です。

P&Gのビジネスについて

P&Gのセグメントは以下の5つに分かれます。

  • 美容セグメント…ヘアケア(シャンプー、コンディショナー、スタイリング剤)・スキンケア・パーソナルケア(制汗剤、消臭剤、クレンジング)

例)Herbal Essences・Pantene・SK-Ⅱ

  • シェービングセグメント…カミソリ(男性用、女性用)

例)BRAUN・Gillette

  • ヘルスケアセグメント…オーラルケア(歯ブラシ、歯磨き粉、口腔ケア)・パーソナルヘルスケア(サプリ、鎮痛剤)

例)crest・オーラルB・Metamucil・ニューロビオン

  • ファブリック&ホームケアセグメント…洗濯洗剤・ホームケア(空気ケア、食器洗剤)

例)アリエール・DOWNY・ファブリーズ・Cascade・Fairy

  • ベビー・フェミニン・ファミリーケアセグメント…ベビーケア(おむつ、パンツ)・フェミニンケア(サニタリー用品)・ファミリーケア(ペーパータオル、ティッシュ、トイレットペーパー)

例)Pampers・TAMPAX・Bounty

(図6)

図6は、セグメント別売上高のグラフです。

上記でご紹介した5つのセグメントと法人向け販売(5セグメントに属さない販売を含む)の6つに分けています。

図6より、ファブリック&ホームケアが売上高の中心であり、年々その割合が大きくなっていることが読み取れます。

また、上記でも少し触れましたが2018年にMerckのヘルスケア事業「KGaA」を買収したことを受け、ヘルスケアセグメントの売上高も微増しています。

P&Gは販売チャネルを持っていないので、スーパーや薬局、ベビー用品店など他社の小売経路を利用しています。

なかでもWalmartによる売上高が、全体の約15%を占めているのです。

Walmartを含む小売店におけるプライベートブランドとの価格・品質競争に迫られる可能性があります。今後の動向に注意しましょう。

競合Kimberly Clarkよりも業績が安定している理由

日用品メーカーP&Gの競合は非常に多く、1つに絞るのは難しいのですが、本記事ではKimberly Clarkを比較対象に挙げて解説していきます。

まずは、トレーダーの方々が1番気になる株価についてです。

(図7)

図7は、P&GとKimberly Clarkの株価推移を示したグラフです。

2018年半ばごろから、Kimberly Clarkの株価をP&Gが上回っていることが分かります。

これは、P&Gの業績の安定感に起因するものです。

P&Gは上記でご説明したように、5つのセグメントによる収益基盤となっています。

一方でKimberly Clarkは、おむつやサニタリーを製造する部門、ティッシュを製造する部門といった、P&Gにおけるベビー・フェミニン・ファミリーケアセグメントのような商品の販売が売上高の8割以上を占めているのです。

しかし、2018年に紙の原材料であるパルプの価格が上昇したために、紙製品の製造に注力していたKimberly Clarkは、利益率が大きく低下してしまいました。

しかしP&Gは上記でご説明したように収益基盤が分散されているので、原材料価格の影響は直撃しにくく利益が安定しているのです。

まとめ

本記事ではP&Gについてご説明してきました。

P&Gは今後、小売店のプライベートブランドと競合しないように、専門性が高い医薬品分野に注力していくと考えられます。

しかし医薬品分野だとJohnson&Johnsonが競合になるので、どこに販売するのか、どのように販売するのかといった戦略に注意が必要です。

一筋縄ではいかないでしょう。

また、Johnson&Johnsonのブランドはかなり信用力が高いので、そのイメージと競合できるのかという問題点もあります。

P&Gは銘柄として見ると、63年連続増配という点がかなり魅力的です。

景気後退時のポートフォリオリバランスが手間だという方や、安定して利益をコツコツ得たい方、保守的なトレードをしたいという方は長期的に保有してみてはいかがでしょうか?


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免責事項と開示事項 記事の作者、タナカチアキは記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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