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中国肺炎(コロナ)が日本に与える影響を業種ごとに分けて解説

2020年1月下旬から感染が広がる新型コロナの影響は凄まじく、中国どころから日本にまで様々な影響を与えています。

そこで今回は、新型コロナが日本に与える影響を業種ごとに分けて解説します。

新型コロナによって業績が落ち込むであろう業種以外に、新型コロナによって成長する可能性がある業種、そして新型コロナが終息した後の経済についても解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

新型コロナが起きる直前の中国と日本

中国は2020年までの10年間でGDPを2倍にまで引き上げ、輸出依存だった経済を内需だけで回せる国家づくりを目指しており、目標達成寸前まで実現しました。

実質GDPの世界のシェアは2003年が4.3%だったのが、現在では16.3%になるまでに成長。

世界経済に大きな影響を与える国の一つなのは疑うまでもありません。

10年以上前までは中国の人件費は安く、大量生産に向いているとして日本企業の工場が幾つもありましたが、現在では人件費や家賃の向上により、中国から撤退している企業も少なくありません。

経済的に豊かになった中国では都市部の中流家庭まで外国に旅行するのが手の届く贅沢となりつつあり、近くてグルメやショッピング、レジャーが楽しめる日本は旅行先の一つとして大変な人気を集めています。

日本にしても、観光大国推進という経済政策の元、インバウンド需要を狙った取り組みを続けており、中国からの観光客は重要な財源とされていました。

2019年は日韓の対立が深刻化したこともあって、韓国からの観光客が激減。ラグビーワールドカップによって、普段なら日本を訪れない外国人が増加しましたが、韓国人観光客の減少によって、毎年更新していた年間訪日外国人数は前年を下回りました。

そのため、旧正月に合わせて来日する中国人旅行客は東京オリンピックに控えている日本にとって、弾みをつける意味もあって期待されていました。

ところが、2020年1月下旬ごろから新型コロナが中国で広がっているというニュースによって、経済に大きな緊張が走りました。

大打撃を受けてしまった観光業

2003年のSARSが流行した時も、2014年のエボラ出血熱が流行した時も、真っ先に打撃を受けたのは観光業でした。

観光庁が発表した統計によれば、SARSが流行した2003年の日本人が海外に旅行した人数は前年に比べ200万人以上も減少し、訪日外国人旅行者数も前年を下回りました。

SARSの時は水際対策の徹底と、中国がそれほど経済的に豊かとはいえず、日本まで旅行に来る人数も少なかったため、SARSが蔓延しているというイメージは少なかったと言えます。

しかし、今回の新型コロナは潜伏期間が長く、政府の対応の甘さもあってか日本国内で広がっているというイメージが強くなっています。

WHOの発表によれば、日本は新型コロナの感染者が2番目に多い国となっています。

このイメージによる影響は非常に大きく、中国からの観光客が減少しただけでなく、他の国からの観光客が減少するという事態にまで発展しています。

たとえば、2月10日に韓国政府は新型コロナの感染拡大を懸念して日本を含む6地域への渡航自粛を国民に呼びかけています。

訪日外国人を国別でランキングすれば、1位は中国で2位は韓国となっていましたが、両国から観光客が減少するのは観光業界にとって大打撃となります。

5,000人以上の規模のクルーズ船が地方の港に停泊するだけでも、経済波及効果は6,000万円以上となるため地方の観光業にとって重要な生命線となっていますが、このまま新型コロナの影響が続けば大きな損失となってしまいます。

先行きが不透明な製造業

2017年に発表された海外在留邦人数調査統計によれば、中国には日系企業の拠点が3万2000以上もあり、海外に進出した日系企業の約4割を占めています。

最近は中国人の人件費が高騰したこともあり、シャープやダイキン、ユニクロといった大手企業が中国工場の撤退を決めていますが、それでも中国には数多くの日系企業の工場が存在します。

現在、これらの工場の大半が稼働を停止しています。

中国では1カ所に留まってずっと長く仕事を続けるよりも、賃金の高い工場に移って稼ぐ方が主流となっているため、旧正月明けに従業員不足に陥って工場が稼働できなくなるのは珍しいケースではありませんでした。

ところが、新型コロナの蔓延により1月24日以降から多くの工場が操業を停止し、記事執筆時点でも再開の目途が立っていない工場も少なくありません。

トヨタ自動車は中国に4つの工場を所有していますが、従業員が地方から帰って来れないのを理由に、本格的に稼働するのは17日以降だと発表しています。

中国の法律では地域によって差はありますが、休業期間中の補償が発生します。

仮に、通常通りに出勤していた場合の正規の給料に対して70%~100%の補償が発生するため、休業が続けば続くだけ大きな損失となりえます。

日本以上に感染者数の多い中国では、感染者、あるいは感染していると思われる人たちへの隔離が進んでいます。

都市部ではイオンやユニクロといった量販店が営業を自粛し、地方では道路にバリケードなどを設置し人の移動を禁じています。

これらの対応が長引けば、中国に生産拠点を持つ製造業に深刻なダメージを与えかねません。

国内需要は高まる医療関係

新型コロナによって業績を伸ばしている企業は少なからずあります。

たとえば、除菌作用の強い製品を扱っている大幸薬品や、新型コロナの検査に用いる遺伝子関連を扱うタカラバイオなど、医療関係の企業の業績は上がっています。

しかしながら、これらの企業の多くが中国の新型コロナに介入し、業績を上げているかといえば違います。

中国では輸出依存の体質から脱却するために、内需を活性化させようという経済政策が推し進められていました。

つまり、自国で作ったものを自国で売買し、自国で消費する地産地消を目指していました。

今回の新型コロナにおいて日本以外にも多くの国が必要なマスクや防護服などを提供、あるいは販売経路を作ろうとしましたが、これに中国政府が待ったを掛けたのです。

1月24日頃の時点で中国は自国に入国する物に規制をかけるようになり、日本企業が作る製品を排除しようという動きがみられるようになったのです。

中国では以前より外国企業の進出を阻む様に、最低賃金の引き上げや家賃の高騰による規制などを行ってきました。

そのため、中国でこれ以上製品を作るのはコストに合わないと考えて、中国を撤退する企業が少なくありません。

医療関係の企業が上昇したのは中短期的な展望で、国内需要が高まったためと考えられるので、長続きはしないだろうと予想されています。

新型コロナが終息した後の経済

2003年の世界情勢と経済は中東問題に集中しており、SARSの終息後は約半年程度で経済は回復しました。

しかし、現在の中国は経済大国として世界に大きな影響を与えています。

ヨーロッパの、特にドイツは中国への直接投資が非常に多く、新型コロナの影響が続けばGDPが減少する見込みとなっています。

事実、中国経済が減衰した2015年や2019年はヨーロッパの中国向け輸出が約10%減少し、少なくない混乱を生みだしました。

また、上記でも触れた様に、中国は内需だけで経済を回せる国を目指す為に、外国企業の締め出しを積極的に推し進めています。

新型コロナが蔓延している状況を利用して自国に入る物に規制を掛けるなど、目標を現実のものとしようとする強い意志が感じられます。

新型コロナが終息したとしても、経済が簡単に立て直せるかどうかは専門家から不安視する声が上がっています。

個人投資家が取れる対策

リスク回避の観点から言えば、手持ちのポートフォリオを見直して、損失が見込まれる株式を売却するのも一つの手です。

新型コロナがこのまま拡大するのか、中国国内の混乱はどこまで続くのかは誰にも予想できません。

そのため、手持ちの資産を現金にして、いったん様子を見るという安全策もあります。

あるいは、堅調を維持しているアメリカ企業を購入するのも安全策と言えるかもしれません。

まとめ

以上が、中国肺炎が日本に与える影響を業種ごとの解説になります。

今回の新型コロナが与える経済の影響は大きいとされており、観光業や製造業にとっては厳しい時期がやってくる可能性が高いです。

連動してほかの業種にも影響を与える場合もあるので、経済や新型コロナ関連のニュースはチェックするようにしましょう。


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