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【米国株動向】今注目すべき鉄鉱石採掘関連銘柄4選

モトリーフール米国本社、2020122日投稿記事より

鉄は経済の成長に欠かせない重要な金属で、私たちの周囲でもあらゆるものに使用されており、また風力タービンの主な材料であることから、再生可能エネルギーの利用においても必要不可欠な存在です。

今後予想される鉄鋼消費量と鉄鉱石需要の増加で成長が期待できる鉄鉱石採掘関連の銘柄を紹介したいと思います。

圧倒的存在のビッグ4

鉄鉱石の生産には非常に多くの費用がかかるため、採算に合う生産をするには鉄鉱石が豊富な地域で大規模な事業を展開する必要があり、鉄鉱石採掘を重視する上場企業はわずか7社しかありません。

このうちBHPグループ(NYSE:BHP)、フォーテスキュー・メタルズ・グループ(ASX:FMG)、リオ・ティント(NYSE:RIO)、およびヴァーレ(NYSE:VALE)の4社が、鉄鉱石の世界海運輸出市場の70%という圧倒的なシェアで業界を支配しており、この業界に投資をするのであれば、この4社が筆頭候補となります。

ただこの4社にも、投資先としてそれぞれ違った持ち味があります。

FMGとヴァーレは、ほぼ鉄鉱石採掘専業と言ってよく、このうちFMGは安定成長銘柄、ヴァーレは反騰銘柄の候補です。

一方、リオ・ティントとBHPグループの方は、より多角化した鉱業会社ですが、リオの事業ポートフォリオの方が環境面でよりクリーンであり、BHPはグローバルなコモディティー市場で最も多角的な事業展開をしていることから、同社に投資すればコモディティー市場全般に対するエクスポージャーを取ることが可能です。

以下、詳しく見ていきましょう。

BHPグループ:多角経営の鉄鉱石採掘企業

BHPグループは、世界最大の資源企業の一つで、オーストラリア、ブラジル、米国、トリニダード・トバゴで、鉄鉱石、銅、石炭、石油、ガス、ニッケル、亜鉛を採掘・生産しているほか、カリ鉱山も開発中です。

鉄鉱石が同社の稼ぎ頭で、同セグメントの2019会計年度の利払い・税引き・償却前利益(EBITDA)はグループ全体の48%にあたる111億でした。

同社の2019会計年度の鉄鉱石生産量は2億3,800万トンです。

生産量のすべてが鉄鉱石の豊富な西オーストラリア州北部のピルバラ地域にある四つの合弁事業(JV)によるもので、BHPグループは各JVの85%を所有しています。

これらのJVは鉄鉱石を処理する四つのハブと五つの鉱山から成る統合的な鉱山システムを運営しており、600マイル以上に及ぶ鉄道で接続された港湾施設を通じ、鉄鉱石を世界の市場へ送り出しています。

BHPはブラジルのサマルコ鉱山をヴァーレと共同で保有(BHPの持分50%)していますが、2015年に事故が発生したため現在操業停止中です。

2020年末までに操業を再開する予定で、生産量は6年以内に最大で年産1,400万ないし1,600万トンまで回復する見込みです(事故前は同2,500万トン)。

また同社は、オーストラリアでサウス・フランク・プロジェクト(総額30億ドル以上、稼働予定2021年、年産8,000万トン)を進めています。

ただ、BHPの多角経営はリスク分散になる一方で、問題にもなり得ます。

たとえば、鉄鉱石価格が上昇しても鉄鉱石専業のライバル企業に比べ業績がさほど伸びないため、株価がアンダーパフォームする懸念があります。

また同社の化石燃料の生産も、再生可能エネルギーの利用が加速すると、その資源価値が大幅に低下する可能性があります。

なお、鉄は風力タービンに欠かせない材料であり、そうした環境変化は鉄鉱石採掘企業にとっては有利に働きます。

化石燃料へのエクスポージャーはありますが、BHPグループは鉄鉱石採掘業界のリーダーの1社であり、業界を代表する株の一つです。

フォーテスキュー・メタルズ・グループ:成長志向の鉄鉱石株

フォーテスキュー・メタルズ・グループ(FMG)は、オーストラリアを中心とした鉄鉱石採掘企業です。

西オーストラリア州ピルバラ地域で、二つの鉱山ハブ、ソロモン(年産能力7,000万〜7,500万トン)およびチチェスター(同1億トン)を運営しています。また、鉱山に接続する400マイルの鉄道と港湾施設を保有しており、中国など海外へ輸出しています。

FMGは運用中のハブのほかに、エリワナ鉱山(投資額12億7,500万ドル、稼働予定2020年末、年産能力3,000万トン)とアイアンブリッジ・プロジェクト(投資額26億ドル、稼働予定2022年半ば、年産能力2,200万トン)で鉱山開発プロジェクトを進めています。

また開発プロジェクトに加え、ピルバラ地域最大の土地保有者の一つである同社は広範な探鉱ポートフォリオも保有しており、鉄鉱石だけでなく銅や金の新しい鉱床も開発しています。

また、エクアドルで有望な銅鉱床を開発しているほか、アルゼンチンでは銅および金鉱床の探索を行なっています。

FMGのリスクは、販売先が世界最大の鉄鋼生産国(すなわち鉄鉱石消費国)である中国に偏重していることです。

環境対策として鉄鋼生産が削減される可能性があるほか、米中貿易紛争の影響もあって経済成長に陰りが出ており、鉄鉱石の需要にも影響が出ています。

このためFMGは日本、韓国、インドなど新しい市場に進出し、顧客基盤の多様化を図っています。

中国市場へのエクスポージャーは巨大ですが、FMGは鉄鉱石採掘業界で主要なグループの1社であり、同業界への株式エクスポージャーを検討するのであれば、最有力候補の一つです。

リオ・ティント:クリーンでハイテクな鉄鉱石企業

リオ・ティントは多角的な鉱山事業を営む企業で、鉄鉱石(2018年度EBITDAの約62%)のほか、アルミニウム(同17%)、銅・ダイヤモンド(同15%)、エネルギー・鉱産物(同7%)の四つの事業部門で構成されています。

2018年の鉄鉱石生産量は3億3,800万トン(前年比約2%の増加)で、すべてピルバラ地区で生産されたものです。

そこでは、同社が世界最大の鉄鉱石関連資産の統合ポートフォリオ(鉱山数16、港湾施設4カ所、鉄道総延長1,000マイル)を運営しています。

また同社は、世界最大の自動化トラックのオペレーターでもあり、コスト削減と効率化を実現しています。

同社の鉄鉱石開発の中心は西オーストラリア州です。

新しいハブとしてクーダイデリ第1期プロジェクト(総額26億ドル、年産能力は4,300万トン、稼働2021年後半)を2018年に承認しており、激減する他の鉱山の生産量を置き換える予定です。

将来生産能力を年産7,000万トンまで拡大するクーダイデリ第2期プロジェクトの予備実現可能性調査も実施中です。

同社は長年リスク軽減に取り組んでおり、2018年には炭鉱資産を売却し、気候変動関連のリスクを削減するとともに、バランスシートの強化を行いました。

2016年から2019年にかけて資産売却により債務を100億ドル近く削減した結果、バランスシートは業界で最も健全なものの一つとなっています。

同社で懸念があるとすれば、鉄鉱石分野での投資はすべて枯渇する鉱山の生産量を補うことが目的なので、生産量の拡大が見込めないことです。

風力タービン生産の増加など、将来鉄鉱石需要が急増した場合、競合企業に遅れをとる可能性があります。

ヴァーレ:鉄鉱石事業を浄化中

ヴァーレは、鉄鉱石とニッケルで世界首位クラスの生産量を誇るブラジル企業で、銅、石炭、マンガン、フェロアロイ(鉄と他の金属の混合物)なども採掘しています。

鉱業のほか、物流、電力、製鉄が主要な事業部門となっていますが、鉄鉱石が2018年度売り上げの89%を占め、圧倒的な稼ぎ頭となっています。

2018年、ヴァーレはブラジルの22の鉱山と、同国、オマーン、中国のペレット工場で計3億8,500万トンの鉄鉱石を生産しました。

同社のブラジルの鉱山のほとんどは、カラジャス地方北部にあります。

カラジャスの岩石の鉄鉱石含有率は平均67%で、世界最高の密度です。

このためヴァーレは極めて安価に鉄鉱石を生産することができます。

しかし、2015年のサマルコ鉱山事故に続き、2019年1月にブルマディーニョ鉱山で鉱滓(こうさい)ダムの決壊事故が起き操業停止となったため、2019年度の鉄鉱石販売量は3億700万ないし3億1,200万トンに減少する見通しです。

近年、同社の環境分野における成績は悪く、投資家は同社のリスクとして留意しておく必要があります。

同社は現在、古い鉱滓ダムを補強しているほか、2020年から2024年に総額18億ドルをかけ、採掘業務の多くを乾式処理に移行させる計画です。

また、2050年までにカーボンニュートラル(炭素中立)になるといった目標も含め、よりクリーンな企業になるためのさまざまな施策を展開しています。

ヴァーレは鉄鉱石事業を再度軌道に乗せ、2021年までに生産量を2018年の水準に戻し、年産3億7,500万ないし3億9,500万トンとする計画です。

2022年までには年産3億9,000万ないし4億トンを実現できると同社は考えています。

この成長を牽引するのは、現在操業を停止している鉱山の操業再開と、最近完成したS11D鉱山(投資額143億ドル、2018年度生産量5,500億トン)の増産です。

S11D鉱山の生産量は2020年には現在の生産能力の9,000万トンに達するはずです。

また同社は、2022年までに同鉱山の生産能力を1億トンに引き上げるべく、7億7,000万ドルの投資を行なっています。

ヴァーレは鉄鉱石採掘業界では世界的なリーダーです。

過去にいくつか大事故を起こしましたが、鉱山運営と企業イメージの改善に取り組んでいます。

生産は以前のピーク時を超えて成長を続ける見込みであり、鉄鉱石採掘業界に投資するのであれば、引き続き同社が、最有力候補の一つとなります。


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免責事項と開示事項 記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Matthew DiLalloは、BHPグループ 株を保有していません。モトリーフール米国本社は、記事で言及されている株式を保有していません。

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