The Motley Fool

パナソニックが将来の中国市場を見据えて始める事業とは?

国内電機業界でトップブランドとされているパナソニックが、中国に新たな地域カンパニーを設立し、復活を目論んでいると話題になりました。

事実、社内では最も勢いのあるカンパニーで、2019年11月に発表された新しい工場建設や、これからの中国市場を見据えた事業展開は魅力的な内容として投資家に受け止められています。

そこで今回は、パナソニックがこれからの中国市場を見据えて始めようとしている事業について解説をします。

パナソニックは国内トップブランド

パナソニックは国内電機業界では日立製作所、ソニーに次いで3位の売上高を誇り、日経平均株価の構成銘柄に含まれる、国内トップブランドの一つです。

主力商品は家電製品で、特にテレビやレコーダーを中心としたデジタル・AVC部門が大きな柱として会社を支えていました。

高品質で知られる国内メーカーの中でも高い技術力を発揮しており、テレビといえばパナソニック製品が一押しと家電売り場で紹介されるのも珍しくありません。

しかし、近年の家電業界は中国や韓国、台湾を中心としたアジア圏のライバル企業に押されており、パナソニックも例外ではありません。

この10年間で売上高を1兆3406億円も減少してしまい、一時は業績悪化から脱出するために連結子会社数を減らすなど、思い切った改革を実行しています。

どうにか苦境を脱したパナソニックですが、しかしながら状況はあまり良くはありません。

少子高齢化が進み、消費税増税や景気は上昇するが生活は楽にならない日本での売り上げは芳しくなく、2019年は目標として売上高8兆には届きませんでした。

そこで、パナソニックは新しい挑戦として、約45億円を投じて中国に家電工場を新設することを発表しました。

現在のパナソニックの事業

パナソニックは社内に軸となる事業を扱うカンパニーを国内に5つ、国外に2つ所有しています。

国内だと、古くから会社を支えてきた家電事業や利益は小さいが数でカバーしている住設健在事業、パソコンや航空機向けの電子機器、将来的な上昇が期待されたリチウムイオン電池事業、需要が増えると見込まれた自動車事業の5つになりますが、どれも業績不振や問題を抱えています。

特にリチウムイオン電池事業と自動車事業は、不調が続く家電事業に代わる新しい柱として期待されていましたが、思うように業績が伸ばせず失速。

売上高の多くを占めている家電事業の実態は、高品質な製品を作るあまり赤字を多く生んでいて利益を圧迫しているため、収益としては非常に悪い状態です。

そのため、パナソニックの次期社長と目される本間哲朗氏は、自身が社長を務める中国・北東アジア(以下CAN社)に、パナソニックの未来を賭ける決断をしました。

パナソニックの中国での実績

パナソニックが中国に新しい工場を建設するのは16年ぶりの事で、本間氏の発表は国内外に大きな波紋を広げています。

というのも、中国市場でのパナソニックの存在感はそれほどありません。

2018年の中国市場での売上高は約6680億円となっていますが、巨大市場である中国でのシェアは数%程度と低いのです。

2013年頃にテレビの生産から撤退し、中国・韓国・台湾の価格協商力の高いメーカーに押されて苦戦が続いています。

中国は2010年から2020年までの10年間でGDPの総額を倍にするという目標を掲げており、毎年6%程度の上昇率を維持して目標に到達しようとしています。

しかし、パナソニックの売り上げは中国GDPの成長とかい離しており、中国の成長スピードに全くついて行けません。

それでも、パナソニックとって中国市場は非常に魅力的な市場であることは変わらず、中国には85社、延べ6万人の従業員が働いています。

パナソニック社長の津賀氏は2019年4月に中国で開かれたイベントにて、中国での事業展開を発表する際に「中国で勝てないとパナソニックの将来は無い」とまで語っており、パナソニック側の意気込みが窺えます。

CAN社の事業展開

CAN社の事業部は全部で6つありますが、その中でも重要事業とされるのが、住設・家電事業と生鮮食品サプライチェーンです。順番に解説します。

住設・家電事業

パナソニックの主要事業たる住宅設備と家電を合わせた事業は、これからの中国市場で必要とされる事業になります。

というのも、中国は2010年頃から大規模な建設ラッシュが進み、人口よりも多い住宅空間がニュースに取り上げられるほど住宅地が建設されました。

着工面積だけで言えば日本の23倍もあり、10年後にはリフォーム需要が高まると予想されています。

また、中国は極端な一人っ子政策を推し進めていたこともあり、2017年時点で65歳以上の高齢者は1億5千万人を突破し、人口の11%を占めています。

2015年に一人っ子政策が廃止されましたが、子供の出生率がすぐに上がらないのは日本も中国も変わりません。

2050年頃には65歳以上の高齢者が4億7千万人を突破するのではないかと予想されています。

2011年頃から中国は少子高齢化が進むと議論されており、各メーカーは高齢者向けのベッドやトイレ、介護用の道具などの開発をスタートしています。

パナソニックも日本、そして中国の少子高齢化社会を念頭に住宅設備事業を展開しているため、これからの中国の変化に対応可能となっており、展示会では高評価を得ています。

家電分野では住みやすい住宅環境を提供できる製品が開発されており、トイレやシステムキッチン、クーラーなどが主力製品として展開される予定です。

また、インターネットと繋がるIoT家電市場へ積極的に参加しており、洗濯機やトイレ、美容小物などの主要カテゴリーでは、前年比128%以上の大幅に伸びています。

それでも中国全体のシェアを考えると小規模であるため、これから更に成長をする可能性はあります。

生鮮食品サプライチェーン事業

一昔前の中国の食品といえば、生産地が不確かで、異物が混入されているという悪いイメージが付きまとっていましたが、ここ5年で大きな変化を見せています。

理由の一つに上げられるのが、2022年に北京で開かれる冬季オリンピックに向けて、食の安全・安心をアピールしたい中国政府の狙いと言われています。

そのためには大規模な食品冷蔵流通網を中国全土に広げなければいけませんが、中国では未発達な市場のため、無数の中小企業が独自に運営しているのが現状です。

中国の流通網は未熟で、先進国の食品損傷率が5%に対して中国は25%と5倍近い食品ロスがあります。

パナソニックは、いずれ急成長するであろう冷蔵流通市場に目をつけ、自社の培ったノウハウを中国で展開する計画を進めています。

食品が消費者の手に渡るまでに、生産・加工・倉庫・輸送・小売り・消費者という段階を踏んでいきます。

既にパナソニックは消費者の段階だと冷蔵庫や電子レンジ、システムキッチンなどの商品を展開しており、小売店には冷蔵・冷凍ショーケースでシェア1位を獲得しています。

今回のCAN社の事業では加工・倉庫・輸送の3つを自社で担う新しいビジネスモデルが計画されています。

約18万平方メートルもの巨大な倉庫が中国全土に40カ所以上建設され、そこから小売店までの輸送にパナソニック独自の新保冷技術などが搭載される予定です。

パナソニックならではの強みを生かした事業展開は、中国の需要とマッチしており期待されています。

中国展開のリスク

これからの中国のニーズに合った事業を予定しているパナソニックですが、懸念材料もあります。

2018年後半から始まった米中貿易摩擦は、中国のアメリカ輸出に大きなブレーキをかける結果となりました。

2019年の中国経済は順調に成長しているように見えますが、5月以降におこなった景気対策が功を奏した結果のため、実体経済はそれほど成長していないと分析できます。

また、中国の人件費が上昇したこともありコストが膨らんで、工場を国内生産に切り替えたり、タイなどもっと人件費が安い国に移転させたケースもありました。

記事執筆時点では順調に交渉が進んでいる米中貿易摩擦ですが、結果次第では中国の経済成長に大きな影響を与えるかもしれません。

まとめ

以上が、パナソニックがこれからの中国市場を見据えて始めようとしている事業の解説になります。

中国市場は将来的に世界市場の40%を占めるほどに成長すると言われているため、市場の需要にマッチした事業を展開しようとするパナソニックには期待が持てます。

もし、投資をするなら、余剰資金で、リスクを分散して行いましょう。

フリーレポート配信

このレポートでは、eコマース、ヘルスケアテックやギグエコノミー等の長期的なメガトレンドにのれそうな米国株5銘柄を紹介します。

長期的なメガトレンドにのる米国株5銘柄紹介」はこちらからご覧ください。(メールアドレスの登録が必要です)

また、ツイッターやフェイスブックで最新情報を配信しております。

公式ツイッターアカウント公式フェイスブックアカウントをフォローする。

免責事項と開示事項 記事の作者、野田幹太は記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

最新記事