2020年の中国株はどうなるのか?2019年の中国経済とあわせて解説

2019年は米中貿易摩擦やアメリカがきっかけとなった世界同時利下げなど、経済に影響を与える出来事が続いた年と言えます。
アメリカ経済も大統領選挙を前にして、動きを見せており、不安定な時期が続くと予想されます。
そんな中、比較的安定した成長を見せるのが中国株になります。
そこで今回は2019年の中国株の株価指数等を分析しながら、2020年の中国株がどのように変化するのか解説していきます。
2019年の中国株は結果的に安定状態を保つ
アメリカと中国の対立は日本のみならず世界中にさまざまな影響を与え、結果として損失を作ってしまった方もいるかもしれません。
しかし、意外にも2019年の中国は対立の当事国ではありましたが、株価指数は堅調でした。
株価指数の1年間の騰落率を算出すると、中国の上海合指数は前年比+20.8%、深セン総合指数は前年比+40.5%と、どちらも1年間で上昇しているのが分かります。
米中の対立が本格化してきた影響もあり、2018年後半の中国経済が失速しつつあったため、2019年の初めが低い数字となっていたことを差し引いたとしても、2019年を通して見ると中国は米中貿易摩擦の影響をあまり受けていなかったと分析することもできます。
2019年の中国経済が堅実な歩みを遂げた理由としては、年明けに米中協議が進展するというニュースに加え、春節(中国の正月)のお祝い特需が重なったことで市場が好調に転じたのが上げられます。
他にも5月頃になると中国政府が預金準備率の引き下げや金利の引き下げなどの経済政策を行い、新しい景気対策として鉄道投資やスマートフォンなどの情報通信関係の需要が高まったことも大きな影響を与えています。
結果として2019年後半はインフラ投資が持ち直し、2018年後半の失速前までの指数に持ち直せました。
総合的に見れば、米中貿易摩擦で世界中から注目される中、中国は2018年に失速した景気を2019年の間である程度までは回復させたと言えます。
2020年の中国経済はどうなるのか
新しい年を迎えた中国には2つの問題があります。
1つは前述しているように米中貿易摩擦の決着がどのような形で成されるのか、いまだ不透明なこと。
そしてもう一つが、失速しつつある地方経済との格差です。順番に解説します。
米中貿易摩擦の行方
記事執筆時点では米中貿易摩擦に関する協議は進展しつつあります。
第1段階の合意がなされたため、12月15日に予定されていた新しい関税は回避され、既に発動していた制裁関税の税率も引き下げられました。
大統領選挙を控えているトランプにしてみれば、中国との関係改善は選挙へのアピールになるため、このまま段階的に米中合意がなされる可能性は十分にあります。
しかしながら、米中貿易摩擦以外にも、アメリカと中国が対立する火種はあります。
たとえば、中国が躍進を遂げている第5世代移動通信システムを巡り、アメリカは知的財産権の侵害や、技術を強引に共有しようとする中国のやり方に強い反発を示しています。
中国は国家が主体となって経済を盛り立てようとするため、情報や技術の収集を国が全面的にバックアップしています。
そのため、中国の制度が変わることは非常に難しく、最先端技術に関する取り扱いでアメリカと中国が対立するのではないかと予想されています。
中国の地方経済の失速
中国は2010年~2020年までの10年間でGDPの総額を倍にするという目標を掲げており、着実に目標に近づいております。
最終的なプランとしては、他国と貿易をせずとも、人口世界1位の国内市場だけで経済を回せるような国を作るのが狙いと言われています。
確かに、これまでの成長率からすると、2020年中に経済が5.8%以上アップすれば、目標を達成できます。
そのためにも大型減税やインフラ投資など、さまざまな経済政策、景気対策を打ち出し、同時に教育や環境、福祉に力を入れています。
かつては工場から出る排気ガスで空気が濁っていた深センは、中国の経済成長を受けて環境が激変し、空気がキレイになり子供を安心して育てられる町として人気を集めています。
このように都市部に資金が流入されるようになり、健全な経済成長を遂げているのが現在の中国です。
一方で問題となっているのが中国の地方経済の失速です。
2018年時点で、実質成長率が前年比を越えたのは30地方の内、5つの地方のみ。減速した地方は22地方となっています。
地方経済の低迷は中国が目標とする「内需だけで経済を回せる国」にブレーキをかけています。
個人消費が落ち込んでおり、都市部では車の販売台数が一定をキープしているのに対して、地方ではインフラへ投資をしているにもかかわらず前年の販売台数を大きく下回っている。
また、日米貿易摩擦による高い関税が輸出の伸びを抑えてしまった面もあります。
中国の輸出総額の2割を占めていたアメリカ向けの輸出が前年を下回ってしまった影響は大きいです。
2019年の中国は伸び悩む経済に対して、政府がさまざまな経済政策や景気対策を打ち出したことで、一般に流れる資金の流入が大きくなり、相対的に経済が好調した年と言えます。
2020年の中国はどうなるのか
2020年の中国経済を左右するのは、やはり米中貿易摩擦の結果です。
第1段階の合意に達し、11月の大統領選挙を控えているトランプ大統領にしてみれば、アメリカ経済を悪くするような選択肢は取りたくないのが本音になります。
中国側にしても、これ以上の金利引き下げや景気対策をすると政府にお金が少なくなっていくため、できることならアメリカとの関係を悪化しないように動くと推測されます。
そのため、悪いニュースになる材料は少ないが、良いニュースとなる材料も少なくなるので、2020年の中国経済は緩やかな動きになると予想されます。
しかし、その中でも注目すべき分野があります。
中国で躍進を遂げる分野
たとえば、次世代通信として注目を集めている5G通信に関する半導体や電子部品は、2020年になると一気に需要が高まります。
そのため、半導体や電子部品に関するメーカーは上昇の兆しを見せています。
また、都市部での所得が増えていることもあり、小売り・食品・飲料などの個人消費が増えているという報告もあります。
都市部の個人消費が伸びれば、消費に関係したメーカーや企業の株価が上昇する可能性は十分にあります。
そのため、これらの分野の中国株に投資家たちは目を向けています。
中国株の購入の仕方が変化
日本からでも証券会社を通じて海外の株を購入できますが、中国は規制もあって難しかったです。
しかし、皮肉にも米中貿易摩擦が原因でこれまでの閉鎖的な市場を改め、資本市場の国際化を推し進めています。
これまでは中国国内投資家向けの市場だった上海証券取引所・深セン証券取引所のA株ですが、部分的にですが海外投資家でも購入ができるようになったのです。
2020年にはさらに多くのA株が購入できるようになると中国側からの発表もあったため、外国人投資家が目を光らせ、参入のタイミングを見計らっています。
日本市場を見ても、海外の機関投資家が資金を流入したことで市場に大きな波が生まれ、経済が活発になる事例は幾つもあります。
中国が独力で経済を活発化させるのは難しいですが、これらの変化に合わせて参入すれば、大きなリターンを得る可能性はあります。
まとめ
以上が、2020年の中国株に関する解説になります。
トランプ大統領は予想外の選択をする人物ですが、経済を悪化させて選挙に影響を与えるようなことはしづらい人物でもあります。
米中貿易摩擦という問題がこのまま小康状態を保てば、中国経済は堅調な上昇を見せると多くの専門家が予想しています。
加えて、海外投資家が参入しやすい環境づくりもスタートしているため、中国株への注目と人気が高まりつつあります。
中国株に投資をする時は、余剰資金を使い、きちんとリスク管理をしましょう。
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