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【日本経済分析⑤】日本経済の3つの大きな問題

第4弾ではこれまでの金融政策で得たデータをもとに、QQEやマイナス金利で想定した理論的な効果があったのか解析してみました。

【日本経済分析④】日本経済を徹底解析する

結果、どちらも効果がありました。

ただし、ETF買い入れについては効果はありませんでした。

では、今までの4つの記事で触れたことを考えて、本記事では日本経済の構造的な3つの問題を解説します。

また、日本株式への投資戦略や、投資信託・iDeCoでの運用の際にもぜひ参考にしてみて下さい。

日本経済の3つの大きな問題

以下では、日本経済の構造的な問題を3つ指摘します。

「作られた相場」問題

量的緩和のためにはマネタリーベースとマネーサプライの貨幣乗数が安定的で、かつフィッシャーの貨幣交換式(MV=PT)の貨幣流通速度Vが安定的であるという2つの条件が必要なのですが、現実にはマネタリーベース拡大がマネーサプライの増加に繋がりませんでした。

つまり、第4弾の「まとめ」で書いた「ETF買い入れについては効果がない」ということです。

実証分析からも同様のことが確認できました。

量的緩和から銀行貸出の波及を想定するのであれば、企業の資金需要などを改善する必要があると考えられます。

「株式の資産効果」が乏しい

ノーベル経済学賞を受賞した経済学者のクルーグマン氏は、インフレ期待に働きかけて金利を低下させ、需要を創出できると主張しましたが、今まで書いてきた通り、日本では金利と物価の関係が統計的に有意ではなく、そもそも貯蓄を好む日本人にとってこの波及経路は妥当性に欠けます。

むしろ第4弾で指摘したように消費増税によるデフレマインドのさらなる加速が低金利の需要創出効果を減殺しているのです。

つまり、低金利で需要を刺激するのであれば、個人を対象にすると貯蓄を証券化し資産効果を生み出すことを意図して、iDeCoやNISAのような非課税枠を設定することや、仲介機能の最適化のためにフィンテック企業への補助金、金融リテラシーの教育、貯蓄に対する過度な低金利で貯蓄を証券化するインセンティブがあれば、低金利は円安を通じて株価に波及(第4弾でも実証されました)し、そこから米国のように資産効果を創出できるでしょう。

また、政治的には困難かもしれませんが、円安は物価に波及しているため、今後も低金利を続けるべきでしょう(この意味ではクルーグマンの主張は正しいのかもしれません)。

逆ケインズ問題

実証分析では金利の低下が円安に波及し、物価上昇に貢献することを示しました。

では、物価目標のためにさらに金利を下げるべきでしょうか?

もし、金利が今以上に低下すると、やはり銀行収益が悪化し、問題が深刻化する可能性が高いでしょう。

そこで、金利低下以外の手法で物価を上昇させるとすれば、単純に実質賃金を上昇させることが必須だと考えられます。

最近では、「最低賃金引き上げ」で直接的に賃金を上昇させたり、「働き方改革」で生産性の向上を図ったりと構造改革を行っていますが、前者については株式市場への政府の介入が強いため、今後のテーパリングに備えて、企業側も保守的な態勢になっています。

後知恵ではありますが、株式市場の歪みも賃金の上方硬直に拍車をかけており、日本経済の構造的な問題は、「いかに生産性を高めるのか」と「いかに政府の株式市場介入から脱するか」となるでしょう。

まとめ:テーパリングにご注意を

本記事ではこれまでの日本の金融政策(2013年~)を分析し、現状を把握し構造的な問題を指摘してみました。

賛否両論あるかとは思いますが、問題は「日本人の給料が上がらない」ことにあると考えられます。

また、日本株について考えるうえで重要なのは「日銀のETF大量購入」です。

もはや日本市場は「作られた相場」とも言えますが、このようなマクロ環境での投資を行う際は、常に日本銀行のテーパリング(ETFの買入を止めること)に備える必要があるでしょう。

専門家の間ではステルステーパリング(事前の報告なしにETFの買入を止めること)が懸念されていますので、時々チェックしてみて下さい。

本記事では投資に繋がるように書いてあるため、今後の金融政策については議論していませんが、もしご興味があれば、「政府のデジタル通貨」や「現代貨幣理論(MMT)」について知ると独創的なアイデアが生まれるかもしれません。

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