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【銘柄紹介】Johnson&Johnsonってどんな企業?

日本でもCMをよく見かける「Johnson&Johnson(NYSE:JNJ)」。

馴染みのある商品も多いかと思いますが、実はJohnson&Johnsonは米国企業なのです。

当サイトでは「【銘柄紹介】シリーズ」の記事を時価総額が大きい企業からお出ししていますが、IT企業や金融会社がほとんどだったかと思います。

【銘柄紹介】Alphabet(Google)ってどんな企業?

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本日は初めての、ヘルスケア企業をご紹介。

時価総額が大きいヘルスケア企業Johnson&Johnsonについて探っていきましょう。

基本情報

まずは、Johnson&Johnsonの基本情報をご紹介します。

  • 本社…ニュー・ジャージー州 ニューブランズウィック
  • 創業者…ジェームス・ウッド・ジョンソン、ロバート・ウッド・ジョンソン、エドワード・ミード・ジョンソン(3兄弟)
  • 創業年…1886年
  • 現在のCEO…アレックス・ゴルスキー
  • 上場市場… ニューヨーク証券取引所(シンボル:JNJ)
  • 時価総額…3,860億9,110万ドル(2020年1月16日現在。Yahoo!ファイナンスより)
  • 決算日…12月31日
  • 発行済株式数…26億3,200万株(2020年1月16日現在。Bloombergより)

概要

Johnson&Johnsonは、収益性が常に高く株価も好調という特長があります。

また配当貴族銘柄としても名を馳せており、2019年には連続増配57年目に入りました。

米国企業は日本企業と比べると株主に対して配当金という形で還元をおこなうことが主流なのですが、それでも57年目の連続増配というのは、米国企業のなかでもトップクラスです。

また収益構造も、1点に集中するといったことはなく大きく分散されているので、ある事業が不振に陥ったとしても大きなダメージを被りにくいでしょう。

長期投資をメインとしていて、かつ利回りを重視する投資家の方にはぴったりの銘柄となっています。

業績

では、Johnson&Johnsonの業績を見ていきましょう。

データ元はJohnson&Johnsonの「投資家情報」ページです。

(図1)

図1は、売上高と当期純利益のグラフです。売上高は2015年に1度落ち込んだものの、その後は順調に伸びています。

また、2017年の当期純利益の減少が気がかりという方がいらっしゃるかもしれません。

でもこれは税制改正によるものなので、本業に何かあったというわけではありません、ご安心ください。

Johnson&Johnsonはとにかく長年かけて安定した成長を続けています。

しかし医薬品を製造していることから訴訟が発生することも多く、訴訟費用によって当期純利益が落ち込むこともあります。

これによって株価が下落することもありますが、すぐに元に戻るので過剰に反応しなくても大丈夫かと思います。

(図2)

図2は売上高と売上原価、そして粗利益率を示したグラフです。

2017年に売上原価の増加幅が大きくなり、それに伴って粗利益率が低下しています。

この原因は、減価償却費の増加と、2017年6月にJohnson&Johnsonがおこなったアクテリオン社の買収に伴う在庫補強によるものです。

(図3)

図3は、セグメント別売上高のグラフです。Johnson&Johnsonのビジネスは、以下の3つからなります。

  • 消費者セグメント…ベビーケア(ベビーオイル、ベビーパウダーなど)・オーラルケア(薬用リステリン)・スキンケアや化粧品(プレミアムローション、アロマミルク、ニュートロジーナなど)・衛生用品(キズパワーパッド、バンドエイドなど)の販売
  • 医薬品セグメント…リウマチ・乾癬・感染症・気分障害・統合失調症・がん・心血管・高血圧といった分野に焦点を当てた医薬品を病院などに販売
  • 医療機器セグメント…整形外科・手術・糖尿病・目の治療に向けた医療機器を病院などに販売

ベビーオイルやキズパワーパッドなど、利用したことがある商品もあるのではないでしょうか?

図3を見てみると、私たち消費者が密接にかかわる消費者セグメントよりも、病院などに販売をおこなう医薬品セグメント・医療機器セグメントが占める売上高の割合が大きいことがわかります。

Johnson&Johnsonは消費者向けの商品販売がメインかと思いきや、実は病院が大きな顧客なのです。

(図4)

図4は、2018年セグメント別売上高の構成比を示したグラフです。

医薬品セグメントと医療機器セグメントを合計すると、全体の約8割となっていることがわかります。

よってJohnson&Johnsonの収益源は消費者ではなく法人であることが一目瞭然で、それも非常に安定しています。

というのもJohnson&Johnsonの起源は手術用品の製造なので、当たり前なのかもしれません。

もし消費者セグメントが大きな割合を占めていたとすると、病院は必要とする医薬品や医療機器などと比べると需要の波が激しい可能性があったので現在の状況は望ましいビジネス環境であるといえるでしょう。

次に、それぞれのセグメントの構造をさらに深堀していきます。

(図5)

まずは消費者セグメントです。

図5は、消費者セグメントの売上高内訳を示したグラフです。

消費者セグメントは上記のように、スキンケアや化粧品・市販薬・ベビーケア・オーラルケア・衛生用品・傷ケアといった6つに大きく分けることができます。

(図6)

では2018年の消費者セグメント売上高構成比を見ていきます。

スキンケアや化粧品・市販薬を合わせると62.9%、ベビーケア・オーラルケアを合わせると24.6%となっています。

よって、これらに関わる市場動向には十分に注意しておく必要がありそうです。

(図7)

次に医薬品セグメントです。

図7は、医薬品セグメントの売上高内訳を示したグラフです。

医薬品セグメントは上記のように、免疫学・感染症・神経科学・がん・肺高血圧症・心血管系といった6つに大きく分けることができます。

(図8)

では2018年の医薬品セグメント売上高構成比を見ていきます。

免疫学・がんを合わせると56.4%、神経科学・心血管系を合わせると29.2 %となっています。

これらの医薬品の売上高は、競合他社の参入や市場シェア増減の影響を受けやすいです。

(図9)

次に医療機器セグメントです。

図9は、医療機器セグメントの売上高内訳を示したグラフです。

医療機器セグメントは上記のように、手術・整形外科・目・心血管・糖尿病ケア・診断フランチャイズといった6つに大きく分けることができます。

(図10)

では2018年の医療機器セグメント売上高構成比を見ていきます。

手術・整形外科を合わせると69.7%、神経科学・心血管系を合わせると26.6%となっています。

これらの医薬品の売上高は、競合他社の参入や市場シェア増減の影響を受けやすいです。

(図11)

(図12)

図11は地域別売上高のグラフ、図12は2018年の地域別売上高構成比です。

Johnson&Johnsonの売上高は、アメリカとヨーロッパだけで74.3%を占めています。

よって、これら2地域の人口動態や購買意欲が重要となってきそうです。

(図13)

図13は、従業員数と1人当たり売上高のグラフです。

従業員数は2017年に急増していますが、その分従業員1人当たり売上高もしっかり増えているので、効率的な人員配置をおこなっていることがわかります。

(図14)

図14は、1株あたり配当のグラフです。実はJohnson&JohnsonはAppleと匹敵するくらいの配当貴族銘柄として名を馳せています。

なんと2019年には連続増配57年となりました。

世の中には原資がないのに支払われるタコ足配当もありますが、Johnson&Johnsonはしっかりと安定した収益(営業CF)を配当金支払いに充当しているので安心です。

また、今後も増配は続くと見込まれているので配当目的での保有もおすすめです。

信頼と実績。Johnson&Johnsonの株価

Johnson&Johnsonと同セクターに属する競合他社、General Electric Company・Medtronic plcと株価を比較していきたいと思います。

(図15)

Johnson&Johnsonは競合他社のなかでも、比較的安定的した株価推移をしていることがわかります。

また、Medtronic plcとは相関が72.4%(有意水準:1%)であることも判明しました。

次に、米国の株価指数S&P500と株価を比較していきます。

(図16)

Johnson&Johnsonの株価はS&P500の株価水準を上下していますが、ここ近年ではアウトパフォームしています。

相関は87.2%(有意水準:1%)あるためかなり強く、Johnson&Johnsonは米国市場全体の株価の動きとよく似ているようです。

またリーマンショックのように市場で大きく需要が落ち込んだときでも、Johnson&Johnsonは他社ほど収益が下がることはありませんでした。

上記でも少し触れましたが、訴訟が起こったときに下落した株価もすぐに元の水準に戻ります。

増配が継続されており、社員に浸透したステークホルダーを第一と考えるクレドによって信頼と実績を積み、根強い長期保有者が多いと考えられるでしょう。

「我が信条(Our Credo)」

Johnson&Johnsonは企業理念ともいえるクレド「我が信条(Our Credo)」を設定しています。

世界中の社員一人ひとりに確実に受け継がれており、各国のグループ企業においても事業運営の中核となっている重要な言葉です。

クレドは大きく4つに分かれているのですが、その3つめとして以下のような文言があります。

“我々の第三の責任は、我々が生活し、働いている地域社会、更には全世界の共同社会に対するものである。

世界中のより多くの場所で、ヘルスケアを身近で充実したものにし、人々がより健康でいられるよう支援しなければならない。(Johnson&Johnsonの公式ホームページより)”

Johnson&Johnsonは消費者・患者・医師はもちろん自社の社員、株主そして共同社会というすべてのステークホルダーに対しての責任を、クレドに記しているのです。

ここで、みなさんは1982年に起こった「タイレノール事件」という、7名が命を落とした事件をご存知でしょうか?

簡単にご説明すると、ある少女が服用したJohnson&Johnsonを象徴する鎮痛剤「タイレノール・エクストラ・ストレングス(以下:タイレノール)」というカプセルにシアン化合物が混入しており、その少女含む計7名が毒物によって亡くなった事件です。

この事件により自社製品にシアン化合物が混入していることが判明すると、Johnson&Johnsonはすぐにステークホルダーに対してテレビや専用フリーダイヤル、新聞広告などでタイレノールの自主回収と注意を呼びかけました。

さらに同年10月5日にはタイレノール全製品のリコールを発表しました。

このリコールによって多額の損失が発生したのは言うまでもありません。

しかしJohnson&Johnsonはさらに、製品への毒物混入を防止するために「3種シールパッケージ」なるものを開発し、再発防止に力を注いだのです。

このように自社への影響を顧みない、ステークホルダーに対する迅速で丁寧な対応ができたのは上記でご紹介したようなクレドがあったためだといわれています。

クレドはただ設定されていただけではなく、社員全員にしっかりと浸透していたのです。

以上の行動から、Johnson&Johnsonは事件によって信頼を失い株価が下落したものの、ステークホルダー第一とする迅速な対応によって信頼を回復することができました。

また、米国企業の時価総額ランキングを見るとトップ10に入っているのはほとんどがIT企業や金融持株会社などです。

そのなかに唯一入っているヘルスケア企業がJohnson&Johnsonなのです。

いかに投資家に愛されているかがわかりますね。

地球温暖化によるワクチン需要

Johnson&Johnsonは米保険福祉省の生物医学先端研究開発局(BARDA)との共同開発により、エボラ出血熱のワクチン開発に成功しています。

モルガンスタンレーが2019年7月上旬にに出したレポートによると、2050年までにエボラ出血熱を含む熱帯病にさらされる患者が、3億8,300万人から7億2,500万人増加するというのです。

地球温暖化は熱帯病を蔓延する原因となるので、熱帯病を克服するためのワクチン需要が非常に大きくなると考えられます。

Johnson&Johnsonの医薬品セグメントは、この場面で大きな役割を果たすことが期待されているのです。

しかしエボラ出血熱のワクチン開発に成功したものの、ほかの熱帯病に関する研究においては名を連ねていないため今後の研究に期待が高まります。

量子コンピューターの脅威

2019年11月下旬に、Googleは論文にて“「Sycamore(シカモア)」という量子コンピューターが、スーパーコンピューターだと15年かかる計算を200秒でおこなった”と報告しました。

実用化にはあと10年ほど期間を要すとされていますが製薬にも応用できると考えられています。

いずれはIT企業がヘルスケアに参入するおそれがあるため、Johnson&Johnsonにとって大きな脅威となりそうです。

まとめ

本記事ではJohnson&Johnsonについてご説明してきました。

私たち消費者にも馴染みがある企業ですが主に法人をターゲットとしており、安定した収益基盤を確保していることがお分かりいただけたかと思います。

投資家にとってなにより魅力的なのは、50年以上の連続増配と安定的な株価推移です。

長期保有でじっくり育てて利益を得たいという方には、非常におすすめの銘柄といえるでしょう。

ぜひ本記事を参考に、IT企業にとどまることのにいさまざまな業種に投資をしていきましょう。


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免責事項と開示事項 記事の作者、タナカチアキは記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

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