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電気飛行機の開発とそれに携わる米国株

CO2による地球温暖化、およびそれによる異常気象が近年叫ばれ、一番CO2を排出するといわれる飛行機も改革を求められるようになってきています。

というのも、環境活動家のグレタ・トゥンベリ氏らによって『飛び恥(FlyingShame)』という言葉もできるぐらい、飛行機のCO2排出量は問題になってきているからです。

勿論外国へ行くのに船では時間がかかりすぎるので、交通手段としては最速の飛行機を使うのに越したことはありません。

ファンの直径を大きくすることによる燃費の効率化はこれまで試みられてきましたが、飛行機の機体の設計を考えると、それだけでは限界にきているのが実情のようです。

飛行機でCO2排出を減らすことはできないのでしょうか?

そこで今回は、モーターにより動く電動飛行機を中心に、飛行機でCO2排出を減らすことができるかどうかについてみていきます。

電動飛行機の課題

電動モーターで駆動する推進ファンによって推進力を得る航空機のことで、日本だと独立行政法人JAXAを中心に開発が進んでいますが、普及には次の課題があります。

  • 大型機を飛ばせない
  • 電池が重い

現代の航空機の大きさと、リチウムイオン電池のエネルギー密度を考えると、二次電池で電動モーターを動かし推進ファンを回転させる『ピュアエレクトリック方式』は、座席が数席程度の小型機ならともかく、大型機は飛ばせないという弱点があります。

なぜなら、電動飛行機は電池が重いため、高度と滞空時間が限られてくるのです。

単純に同じ重量のジェット燃料と、リチウムイオン電池が蓄えられるエネルギーの量を比較すると、その差は100倍以上だといわれています。

東京からニューヨークまでを賄う電池は3000トン以上必要と言われており、それと滞空時間を両立させるのは至難の業。

ボーイング旅客機の最大重量は350トンであることを考えても、とてつもない重さです。

そこで大型機のCO2排出量を減らすために開発されたのが、ジェットエンジンによって生み出された電気を電動モーターに供給し、ファンを回転させる『シリーズハイブリッド方式』です。

米ボーイング(NYSE:BA)は、日本の経済産業省と電動航空機の技術協力で合意していますが、その中でも機体後部に電動ファンを設置する亜音速機のハイブリッド航空機は有名です。

また、ボーイングが出資しているベンチャー企業・ズーナム社は、12人乗りのハイブリッド機『ZA-10』を開発中であり、2020年代初頭ごろには就航可能と言われています。

燃料電池で動く電動飛行機

水素や炭化水素、アルコールなどを燃料とする燃料電池も、CO2排出が比較的少ない飛び方であると考えられます。

しかし可燃物を搭載するため、通常の飛行機以上に火気厳禁になるということ、また、酸素が薄くなると反応が減少するため、高度に制限が出てくるのが燃料電池の電動飛行機の欠点です。

既に水素を燃料とした水素航空機をボーイングは研究していますが、高度制限もあって実用化されるまでには至っていません。

しかし、ボーイングは飛行機の補助動力装置(APU)のガスタービンを「固体電解質型燃料電池」 に置き換えることにより、地上運航時の燃料消費量を75%削減、巡航時には主電源の代替使用で燃料消費量を40%削減できる上に、大幅なNOx削減も可能となる試算を出しています。

『固体電解質型燃料電池』とは、安定化ジルコニウム(ZrO2+Y2O3)を電解質として使い、COとH2を燃料として電気を発生させるシステムです。

ゼネラルモーターズ(NYSE:GM)を親会社とする旧デルファイ社は、数kWクラスの燃料電池を開発しており、評価されていました。

このほか、燃料電池メーカーバラード・パワー・システムズ($BLDP)は別の固体高分子型燃料電池を使った航空機のデモ運用成績も所持しており、ゼネラルモーターズやバラード・パワー・システムズといった車メーカーによる電動飛行機の開発・発展も期待されます。

まとめ

地球温暖化による自然災害の大型化・深刻化が進む中で、一番CO2を排出しやすいといわれている飛行機のCO2削減およびハイブリッド化・電動化は喫緊の課題と言えるでしょう。

近年飛行機事故が問題になっている米ボーイング社ですが、この企業や出資しているベンチャー企業、および飛行機の電動化を進めるうえで投資先にふさわしいといえそうです。

また、車メーカーであるゼネラルモーターズや、燃料電池メーカーのバラード・パワー・システムズ等の燃料電池に関連するノウハウが、電動飛行機のエンジンの発達に役立つことになるものと思われます。

他に企業ではありませんが、NASAでもさまざまなタイプの電動航空機の研究が進んでいます。

150人乗りクラスの電動航空機で見ると、パラレル・ハイブリッド方式を採用するSUGAR Voltや、シリーズ・ハイブリッド方式を採用するSTRAC-ABLなどです。

NASAが米ボーイングと協力して、新しい大型の電動飛行機のシステムを開発するのが理想と思われますが、それまでは米国株の場合、ボーイングに投資したほうが良いと思われます。


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