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韓国への輸出規制による影響は日本と韓国のどちらに大きいのか解説

韓国への輸出規制が始まって160日が経過するも、いまだに歩み寄りを見せない日韓貿易摩擦。

両者の言い分や面子などのも問題もあり、解決まで時間のかかるこの問題は日本と韓国の双方に大きな影響を与えています。

そこで今回は、韓国への輸出規制による影響は、日本と韓国のどちらに大きいのかを解説します。

韓国への輸出規制

日韓貿易紛争とまで呼ばれる今回の輸出規制が始まったのは、2019年7月のことです。

日本は安全保障上の理由を上げて、韓国に対してレジストや高純度フッ化水素、フッ化ポリイミドの3品目を規制強化すると発表。

また、韓国がこれまでに指摘されていた安全保障に関する管理を改善しなかったことを理由に、安全保障貿易管理におけるホワイト国指定から除外しました。

日本側のこれらの行為に不快感を示した韓国は日韓GSOMIAの終了通告を出し、日本製品の不買運動にまで発展しています。

どちらの行為に正当性があるのかは今回の主題から外れるため、深くは掘り下げません。

しかし、互いの主張を譲らないため、議論は平行線が続き、日韓貿易摩擦は収束せずに今日まで続いています。

輸出規制の対象になった3品目

今回の輸出規制の対象になったレジストや高純度フッ化水素、フッ化ポリイミドは半導体の製造に欠かせない物質となります。

これらの素材は先端素材と呼ばれており、日本では30年以上のスパンを掛けて国産化に成功した素材となります。

また、高純度フッ化水素などは生ものであり、大量に輸入して保存するのが難しい素材。

そのため、日本から輸入する際に、その都度手続きが必要となるホワイト国からの除外は、韓国経済に大きな負担を強いています。

韓国では先端素材の国産化の目途が経たず、昔から国産化への挑戦は続けられてきましたが、成果を上げるには至っていません。

そのため、レジストの9割以上、高純度フッ化水素の4割以上を日本からの輸入に頼っていました。

韓国の主力産業である半導体産業を支える素材の輸出規制は、確かに韓国経済を苦しめる可能性を持ち、韓国政府が厳しい対応を取るのも理解できます。

輸出規制による韓国への影響

まず、結論から述べますと輸出規制による韓国への影響はそれほど大きくありません。

なぜなら、輸出規制は輸出の量を減らす規制ではなく、これまで短かった審査期間を通常の期間に変更したに過ぎません。

実際、輸出規制が掛けられた3品目の輸入量は、フッ化水素のみが前年同期に比べて30%減りましたが、レジストは3.3%増、フッ化ポリイミドは54.7%増となりました。

確かに、高純度のフッ化水素が手に入らなかった影響なのか、LGディスプレイがiPhoneに供給しているOLEDパネルの品質が低下し、100万台がリコールされたというニュースがありました。

しかし、これは高純度フッ化水素の量が低下し、国産化に挑戦しようとしたのが失敗に終わっただけに過ぎません。

手続き上の優遇措置が外され、他の国と同じ扱いを受けるようになった今回の輸出規制で韓国が大きな影響を受けることはあり得ないはずなのですが、2019年10月に韓国は驚きの発表をしました。

それは、2019年1~9月までの輸出統計が前年同期に比べて約10%も減少したことです。

GDP成長率は2%を下回ると予想され、国内の主要産業は軒並み5%から10%も減少しています。

韓国株式市場では外国人投資家たちの韓国株売りが1ヶ月以上も続き、株価指数が春の時点で2200ウォンを越えていたのが、現在では2080ウォン近くまで下がっています。

ここまで韓国経済が失速した理由を韓国政府は日本の輸出規制が理由だと声高に主張していますが、上記でも触れたように輸出規制による影響は考えにくいです。

答えは10月に発表した輸出入統計にありました。

韓国経済はGDPの4割以上を輸出に依存していますが、最大の貿易相手国が中国になります。

韓国経済は中国の躍進に助けられた部分がありました。

ところが、アメリカと中国の間で続く貿易摩擦の影響を受け、中国への輸出が前年同期に比べて18%も減少。

約220億ドルの減少となりました。

つまり、韓国経済が失速している理由は中国への輸出が減少したからと言えます。

輸出規制による日本への影響

輸出規制によって韓国では反日感情が高まり、日本製品の不買運動が始まりました。

結果、輸出規制が始まってから対韓輸出は昨年よりも約8%も下落。

特に大きな影響を受けたのがビールや酒などの嗜好品の類です。

また、観光分野も大きな影響を受けています。

10月はラグビーワールドカップが日本で開催されたこともあり、イギリスとロシアを含め14カ国からの訪日外国人が過去最高を記録しました。

にもかかわらず、10月の訪日外国客数は前年同月比、つまり何も無かった2018年10月に比べて5.5%も減少しました。

これは中国に次いで大きな市場である韓国からの訪日外国客数が、前年同月と比べて65.5%も下落したことによる影響と見られています。

日本はオリンピックに向けてインバウンドを増やすPR活動を続けており、着実に効果を上げてきました。

ところが、韓国からの訪日外国客数が減少したこともあり、前年比が僅か3%しかアップしていません。

少なくとも、観光業は韓国への輸出規制による大きな影響を受けているといえます。

日本と韓国のどちらに大きい影響を与えているか

韓国経済は最大の取引相手である中国がアメリカとの貿易摩擦によってダメージを受けており、韓国経済は大きく失速をしています。

一方で日本は、輸出規制による日本製品の不買運動や観光客の減少が大きな影響を受けています。

つまり、輸出規制によって大きな影響を受けているのは日本ということになります。

このまま日韓貿易摩擦がオリンピックまでもつれ込むと、観光業は大きなダメージを受けかねません。

かといって、日本側が輸出規制を解除しても韓国にメリットはあまりありません。

上記でも説明しているように、韓国経済が失速している原因は中国への輸出が減っているためです。

仮に、日本が輸出規制を解除しても、韓国の経済が復調することはありえません。

日本にしても輸出規制を解除しても、韓国政府が反日感情を煽る方針を止めるとは考えにくいです。

韓国政府は反日感情をコントロールすることで、韓国経済が失速しつつある理由が日本の輸出規制であると印象付けている部分があり、中国への輸出が回復しない限りは経済の立て直しが図れません。

まとめ

以上が、輸出規制による影響は日本と韓国のどちらに大きいのかの解説になります。

日韓貿易摩擦は日本の方が影響を大きく受けています。

一方で韓国経済は厳しい状況に陥っています。

こうなってしまうと、どちらが先に音を上げるのかというチキンレースの様相を呈してしまいます。

日韓貿易摩擦に加えて米中貿易摩擦やイギリスのEU離脱問題など、経済に大きな影響を与える問題は山積みです。

世界経済が荒れる可能性が十分にあるため、投資をする時は安全資産で、損を出しても大丈夫な範囲で行いましょう。

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