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電力会社がアメリカで不動産開発をする理由を解説

出典:Getty Images

本業が不景気となった時に備えて、別の業種を新規開拓して備えるのは企業戦略だと珍しくありません。

近年、電力会社が不動産開発などの他業種に進出することが増えてきました。

今回は、電力会社が不動産開発に乗り出した理由を解説します。

九州電力がアメリカで不動産開発に着手

2019年12月3日、九州電力がアメリカで不動産開発に着手すると発表し、注目を集めました。

九州電力は主体となるエネルギー事業の他に、情報通信事業、生活サービス事業など複数の子会社によるグループ展開をしていました。

その生活サービス事業部に株式会社電気ビルという、福岡を中心に全部で15カ所にビルを持つ不動産会社がありますが、この会社が不動産開発をするわけではありません。

現地に子会社を設立し、アメリカ東部にあるジョージア州アトランタ中心部に集合住宅を賃貸とした後に、2022年をめどに売却する予定です。

九州電力が海外で不動産業を開発するのは初めてのため、三菱商事子会社や現地開発会社と共同で実地。既に数十億円の資金を負担すると決めています。

アメリカの不動産開発の現状

アメリカは先進国の中では珍しく、人口が増え続けている国です。

1980年の時点では約2億2000万人だったのが、2019年になると約3億2900万人に上昇。

毎年、200万人~300万人ペースで増加しています。

一方でアメリカの出生率は2016年時点だと1.82となっています。

夫婦2人から生まれる子供の数が1.82であるため、人口が増加した理由は出産ではありません。

アメリカの人口が増えた最大の理由は、他国からの移民になります。

アメリカの移民は1990年だと約2,300万にだったのが、2017年では約5,000万人に増加。

総人口に占める移民の割合は9.21%だったのが、15.34%まで上昇しました。

これらの移民の大半がヒスパニック系、主にメキシコからの移民といわれており、アメリカでは大きな問題となっています。

そんなメキシコからやって来た移民がアメリカでまともな職を得られるかというと、残念ながら厳しいです。

メキシコで広く使われている言語はスペイン語ですが、アメリカの公用語は英語です。

現在のアメリカは人種による差別よりも、英語を話せるかどうかで就労機会が大きく変わると言われています。

どうにか就労しても、住む場所が不足しているのが現在のアメリカとも言われています。

人口の増加ペースに住居が追いついていないのです。

そのため、アメリカでは賃貸マンションの不動産開発が活発になっています。

ジョージア州アトランタの不動産開発

1996年の夏季オリンピックの開催都市にもなったアトランタは、アメリカ南西部にあるジョージア州の州都になります。

州内で最も栄えており、最も人口の多い年であり、2014年には世界でも36番目に人口の多い都市に位置し、2025年までに770万人以上に膨れ上がると予想されています。

ビジネス環境が良く、インフラ設備が整っているアトランタはアメリカで最も成長する都市と言われており、九州電力以外にも多くの企業が不動産開発に乗り出している場所です。

つまり、九州電力が初めて外国の不動産開発に乗り出す場所としては、かなり好条件が揃っています。

電力会社が不動産開発に乗り出す理由

九州電力以外にも不動産開発に積極的な電力会社は他にもあります。

たとえば、関西電力グループは大阪に552戸のタワーマンションを竣工。

2020年には仙台にも進出する予定で、不動産事業関するノウハウを東京ガスと共有し、戦略的連携を行うと発表しました。

アメリカの不動産開発に乗り出した九州電力は、将来性のある不動産市場があれば、積極的に参加するとコメントを出しています。

電力会社がこれほどまでに不動産開発に乗り出す背景には、将来的な資源不足が考えられます。

2015年6月に日本政府はエネルギーミックス構想を発表。

2030年までに、発電量の割合を、原子力発電を20~22%、再生可能エネルギー発電を22~24%、石炭火力発電を26%、ガス石油発電を30%という、複数の電源を混ぜた割合にしようと考えています。

しかし、原子力発電の現在の稼働状況から2030年の割合は17%に届くかどうか怪しいとされており、石炭を多く使用する石炭火力発電は昨今の環境保護への意識の高さから非難が集まっています。

再生可能エネルギーの発電量はコストに見合っていないという指摘もあり、大型の再生可能エネルギー発電所の導入は地形の問題から難しく課題が山積みです。

加えて、2020年代に入ると多くの火力発電所が耐久年数を迎えるため、建て替えをしなければなりません。

一度立て替えたら、50年は運用できますが、今後50年間火力発電をし続けるのは可能なのかどうか、誰にも分かりません。

原子力発電・火力発電・再生可能エネルギー発電のどれもが問題を抱えており、電力会社は難しい決断を迫られています。

また、このまま人口が減少していけば、地方での電力消費が減少していき、需要が下がるという予想もあります。

電力自由化により、新たに参入したライバルの存在も大きく、売り上げが減少している電力会社も珍しくありません。

そのため、自社グループの電力販売以外の方法で収益を獲得するために、電力会社は新たな収益の柱となる事業を展開しようとしているのです。

その一つが、不動産開発だったのです。

電力会社はディフェンシブ銘柄と呼べるのか?

一般的に、景気動向に業績が左右されない社会インフラをディフェンシブ銘柄と呼びます。

ガスや鉄道、通信の他に電力会社もディフェンシブ銘柄になりますが、日本の電力会社をディフェンシブ銘柄と呼ぶのは厳しいです。

九州電力や関西電力のように、資金に余裕がある内に新しい事業を始め、電力以外の収益の柱を生みだそうとしている企業は株価が上がるかもしれません。

反対に、何もせずに状況を眺めているだけの電力会社は業績が尻すぼみとなり、株価を下げるかもしれません。

この先、電力会社も生き残りを目指して様々な事業を展開すると予想できます。

電力会社は長期保有に向いていると思い込んで、情報収集や株価のチェックを怠らないようにしましょう。

まとめ

以上が、電力会社がアメリカで不動産開発に乗り出した理由の解説になります。

この先、電力会社は厳しい時代を迎えます。

しかし、厳しい時代を見据えて行動する企業は、失敗するリスクもありますが、生き残るチャンスを掴めるかもしれません。

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