配当込み指数とは?配当抜き指数との違いをわかりやすく解説します

投資信託について調べていると、「配当込み指数」と「配当抜き指数」というワードを目にしたこともあるのではないでしょうか?
株式投資を行うと「配当金」を貰えることをご存知の方も多いかと思いますが、その配当金と関係があるのか気になることでしょう。
実は投資信託には運用のパフォーマンスを評価する際に対象となる、ベンチマークという指標が存在します。
そのベンチマークは日経平均株価やTOPIXなどの株価指数が用いられ、その中に「配当込み指数」と「配当抜き指数」があります。
今回はそれらの違いを明確にし、「配当込み指数」で投資信託を評価するメリットについてお伝えしていきます。
インデックスファンドのベンチマーク「配当込み」とは?
投資信託には運用の指標となる、ベンチマークを設定していることが多く、日本株でいえばTOPIXや日経平均株価がこれに当たります。
たとえば「ある投資信託の年間パフォーマンスが20%でした」と言われただけでは、それが良い結果なのか判断ができません。
なぜならばその投資信託が対象とする市場平均が、同じ時期に30%となれば、この投資信託は決していい結果とはいえないからです。
そこで必要になる指標がベンチマークで、その中に「配当込み」と「配当抜き」の2種類の指数が存在するのです。
では「配当込み」と「配当抜き」の指数は、具体的にどのような違いがあるのでしょうか?
配当込み指数
「配当」とは、株式を保有している株主に対し、利益を還元する目的で支払われるものです。
国内株式の場合、年に1、2回配当が株主に対して支払われることが多いです。
つまり株式投資では、株価の値上がりによる利益と、配当金の受け取りによる利益の2つのメリットがあります。
値上がり益と配当金の両方を考慮した指数が、「配当込み指数」です。
配当抜き指数
一方配当抜き指数は、値上がり益だけで配当金を考慮しない指数です。
テレビのニュースなどで言われている「日経平均株価」や「TOPIX」などの指数は配当抜き指数です。
では一体どちらの指数に連動した投資信託の方がいいのでしょうか?
一般的に「配当込み指数」に連動した投資信託は、分配金の実施を行いません。
せっかくリスクをとって運用しているのに分配金が貰えないのは損ではないか?
そう思われるかもしれませんが、実はここがポイントです。
分配金を受け取ると、分配金に対して配当所得として20.315%の税金が課税されます。
さらに分配金を受取ってしまうことで、複利効果を受けることができなくなるのです。
複利効果とは分配金を受け取らず、常に再投資し続け元本を大きくしていく投資方法です。
複利効果の威力はすごく、物理学者のアインシュタインは、「複利は宇宙最大の力だ」と言ったほどです。
配当込み指数をベンチマークにした投資信託は、複利の恩恵を存分に受けながら投資ができるといえます。
三菱UFJ国際投信は「配当込み指数」に統一
2019年4月、三菱UFJ国際投信は国内外の株式やREITなどを対象とする非上場のインデックスファンドのベンチマークを、配当込み指数に統一する発表を行いました。
配当金を含めて算出する指数であるため、より株式やREITの現実的な利益も考慮できるようになります。
三菱UFJ国際投信が指数変更したことによる今後の影響は以下の通りです。
- 投資信託が分配金を支払うことで基準価格が下がり、配当込み指数に連動させることで分配金を出さない流れが浸透する可能性がある
- アクティブ型投資信託は配当抜き指数をベンチマークにすることが多いが、配当込み指数に変更する可能性が高まる
なぜ三菱UFJ国際投信が配当込み指数に変更したのでしょうか?
これまで三菱UFJ国際投信は主に「配当抜き指数」をしてきましたが、ファンドの運用では保有する資産から配当金を受け取るため、ベンチマークとして採用した「配当抜き指数」とファンドの運用結果に配当相当分の差が生じていました。
こうした中、より一層わかりやすい情報提供を行うため、「指数に連動した運用結果を目指す」というインデックス型投資信託の商品性により適した「配当込み指数」に変更することになりました。
参考:三菱UFJ国際投信
「配当込み指数」で見るメリット
配当込み指数で見るメリットは以下の通りです。
- ファンドの運用では保有する資産から配当金を受け取っているため、ベンチマークとして「配当込み指数」を採用することは、より現実的な運用パフォーマンスを確認することができる。
- 投資の醍醐味の一つである「複利効果」が反映される
- 「配当込み指数」を採用する投資信託は、分配金を出さないことが多く、分配金に対して課税される税金がかからない
近年「つみたてNISA」の創設など、国が力を入れて取り組む「貯蓄から投資へ」の流れを受け、長期で安定的なの資産運用の必要性が高まっています。
長期で安定的な運用をするためには、「複利効果」を活用した運用がとても大切です。
こうした時代の流れを受け、投資信託の運用各社は、配当金を再投資していく商品の開発に力を入れています。
そのためには、「配当抜き指数」よりも、「配当込み指数」を採用した方が、投資家にとってわかりやすい情報提供ができるようになるのです。
まとめ
今回のポイントは以下の通りです。
- 投資信託にはベンチマークを設定することが多く、その中に「配当込み指数」と「配当抜き指数」が存在する
- 「配当込み指数」の方が、株式の配当金が反映され、より現実的な指数を用いた運用が可能
- 「配当込み指数」を採用することで、「複利効果」を得ながら投資信託を保有することできる
「配当抜き指数」を採用する投資信託は、原則として配当分のファンドの収益を分配しなければならないため、複利効果が得られず運用効果が悪くなってしまいます。
またそのような投資信託はファンドとして分配金を受け取っていても、分配を保留している場合もあり、分配金はあくまで運用会社の判断で分配することになります。
今後の資産形成で、長期で安定的な運用を目指すのであれば、「配当込み指数」を採用する投資信託を選ぶ方がいいでしょう。
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