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ナスダックにも上場した、中国発ラッキンコーヒーは中国全土を制覇するのか?

現在、中国のコーヒースタートアップ企業として大注目されているのがラッキンコーヒー(NASDAQ:LK)です。

創業は2017年末ですが、そこから爆発的なスピードで急成長しており、1年で中国の21都市2000店舗に出店。

これは1999年に中国に進出したスターバックスが20年以上かけて4000店舗出店したことと比較すると、いかに猛スピードで出店していることが分かるかと思います。

2019年5月17日には会社設立からわずか18ヶ月でナスダックに上場を果たし、2019年末には中国全土で4500店舗に達しようとしています。

今回は急成長を続けるラッキンコーヒーの何が革新的なのか、その秘密に迫っていきましょう。

急成長するラッキンコーヒーのビジネスモデル

ラッキンコーヒーはテイクアウト型のチェーン店として、オーダーから受け取りまで「アプリで完結」するため待ち時間がないのが最大の特徴です。

また一定金額以上のご注文で無料の配達サービスをしてくれます。

つまり、空間の質やホスピタリティを大切にするスターバックスとは真逆の経営戦略を採用しています。

ラッキンコーヒーは内装費がスタバよりも低く抑えられるため、それはコーヒーの価格へも反映されています。

例えば中国国内のスタバ1杯の平均価格が490円なのに対して、ラッキンコーヒーの平均価格は320円です。

それに加えてラッキンコーヒーは破格ともいえるキャンペーンを実施し続けています。

例えば「BUY5 GET5クーポン(5杯注文したら5杯無料)」というWeChatを使ってシェアできるサービス(現在は終了)によって、スタバの半額の値段でコーヒーを飲むことが出来ます。

これにより継続的に購入するユーザーを確実に増やすことに成功したのです。

SNSをPR戦略の軸に置いて、採算を度外視した規格外の宣伝を一定期間続けることで、赤字を続けながらも現在までの爆発的な急成長を支えたのです。

続いては、ラッキンコーヒーの強みについて3C分析で見ていきましょう。

顧客(Customor)

スマホのアプリを使いこなせるデジタルネイティブ世代なので、必然的に20代~30代がターゲット層の中心でしょう。

待ち時間がなく、忙しくても美味しいコーヒーが飲みたいという需要に合わせて、ビジネスが行き交うオフィス街などでも多くの需要があります。

「店内でくつろぐ」とは正反対のニーズにこそラッキンコーヒーは強みを発揮するはずです。

競合(Competitor)

ラッキンコーヒーが中国でシェア1位を獲得するための最大のライバルがスターバックスです。

店内型とテイクアウト型のビジネスモデルによって、コーヒー価格の差別化を行っています。

ラッキンコーヒーよりも安くコーヒーが飲めるコンビニやファストフードとは、コーヒーの質で差別化をしており、どちらにも当てはまらない戦略を打ち出していることが分かります。

自社環境(Company)

「待ち時間がない」ことを軸にテイクアウト型にしているため、店内設備コストや店舗面積を抑えることができます。

そのため最高級豆を使っても安くコーヒーを提供できるだけでなく、出店スピードも早くすることが可能なのです。

マーケティングの世界では「ランチェスター戦略」といわれる戦略があります。

それによるとマーケットのナンバーワン企業として安定するにはシェア42%を握ることが必要と言われています。

ここまでくれば2位も追随することができません。

ちなみにマーケットの強者と弱者の分かれ目が26%です。

数字で見ていくと、ラッキンコーヒーがスタバに勝つために店舗を増やして「市場を独占」しようとしていることが分かります。

中国流イノベーションの凄さ

そもそも中国のイノベーションが盛り上がりを見せたのは、2014年の夏季ダボス会議で李克強(リコクキョウ)首相が「大衆創業、万衆創新」という政策を掲げ、国の威信を懸けてリードしてきたことがキッカケといわれています。

そしてイノベーションが盛んな理由として「不便」であることも結果的に有利に働いています。

広い国土と多くの国民がいるのでマーケットが大きく、イノベーションで解決しなければならない課題が日本の比ではありません。

つまり、日本よりも不便だからこそ起業のアイデアにも困らない環境があるに加えて、人口の多さによってAIなどの分野で個人情報を集めやすく、これも中国のイノベーションが勢いを増した大きな要因です。

ナスダックに上場している

2019年5月にナスダックに上場したラッキンコーヒーは、前年の12月の決算発表でも世間を賑わせました。

これは売上高60億円に対して140億円の損失を計上したことが原因です。

しかし、これも経営戦略のひとつなのです。

なぜならCEOの劉宇陽(リュウ・ウヨウ)氏は「こんなもので終わらず、まだまだお金を燃やし続けて、あと1年で2500店舗まで拡大してスターバックスの店舗数を抜かします」と宣言しており、実はそこに成長の秘密があります。

現在までにラッキンコーヒー全体で約9割の店舗が注文から会計までをアプリだけで完結できますが、アプリの顧客データはすべて中央集権的に管理しているため、データを分析することで最適解が分かります。

ラッキンコーヒーのメリットとしては適切な仕入れや物流のロスカットへ繋がり、顧客のメリットとしては、店舗の位置情報に加えて購入履歴から自動的にオススメのコーヒー提案をしてくれ、いつでもベストなコーヒー体験を得られるようにアプリも日々改良を重ねています。

対するスターバックスは、ラッキンコーヒーへの対抗策として「Ele.me」というアリババが買収した宅配サービスを始めようとしており、両者の激しいシェア争いがしばらく続きそうです。

まとめ スタバを凌駕する日は来るのか?

ラッキンコーヒーが成功するのかどうか、それはまだ分かりません。

他の分野でも中国にはラッキンコーヒーのような戦略で急拡大して経営危機に陥る企業も珍しくないからです。

こうした意図的なバラまき戦略でシェアを握ろうとするマーケティング手法は、まだ歴史が浅く、比較事例が少ないのが現状です。

ラッキンコーヒーが成功してスタバを凌駕する日が来るのかは分かりませんが、大きなインパクトを与えているのは事実です。

米国とは異なる中国流のイノベーションの新しい形となるのか、今後の動向にも注目です。


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