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元IFAが解説するオフショアファンド(オフショア生保商品)の世界【最終回】~税金から紐解くと結局どんな人に向いている商品なのか?

前回まで6回連載で元IFAとしての経験を踏まえ、オフショア・ファンド投資の特徴やメリット・デメリットなどをお伝えしてきました。

元IFAが解説するオフショアファンド(オフショア生保商品)の世界と投資のメリット・デメリット~その①

元IFAが解説するオフショアファンド(オフショア生保商品)の世界と投資のメリット・デメリット〜その②

元IFAが解説するオフショアファンド(オフショア生保商品)の世界と投資のメリット・デメリット~その③

元IFAが解説するオフショアファンド(オフショア生保商品)の世界と投資のメリット・デメリット~その④

元IFAが解説するオフショアファンド(オフショア生保商品)の世界と投資のメリット・デメリット~その⑤

元IFAが解説するオフショアファンド(オフショア生保商品)の世界と投資のメリット・デメリット~その⑥

今回は前回までに触れなかったオフショア・ファンド投資に対する日本国内の税金の話をさせていただきます。

そして課税条件などからオフショア・ファンド投資に向いているのは一体どんな人なのか?についての筆者の見解を述べさせていただきます。

着実に進む海外投資に対する国税の包囲網

一昔前の話ですが、「キャピタルフライト」なる言葉が流行り、税金の高い日本国内から海外に資産を移すという動きがさかんだった時代がありました。

香港などの非課税ないし税率の低い国に出向き、現地のHSBC銀行などの口座を作って送金したり、送金した資金でさらに資産運用することがブームとなっていました。

しかし、その後そういった「資産の高跳び」を防ぎ、海外投資への課税強化が図るために日本では課税のための包囲網が強化されてきています。

まず、「国外財産調書」や「国外証券移管等調書」、「海外送金等調書」などによりそういった海外資産に対する監視を強めました。

また、租税条約を締結する65か国の国や地域、情報交換協定を締結する10か国の国や地域と協力しながら、脱税が疑われる海外資産への情報収集と調査がおこなえる体制が整えられています。

さらに2015年7月1日から施行された「国外転出時課税制度(いわゆる出国税)」により、日本国外に移住する富裕層へ課税を強めています。

この制度は、1億円以上の有価証券といった金融資産などを保有する人が国外転出する際には、その有価証券の売却があったものとみなし、含み益に対する所得税が課税される仕組みとなっています。

このように着実に海外資産や海外投資への課税を強化している我が国ですが、オフショア・ファンド投資についても当然のことながら、その対象となっています。

つまり、オフショア・ファンド投資で得た利益についてはしっかりと確定申告しなければならず、納税義務から逃れようとすることは後から大きな代償を払わされることにもなりかねません。

オフショア・ファンド投資に対する日本国内での課税

オフショア生保やオフショア商品のプロバイダー経由で購入した商品から利益を得た日本国内居住者は、確定申告によってその利益に対する所得税を納めなければなりません。

尚、納税対象となる利益はいわゆる「実現利益」のみであり、含み益などの「未実現利益」については納税の対象となりません。

未実現利益は分配金などの形や売却して口座に入金されて、実現利益となってはじめて課税対象となります。

オフショア・ファンド売却によって得た利益や分配金については、次のいずれかの課税対象になります。

  • 20.315%の申告分離課税(所得税15.315%・住民税5%の合計が課税される外国株式の売却益と同様)
  • 非課税(公社債投信の売却益と同様)
  • 雑所得として総合課税(他の所得と合算される累進課税)

この中でどのように課税されるかについては、投資対象となった商品の性質や特徴、さらに納税場所を管轄する税務署の最終判断次第となります。

ただし、一般的にオフショア・ファンドでポートフォリオに組まれる商品の商品性を考慮すると、雑所得として総合課税となるケースが多いと考えられます。

もし、そうなった場合にはオフショア・ファンド投資する方は高い収入を得ているケースのほうが大多数なので、納税額が高くなる可能性には十分に注意が必要です。

雑所得に対する税率は一律10%の住民税を合わせて、「15%」から最高税率である「55%」までとなっています。

オフショア・ファンド投資は結局どんな人に向いているのか?

このように年々強化されている課税包囲網やオフショア・ファンド投資で得た利益に対する日本国内居住者への課税状況を考慮すると、オフショア・ファンド投資に向いているのはどんな人なのでしょうか?

筆者の独断ですが、最も大きな利益と節税効果が得られ、オフショア・ファンドに向いている人の例としては以下のような条件にある人だと考えています。

節税可能な国に移住して日本非居住者になれる人

既に出国税を納めなければならないほどの資産を持っている人でも、日本の住民票を抜いて日本の非居住者として節税可能な国に移住すれば、その後に得た利益については節税のメリットを最大限に得られることになります。

この非居住者の定義として、一般的に「180日ルール」や「183日ルール」があることが有名です。

しかし、実際には単に住民票を外して海外に年間180日または183日以上滞在すれば、必ず「非居住者」とみなされるわけではありませんので、注意が必要です。

この場合、非居住者として認められるには、具体的にその国で家賃や光熱費を納めて継続して生活している根拠が必要になってきます。

頻繁に日本に帰ってきたり、日本にも居住場所がある場合には否認され、最悪の場合には追徴課税ということもあります。

心配な方は海外投資関連の税務に強い税理士に相談してみましょう。

海外転勤が長い人や海外転勤が続くと考えられる人

海外転勤が何十年と長くなる見込みの人や日本に帰国せず一つの国から別の国へと海外転勤が続いて帰国する見込みが定年までほぼ無いような人もオフショア・ファンド投資に向いている人と言えるでしょう。

特に次々といろいろな国へ転勤が続く人が継続的に同じ投資商品を管理するには、オフショア・ファンドへの投資が向いています。

オフショア・ファンド投資は利回りだけでなく、税金への意識が大切

オフショア・ファンド投資にはメリットも多いですし、特に今回取り上げた日本の非居住者として長年海外移住をする(している)人や海外転勤が長い人にはメリットが大きいと言えるでしょう。

日本国内居住者の人がオフショア・ファンド投資を始めたい場合にはファンドの中身やパフォーマンスだけでなく、税務面からもよく検討することが大切になってきます。


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