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【検証】本当に「イールドスプレッド」で株価を予想できるのか?

よく、アナリストやエコノミストのような専門家が米国株市場の動向に対して「イールドスプレッドが上昇して株式が割高になったから急落した」と分析することがあります。

特に米国株市場については2018年12月の株価急落ではイールドスプレッドがその要因として挙げられ、今でも相場分析においてイールドスプレッドを軸にする人が散見されます。

そこで、「イールドスプレッドで株価を予測できるのでは?」と思われる投資家の方も多いのではないでしょうか?

実際のところ、イールドスプレッドで投資判断をする人も多く存在し、(もちろんそれだけを根拠にしているわけではないですが)株式投資の主軸においている人もいます。

このような問題意識から今回は、イールドスプレッドが本当に投資判断として有効かどうかを検証していきます。

逆イールドカーブが示唆することと景気後退に強い米国株について(その1)

逆イールドカーブが示唆することと景気後退に強い米国株について(その2)

イールドスプレッドとは?

そもそも「イールドスプレッド」とは何か、について簡単に説明していきます。

イールドスプレッド=10年国債利回り-株式の益利回り(PERの逆数)

イールドスプレッドとは、上記の式で表され、安全資産である国債の利回り(イールド)とリスク資産である株式の益回り(イールド)の差(スプレッド)のことを言います。

ここでは、株式投資中級者以上向けの解説を致しますので「株式の益回り」についての具体的な説明はしませんが、「株式の益回り」とは「株式のPERの逆数」とだけ言っておきます。

イールドスプレッドは、数値が大きくなれば株式が割高、数値が小さくなれば株式が割安と判断する指標です。

したがって、イールドスプレッドに従うと、「数値が小さくなったときに株を買うと安く買える」ということです。

イールドスプレッドと似たような指標に「イールドレシオ」があります。

イールドスプレッド=10年国債利回り-株式の益利回り(PERの逆数)

イールドレシオとは、上記の式のように国債の利回り(イールド)と株式の益回り(イールド)の比率(レシオ)のことで、イールドスプレッドほとんど同じ概念です。

したがって、イールドレシオはイールドスプレッドと同様、数値が大きくなれば株式が割高、数値が小さくなれば株式が割安と判断するために使います。

株式を分析する専門家であるアナリストや、実際に投資をしているトレーダーでもこの2つの指標(特にイールドスプレッド)は、米国株市場において主要な指標と捉えています。

そこで、以下では本当にイールドスプレッド(イールドレシオ)に従うと、上手く投資判断できるのかということを検証していきます。

イールドスプレッドと株価は負の相関?

まず、イールドスプレッドとS&P500の推移を概観してみましょう。

ちなみに、イールドスプレッドの10年国債利回りは米国の10年国債利回り、株式の益回りはS&P500のPERの逆数にしています(期間は2000年初め-2019年11月8日としています)。

(表1:Yahoo!financeより作成)

このように概観すると、やはり多くの人がイールドスプレッドを使う理由が分かるような気がします。

イールドスプレッドが上昇しているときは株価(S&P500)が低くなり、逆にイールドスプレッドが減少すると、株価が上がっています。

つまり、イールドスプレッドと株価は負の相関になっていることが何となく予想されます。

ついでに、イールドレシオとS&P500の推移も概観してみましょう。

こちらもイールドスプレッドと同様の数値と期間で算出しています。

(表2:Yahoo!financeより作成)

イールドレシオもやはり、株価と逆の動き(負の相関)をしているように見えます。

特に2009年(リーマンショック)については株式に対するリスク許容度が極度に低下したのか、イールドレシオがかなり高まっており、株価が負の相関になっています。

以下では、本当にイールドスプレッド(イールドレシオ)と株価が負の相関なのか統計的に確かめていきます。

イールドスプレッドと株価は相関していた

では、2000年初めから2019年11月8日までの株価・10年国債利回りのデータから相関を確かめていきます。

(表1)

表1はイールドスプレッド(イールドレシオ)と株価の同時点での相関を算出したものです。

つまり今、イールドスプレッドが1だけ小さくなったら、株価はイールドスプレッドが小さくなった幅の約41.6%分上昇することが統計的に判明しています。

また、イールドレシオも同様、イールドレシオの減少幅の約47.9%分の株価上昇が統計的に分かりました。

しかし、現在のイールドスプレッドでここまでの株価予測ができても、情報有意性が高いヘッジファンドなどが先にこの情報を織り込む可能性が高く、一般の投資家にとっては上記のことが分かっても実際には役に立ちません。

そこで、「今のイールドスプレッドが明日の株価と相関するのか?」といった、現時点のイールドスプレッドが将来の株価にどの程度相関するのかを検証してみました。

(表2)

表2は現時点から6カ月先の株価に対して、現時点のイールドスプレッドがどの程度相関しているかを表しています(0lagは現時点の株価、1lagは1カ月後の株価といった具合です)。

表2によると、現在のイールドスプレッドは6カ月先の株価にも負の相関を示しています。また、時間を追うごとに相関は弱まっていることが分かります。

次に、イールドレシオも検証していきます。

(表3)

イールドレシオもイールドスプレッドと同様に時間を追うごとに相関は弱まっていますが、現時点のイールドレシオが半年後の株価と相関しています。

【結論】イールドスプレッドは株価を予想するのに有効!

以上より、イールドスプレッド・イールドレシオともに株価と相関していることが分かりました。

また、現時点のイールドスプレッドが低下すれば、半年先の株価まで上昇するといった負の相関があることが分かりました。

ただし、これはイールドスプレッドが低下したあと上昇しなければの話で、上述した検証からは、イールドスプレッドが上昇したら株価も統計的には下がるので、適宜、イールドスプレッド(イールドレシオ)をチェックするようにしましょう。

また、当然ですが投資はイールドスプレッド以外に、個別銘柄のビジネス環境やマクロ経済環境、政治など複数の要因が合わさって判断されているので、「イールドスプレッドのみに依存すれば投資で上手くいく」というのはミスリードです。

あくまで、イールドスプレッドは投資判断の一つとしてかなり有効である(無駄ではない)という意味ですので今後の投資に活かしてみて下さい。

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