The Motley Fool

IBMの今後10年の展望

IBMの事業転換期を乗り越えた株主は、次の10年に報われるでしょう。

IBMは今や、昔ながらのパソコンメーカーではありません。同社はここ数十年間、企業向けの大型コンピューターやサーバー、家庭用パソコン、ディスクドライブなど、ハードウェアメーカーの最大手企業として活躍してきました。

IBMは現在も企業向けの大型コンピューターの分野では高いシェアを持っていますが、もはやハードウェアメーカーではありません。現在のIBMは、企業向けクラウドや携帯端末、ビッグデータ・ソリューションの分野でのリーディングカンパニーです。同社はこのような事業転換のため、過去のハードウェア関連事業を切り離し、最先端のテクノロジー企業を買収してきましたが、この10年間に同社の売上は24%減少し、株価もさえない動きを続けてきました。

しかし、2018年は売上が7年ぶりにプラス成長となる見込みとなっており、IBMの転換点となりそうです。現在の同社の立ち位置と10年後の展望を見ていきたいと思います。

時代に適応するIBM

歴史的に、IBMは技術の変化に適応して成功を収めてきました。例えば、1990年代にパソコン市場が飽和すると、同社は2000年から2008年の間に100社以上を買収し、経営陣はパソコン事業からソフトウェア事業や企業向けサービス事業に舵を切りました。この経営戦略は功を奏し、同期間で売上と利益はおよそ倍増したのです。

しかし、2010年頃、IBMはユビキタスの時代に適応する必要があることに気付きました。その頃、ソーシャルメディアやスマートフォンなどのモバイル端末の普及に伴い、データ分析と情報セキュリティに対する需要が高まっていました。また、クラウドを活用する企業が増えてきた時代でもありました。同社が成長を続けるためには、もう一度事業を転換させる必要があったのです。

CEOであるジニ・ロメッティの下で、IBMは収益性の低い事業の売却を続け、経営陣が成長分野と位置付ける事業に投資を続けました。データ分析、モバイルサービス、情報セキュリティ、クラウドサービスなどの企業向けサービスが、経営陣が長期的な成長を見込んでいる主な事業分野です。

このような事業転換の期間は、株主にとっては忍耐を伴うものでしたが、やっと実を結びつつあります。同社の売上は6年連続減少した後、2017年の第4四半期にようやくプラス成長に転じました。その勢いは2018年になっても続いており、ようやく成長軌道に乗ったといえるかもしれません。

IBMが成長分野と位置付ける事業の売上は今年の第2四半期に13%のプラスとなり、同社の年間売上高の48%を占めるまでに成長しました。経営陣の長期的な見通しでは、売上の増加率は1桁台前半、1株当たり成長率は1桁台後半となっています。

競争環境

IBMは再び順風満帆な歩みを始めたかのように見えますが、その将来は約束されたものではありません。投資家は、同社があらゆる分野で激しい競争に直面していることを忘れてはいけません。例えば、同社は企業向けクラウドの分野でトップ企業であり、同社のクラウド事業は、前四半期24%増の売上を達成し同社全体の売上の23%を占めています。同社は最近、エクソンモービル、アムトラックとのクラウドサービス契約を獲得したことを発表しました。しかし、現在パブリック向けクラウド事業を手掛けるアマゾンが、今後企業向けにも参入するする可能性もあり、将来的にIBMのクラウド事業にとって脅威となるかもしれません。

一方で、同社にはクラウド事業以外の最先端の技術でも業界をリードしています。ウォルマートやネスレ、クローガーなどの企業にブロックチェーン技術を提供し、食品安全性の向上に役立っています。

IBMには、アマゾンにはないアドバンテージがあります。長期にわたって築いてきた、たくさんの企業との深いリレーションです。IBMはこれまでも激しい競争を勝ち抜いてきた企業であり、最近上向いてきた事業業績が示すように、投資家の注目に値する企業であるといえるでしょう。

今後10年の展望

過去数十年にわたる投資と戦略の大きな転換にもかかわらず、IBMは常に健全なフリーキャッシュフローを生み出してきました。そのおかげで、同社の配当は103年にもわたって継続しており、23年間の増配を続けてきたのです。今後もIBMは世界中の企業の様々なニーズに応えるリーディングカンパニーであり続け、潤沢なフリー・キャッシュフローをもとに配当を続けるでしょう。


フリーレポート配信

モトリーフールの日本進出にあたって日本の投資家、また、これから投資を始めたい方に向けて「株式投資にどう臨むか -スペシャルフリーレポート-」を配信しております。

こちらは無料レポートです。ここからアクセスできます。

ツイッターやフェイスブックで最新情報を配信しております。公式ツイッターアカウント@motleyfooljp公式フェイスブックアカウントをフォローする。

最新記事