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購入して保有し続けるべき「配当王」というべき株

出典:Getty Images

モトリーフール米国本社、2018年6月22日投稿記事より

配当狙いの投資家から、「“配当王”というべき株はどれですか?」という質問をよく受けます。

「配当王」と呼ばれる企業は、過去50年以上にわたって配当を増やしている企業であり、これは、成長性、安定性、信頼性を意味します。

このように長い間、途切れることなく配当を支払ってきた企業は、苦境からの回復力、組織の統制力、株主への責任感という特徴を有しています。

ここでの注目点は、配当の増加率と配当性向であり、どちらも配当目的の投資家にとって重要な指標です。市場は配当も成長することを期待しており、高い配当利回りだけでは満足しません。「配当王」のような一流の配当成長株に投資することで、長期的に大きなリターンを得ることができるでしょう。

「配当王」とは

配当目的で株に投資している場合には、配当が確実に支払われるだけでなく、時間の経過とともに配当が増加することを期待しています。

これを可能にするには、2つのパターンがあります。

配当収入を増やすためにより多くの株式を買い増ししていくか、投資先企業が定期的に配当を増やすか、の2つの方法です。

後者は、投資家が株を買い増すことなく配当収入を増やす方法で、「配当王」がそれを実行します。

何年、何十年にもわたって配当を増やすためには、不況の時であっても、企業は以下の属性を持っていなければなりません。

  • 持続可能でわかりやすいビジネスモデル
  • 強力な参入障壁
  • 財務的な強靭さ
  • 効率的な資本配分
  • 株主への約束
  • 明確なビジョンを持った経営

上記の「財務的な強靭さ」と「効率的な資本配分」は、企業の配当がどれほど一貫しているかを決定する最も重要なものですが、これらの要素は過小評価されがちです。

米国株はどこに投資すれば良い?ビジネスモデルがわかりやすい米国企業を解説。

「明確なビジョンを持った経営」をすることで、競争上の優位性を確立して、増収増益を実現することができます。

そして、ビジネスが悪化した場合でも、配当を維持・向上し続けるには、強靭なバランスシートと慎重な資本配分、すなわち無理のない配当性向が不可欠です。

この点は、実は、リーマン・ショック後、ゼネラル・エレクトリック(以下「GE」)がつまずいてしまったところです。

この巨大な複合企業は、「配当王」ではありませんでしたが、2007年まで32年間連続して配当を増やしてきました。

その後、2009年に起こった金融危機により、GEは1929年の世界大恐慌以来初めて配当を削減しました。

高過ぎる配当性向と脆弱なバランスシートは、高い債務負担と低いキャッシュフローにつながり、2017年にGEは配当を再び削減することを余儀なくされました。

GEの巻き込まれた状況は頻繁に起きることではありませんが、この例は、32年にわたり増配し続けてきた企業でも、投資家からの信頼を裏切ることがあることを示しています。

「配当王」になって、その地位を維持することは決して簡単なことではありません。

今日でも「配当王」であるのは数十社しかありません。それらの企業のすべては、株主を重視した成熟企業です。

「配当王」になる途中の段階にある株を、「配当貴族」や「配当チャンピオン」と呼びましょう。

「配当王」と「配当貴族」と「配当チャンピオン」

今日、多くの銘柄が高配当であるため、配当目的の投資家は、銘柄選択に悩んでしまいます。

しかし、「配当王」、「配当貴族」および「配当チャンピオン」のようなグループに企業を分類することで、配当狙いの投資が行いやすくなります。

上記の3つのグループは、長期にわたり増配継続した株で構成されていますが、すべての配当目的の投資家が知っておくべき微妙な違いがあります。

配当王

「配当王」は、少なくとも50年間連続して配当が増加してきた株式です。

これは「配当貴族」の期間の2倍で、配当の寿命と信頼性の面で優れていることを意味します。

配当貴族

「配当貴族」はS&P 500で、25年以上連続して配当を増やしている企業です。

別の言い方をすれば、ある企業が「配当貴族」になると、「配当王」になるのにもう25年かかります。

しかし、配当貴族から配当王になった履歴は公式には紹介されていません。

一方、スタンダード&プアーズは、「配当貴族」のリストを作成し、2005年に「S&P 500配当貴族インデックス」を立ち上げ、25年以上の配当増加記録を持つS&P 500の業績を測定しました。

また、配当株投資のために時間と労力をかけたくない投資家のために、「配当貴族」のETF(上場投資信託)が存在します。

スタンダード&プアーズが立ち上げたインデックスのおかげで、配当目的の投資家の中では「配当貴族」が人気です。

それに比べて、「配当王」のリストを見つけることは難しく、それらを追跡するためのETFやインデックスファンドはありません。

ここに、投資家が注意を払わなければならないもう1つのグループ、「配当チャンピオン」があります。

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配当チャンピオン

ディー・アール・アイ・ピー投資リソースセンターのデイブ・フィッシュ氏は、「25年連続で増配してきた米国企業」として、「配当チャンピオン」を定義しています。

この定義は「配当貴族」とよく似ていますが、「配当チャンピオン」は、S&P 500に必ずしも属している必要はありません。

したがって、S&P 500に属していなくても長い実績を有する増配銘柄が含まれるので、「配当チャンピオン」は、配当成長株の最大のグループと考えることができます。

デイブ・フィッシュ氏のリストには、120銘柄の「配当チャンピオン」が存在します。

これと対照的に、S&P 500「配当貴族指数」には53銘柄の「配当貴族」しか存在しません。「配当王」に至っては、わずか25銘柄です。

配当利回りリストに基づくトップ10の「配当王」

「配当王」は、通常、高い配当利回りではありませんが、配当狙いの投資家は、しばしば配当利回りで上位の「配当王」を探したいと考えています。

したがって、以下のリストは配当利回りによるトップ10の「配当王」です(2018年6月22日時点)。

注目すべきは、トップの「配当王」が必ずしも最速のペースで配当を増やしてきたというわけではないということです。

そのため、各株式の10年の配当成長率(CAGR)データをまとめてみました。

配当王 配当利回り 10年配当複合年次成長率(CAGR) 配当性向
プロクター&ギャンブル 3.9% 7.7% 72.2%
コカ・コーラ 3.5% 8.1% 440.7%
フェデラル・リアルティ・インベストメント・トラスト 3.5% 5.3% 97.6%
ジーニアス・パーツ・カンパニー 3.1% 6.3% 62.7%
ノースウェスト・ナチュラル・ガス 3.1% 2.7% NA
シンシナティ・フィナンシャル・コーポレーション 3%

 

3.5% 49.6%
エマーソン・エレクトリック 2.7% 6.2% 69%
3Mカンパニー 2.7% 9.4% 70.4%
コルゲイト・パーモリブ・カンパニー 2.7% 8.6% 73.6%
ジョンソン&ジョンソン 2.6% 7.4% 724.9%

ザコカ・コーラカンパニーとジョンソン・エンド・ジョンソンの配当性向は、最近の税法改正により、一時的に高くなっていることに注意してください。

配当王 10年配当複合年次成長率(CAGR) 配当利回り 配当性向
ロエズ・カンパニーズ 18.5% 2% 34.5%
ホーメル・フーズ 16.3% 2.1% 39.2%
パーカー・ハニフィン・コープ 14% 1.7% 35.2%
ノードソン・コーポレーション 12.2% 0.9% 13.3%
ドーバー・コープ 9% 2% 37.4%
アメリカン・ステート・ウォーター 7.6% 1.9% 54.8%

興味深いことに、過去10年間に年間配当を二桁成長させた「配当王」たちも、配当性向が低いため、年々配当を増やす傾向があります。

購入して永久に保持すべきトップ5の配当王

全ての「配当王」が配当に対する気迫を示していますが、私は、将来の財務目標が設定されている会社を探しています。

すなわち、少なくとも6%の配当成長と、60%から70%の配当性向を基準として選んでいます。

それを念頭に置いて、投資家が安心して購入できる5つの「配当王」があります。

この新しい「配当王」は、ゆっくり着実な勝者です。

スタンリーブラック&デッカー(ティッカー:SWK)

スタンリーブラック&デッカーは、50年連続で配当を増やした昨年、権威ある「配当王」グループに参入しました。

同社は、過去142年にわたって連続した配当を支払ってきた記録を持ちます。

1843年の小規模のハードウェアショップから、世界1位の技術用のファスナー製造業者、世界2位の商用セキュリティサービス会社になるまで、スタンリーブラック&デッカーは長い道のりを歩んできました。

投資家は頻繁にその製品を使用していると思います。

なぜなら、スタンリーブラック&デッカーの製品は、修理ツール、芝刈り機、電子機器を保護するファスナーなどであり、50カ国で50万個の製品が販売されているからです。

スタンリーブラック&デッカーは、昨年130億ドルの売上高を計上しました。

175年の歴史を誇る名門企業の売上高の伸びのうち8割は、過去20年間にわたる買収によって成し遂げられました。

同社は、クラフトマン・ブランドとニューエル・ツールズの買収に90億ドルを費やし、それが2017年度の増収19%に貢献しました。

過去5年間で、スタンリーブラック&デッカーのEPS、フリーキャッシュフロー、株主配当は、それぞれ年率10%、11%、6%の増加となりました。

同社は過去10年間で配当を年率7%増やし、12ヶ月間の配当として純利益の約37%を支払ってきました。

経営陣は配当性向を含む長期的な財務目標を、明確に示しています。

  • 増収率:10%から12%
  • EPS成長率:10%から12%
  • フリーキャッシュフロー:純利益の100%以上
  • 資本配分:フリーキャッシュフローの50%を株主に配当と自社株買いの形で還元し、買収に残り50%を使用。
  • ターゲット配当性向:30%~35%

株主への還元目標は魅力的ではないかもしれませんが、フリーキャッシュフローで純利益の100%以上を目指すという姿勢は、スタンリーブラック&デッカーの特徴であると言えます。

経営陣が配当の成長に尽力していることから、配当目的の投資家はこの低リスクの「配当王」から、継続的な増配の恩恵にあやかることが期待できます。

アメリカン・ステイツ・ウォーター(ティッカー:AWR)

配当を成長させている期間が最も長い企業はどこでしょうか?

水道事業はあまりにも無視されている業界ですが、アメリカン・ステイツ・ウォーターは、上場企業の中で最長の63年連続の配当増を続けています。

同社は信じられないほどの配当実績のゆえ、米国公益事業セクターの中でも別格の存在です。

アメリカン・ステイツ・ウォーターは、ゴールデン・ステイツ・ウォーター・カンパニー(以下「GSWC」)とアメリカン・ステイツ・ユーティリティ・サービス(以下「ASUS」)の2つの子会社を運営しています。

GSWCは、水道事業と発電事業を行っており、2017年度には全社売上高・純利益にそれぞれ77%・78%貢献しました。

ASUSは、50年の間に米国で11の軍事基地を提供する飲料水および排水システムのサプライヤーです。

ASUSは、昨年、アメリカン・ステート・ウォーターの売上高の23%を占めました。

アメリカン・ステイツ・ウォーターの配当の成功は、以下の6つの要因によるものだといえます。

  • 参入障壁が高い資本集約型産業において強力な地位を築いていること
  • 規制により守られたビジネス。
  • 73,600エーカーの地下水を所有する権利と、11,300エーカーの飲料水を所有する権利
  • 安定した顧客基盤
  • 水道設備の豊富な経験を持つ強力な管理チーム
  • 強力な財務および株主に対するコミットメント

2011〜17年で、アメリカン・ステイツ・ウォーターはEPSと配当をそれぞれ8%、10.4%の比率で成長させました。

そして、経営陣は長期的に「5%以上」で配当を増やすことを目指しています。

GSWCが2019〜21年にかけて料金の値上げを申請しているため、この「配当王」は高い成長が期待されます。

今年末までに、カリフォルニア州公共事業委員会によって値上げが承認されれば、収益とキャッシュフローはさらに増加することでしょう。

3M(ティッカー:MMM)

3Mは、60年にわたって配当を増やしてきた上場企業8社のうちの1社です。

同社は100年以上にわたって配当を支払っています。

3Mのユビキタス製品、非常に多様化したポートフォリオ、規律ある資本配分が配当の源泉となっています。

3Mという名前がピンと来ないのであれば、ポスト・イットブランドとスコッチブランドを思い浮かべてください。この2つが有名です。

3Mはスコッチ・ブライト、スコッチガード、フィルトゥートガード、コマンド、ネクスケアブランドなど、70カ国で販売されている60,000以上もの製品ポートフォリオを保有しています。

私たちは、3Mの革新的なリーダーシップによる成功を賞賛しなければなりません。

「接着剤やテープの製造業者がグローバルリーダーになれる」と、誰が想像していたでしょうか。

実際、3Mは産業界の企業かもしれませんが、そのキャッチフレーズは3Mの製品に近いものとはいえません。

“生命に応用された科学”、それが3Mのキャッチフレーズです。

同社は、生活を楽にするために、日常の製品に科学とのイノベーションを試みています。

今日、3Mの売上の約3分の1は、過去5年間に発明された製品から生み出されたものです。

3Mは2016年に「2020年までの5年間で以下の目標の達成を目指している」と発表しました。

  • 増収率:現地通貨ベースで2%から5%
  • EPS成長率:8%から10%
  • フリーキャッシュフロー:純利益からフリーキャッシュフローへの100%転換
  • 投下資本収益:20%

2017年の3Mの経営成績を見ると、2018年も引き続き目標を達成することを目指すことになるでしょう。

3Mの純利益からフリーキャッシュフローへの100%転換は、8〜10%の配当成長の鍵となります。

ドーバー・コープ(ティッカー:DOV)

ドーバー・コープは、1955年の設立後、毎年増配し続けています。

同社は、4つの事業セグメントを通じて、機器及び部品の製造および販売を行っています。

すなわち、工業用システム、ポンプ、ろ過システム、エネルギーおよび食品機器に分かれています。

ここ数年、工業用システム部門とポンプ、ろ過システム部門が成長し、2017年度には全社売上の62%を占めるまでになりました。

成長のための買収戦略に従って、ドーバー・コープは2015〜17年にかけて、13社を約22億ドルで買収しました。

また、ドーバー・コープのエネルギー事業をアペリギー・コープと呼ばれる別の会社に分割する動きを見せています。

それは戦略の転換を示し、経営者の弱点を認識して取り組む素早さを反映しています。

スピンオフは、ドーバー・コープの堅実な立場にある他の事業から、より大きな株主価値を引き出すチャンスを与えます。

上記で議論された他の「配当王」とは異なり、ドーバーは長期的な財務目標を立てていません。

それにもかかわらず、同社のフリーキャッシュフローは過去10年間で9回も純利益を上回ったことは要注目です。

パーカー・ハネフィン(ティッカー:PH)

パーカー・ハネフィンは、長い配当履歴と高い配当成長率を兼ね備えています。

62年連続で配当を増やす一方で、経営陣は「配当増額記録の維持」が「資本配分の最優先事項」であることを確認しました。

同社は「モーション&コントロール技術」の世界的リーダーです。

主に自動化されたシステムと技術、制御された方法でマシンを動かす仕組みを作っています。

それは、同社が「パーカーは動きのある場所やその周りにあります」と述べていることからも一目瞭然です。

大幅な成長の動きの中で、パーカー・ハネフィンはクラルコールを昨年、43億ドルで買収しました。

そして、今年3月、パーカー・ハネフィンは2023年までに財務目標の刷新を発表しました。同社が2023年までに目指していることは次のとおりです。

  • セグメント別のEBITDA利益率:19%
  • 調整EPS成長率:少なくとも10%
  • フリーキャッシュフロー変換:100%以上
  • 配当性向:30%

パーカー・ハネフィンは、2016〜18年度の営業活動による39億ドルのキャッシュフローが、今後5年間でほぼ3倍になると予想しており、これは多額の増配につながるはずです。

実際、同社は2016〜18年にかけての配当金は10億ドルにとどまっていましたが、2019〜23年には26億ドルの配当を支払うことができると予想しています。

パーカー・ハネフィンは、最高の「配当王」に返り咲くことをあきらめていません。

まとめ

以上が、配当王についての解説と保有しておくべき銘柄でした。

米国株には日本株にはない高配当とその持続性を持ち合わせています。

キャピタルゲイン、インカムゲインの双方から利益を得たいと考えている方はぜひ検討してみてはいかがでしょうか。


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