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AIは仕事を奪うのか?

AIは様々な仕事を人間から奪うでしょう。しかし、悪い面ばかりではありません。

人工知能(AI)やロボット工学が雇用市場に大きな影響を及ぼし、人間が現在行っている多くの仕事が廃れていくことは間違いありません。AIは既に自動車を運転することができ、最終的には人間から運送業務を奪うことになるでしょう。また、倉庫での商品の選別や在庫管理を行う、基礎的なAIを搭載したロボットが次々と導入されています。

AIが人間の雇用を奪っていくのは、SF映画のように見えるかもしれません。しかし、オックスフォード大学の研究者であるカール・フレイとマイケル・オズボーンは、今後20年間で全米労働者の47%がAIによって仕事を失う可能性が高いと考えています。

アルファベットの子会社グーグル・チャイナの元社長であるカイ・フー・リーは最近、インタビューでこう語りました。

「残念ながら、世界中の仕事の約50%が危険にさらされています。それらの仕事が失われるのが15年後なのか20年後なのか、はたまた30年後なのかは、議論の余地があります。しかし、それは確実にやってくる未来なのです。AIは人間より質の高い仕事をするだけでなく、非常に低い費用で仕事をすることができるのです。」

こういった予測は確かに悲惨なものですが、AIが将来の労働者にとって多くの利益をもたらすという、逆の主張もあります。それらの主張のいくつかを見てみましょう。

  1. AIはより高い賃金の仕事を生み出す

デロイトが2017年に発表したレポートによれば、英国では、テクノロジーの進歩により過去15年間で80万人以上の低スキル労働者が仕事を失いました。一方で、同時期に350万人の高スキル労働者を創出しました。そして、その新しい仕事は、失われた低スキル労働の仕事に比べて年間約13,170ドルも多い賃金を生み出しているといいます。

「重要なことに、英国全土が恩恵を受けており、このテクノロジー主導の変化が、英国に1,840億ドルの経済効果を生み出したと推定している。」とそのレポートは述べています。

もちろん、新たなテクノロジーが新しい仕事を創出したというこの事実は、AIの普及が同様の効果を生むことを保証するものではありません。しかし、これはテクノロジーが必ずしもすべての人々から仕事を奪うわけではなく、かえってより良い暮らしを手に入れた人々がいるということを示す一例です。

例えば、ロボットが在庫管理や梱包を行う倉庫では、ロボットを監督する能力を持つ人が必要です。同様に、故障したロボットを修理する人、AIソフトウェアをプログラムして制御する人、収集されるデータを分析する人が必要です。ロボットに仕事を奪われた労働者たちは、このような仕事をこなすために訓練を受け、ロボットと同じ仕事をするよりも多くの賃金を受け取ることができるようになるでしょう。

  1. AIは生産性を高めるのに役に立つ

AIが完全に奪い去ってしまう仕事もありますが、AIを導入することで生産性が高められる仕事もあります。例えば、一部の医師は、より正確に乳がんを発見するためにAIアルゴリズムを導入しています。ハーバード病理学者たちの研究によると、AI導入のおかげで乳がんの診断精度は96%から99.5%に高まりました。

また、AIは新薬開発の分野でも役に立っています。グラクソ・スミスクラインによると、現在の技術では5年かかる効果的な分子構造の特定に、AIを使えばたった1年しかかからなくなる可能性があるそうです。

さらに、マイクロソフトはセントジュード児童研究病院と提携し、医師が治療法の発見に役立てるよう、同社のAIに基づくゲノミクスサービスを提供し始めました。同社のAIは、人間には処理できない大量のゲノムデータを扱うことができ、医師や研究者がこれまで不可能だった大量のデータ処理を可能にしたのです。

AIによって恩恵を受けるのは、医療現場だけではありません。フェイスブックの元AI部門長ヤン・ルカンは昨年、次のように語りました。「大体の業界において、AIは仕事を完全に奪うのではなく、仕事の形を変えていくのです。最終的には、すべての仕事がAIによってより効率的になるでしょう。」

実際に、ガートナーの調査によると、AIは多くの業務を強化するのに役立ち、2021年までに2.9兆ドルの付加価値と、62億時間分の労働生産性を生み出すと推定されています。

3.より多くの仕事が生み出される

このトピックについては多くの議論がありますが、AIは奪い去る以上の雇用を創出することを示すデータもあります。ガートナーのスベトラーナ・シキュラー調査員は、「歴史上、技術革新というものは、まず一時的な雇用の減少から始まり、雇用の回復期、そしてビジネスの転換、という流れをたどってきました。AIによる雇用の変化も、同じような流れになるでしょう。」と語りました。

ガートナーの調査によると、製造業が最も影響を受けるといいます。しかし、全体としては、2020年までに約180万人の雇用が失われるのと同時に、230万人の雇用が創出されます。つまり、わずか2年で、AIは奪った雇用よりも多くの雇用を創出することができるということです。そして2025年までに、AIによって200万人の雇用増が予想されています。

AIの拡大は不可避

AIによってどの仕事がどのように変化するかについては、いまだに分からない点がたくさんあります。しかし、AIがほぼすべての業界に普及拡大していくことは確実です。2022年までに、非定型業務を行う5人の労働者のうち1人は、職場で何らかの形のAIを使用することになるでしょう。

これは、投資家がこの技術の最先端を行く企業に注目する必要があることを意味します。例えば、グーグルの親会社であるアルファベットです。同社はAIサービスを向上するため、独自のAI部門を設置しており、傘下の自動運転車メーカーのウェイモと協働し、自動運転向けの革新的なAIの開発を進めています。また、同社のAIを搭載したグーグル・アシスタントは、既に同社のスマートフォンやスマート・ホーム・デバイスに使用されています。

アルファベットは、AIによってより良いサービスを提供し、顧客が自社製品を選び続けてくれるよう努めています。また、AIを通じて、広告事業のために顧客のデータを収集しています。顧客側も、AIを通じて自らの情報を提供することに積極的であるという事実もあります。セールスフォースの調査によると、同社の顧客のうち59%は、サービス改善のために情報提供をすることに同意しています。このような顧客側の姿勢は、グーグルのデジタル広告事業の追い風となり、同社の米国での事業規模は今年400億ドルに近づくと予想されています。

AIの普及から恩恵を受けることを望む投資家は、この領域におけるアルファベットの成長をよく吟味することが必要でしょう。アライド・マーケット・リサーチによると、AIの市場規模は2016年にはわずか40億ドルでしたが、2025年には1,690億ドルに成長すると見込まれています。確かにAIは仕事を奪うかもしれませんが、悪い面ばかりではありません。これは、アルファベットのようなIT企業にとって、強力な追い風となるでしょう。


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