The Motley Fool

スチュワードシップコードとは?変わる機関投資家と企業との関係

日本の株主総会が変わってきています。

令和初となった今年の株主総会では、株主提案を受けた企業は54社になり、会社提案への賛成比率の低下も目立っています。

「モノ言う株主」といわれる投資ファンドだけでなく、一般株主も経営や企業統治に厳しい目を始めています。

企業は株主の声に真剣に向き合う必要に迫られているのです。

スチュワードシップコードとは

株主総会における機関投資家の姿勢は大きく変わりました。

機関投資家向けの行動指針である「スチュワードシップコード」が導入されたからです。

スチュワードシップコードでは、機関投資家や運用会社に対し、株主の立場で企業を監視し、対話を通じた企業価値の行動や持続的成長を促す取り組みを求めています。

つまり、投資においては、管理者(運用者)の心がけを意味し、預かった資産をよりよい状態で長期的に責任を持って運営することを意味しています。

機関投資家は、株主総会における議決権行使結果の開示を求められているのです。

企業との馴れ合いを示すような議決行使は、いずれ明らかになります。

2017年に、株主総会の各議案についてどう賛成したかを個々に開示するよう求められるようになったからです。

機関投資家は、経営や企業統治に対して厳しい対応をしなければならないのです。

スチュワードシップコードは2010年に英国で制定されました。

金融機関による投資先企業の経営監視などの企業統治(コーポレーションガバナンス)への取り組みが不十分だったことが、リーマンショックによる金融危機を深刻化させたとの反省があったからです。

コーポレートガバナンスコードとの違い

スチュワードシップコードとコーポレートガバナンスコードは、日企業の成長を加速させようとする新しい試みです。

スチュワードシップコードは保険会社や銀行などの機関投資家に求められる行動規範。

一方、経営の枠組みへの指針がコーポレートガバナンスコードです。

コーポレートガバナンスコードは、上場企業のさまざまなステークホルダー(利害関係者)との関係を踏まえた、適正なコーポレートガバナンス(企業統治)と持続的成長を実現するための行動規範です。

スチュワードシップコードとコーポレートガバナンスコードの2つのコードは、日本経済成長の車の両輪になると期待されています。

日本版スチュワードシップコード

日本では2014年に、金融庁が中心となってスチュワードシップコードが策定され、「日本版スチュワードシップコード」と呼ばれています。

2017年5月には、株主総会の個別事案ごとに議決権行使の開示を求めるなど、厳しい原則に改定されました。

日本版スチュワードシップコードでは、「投資先企業の状況把握」、「議決権行使の方法」、「対話を通じた問題改善」など7つの行動原則を記しました。

つまり年金などの運用を託されている機関投資家は、受託者としての責任を果たすべく、投資先企業の深い理解に基づく建設的な「エンゲージメント(目的を持った対話)」を通じて、企業価値の向上や持続的成長を促すよう、積極的に働きかけることを求められているのです。

日本版スチュワードシップは、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)など200以上の機関投資家が受け入れを表明しました。

これまで機関投資家は株主総会で黙って賛成票を投じていました。

しかし、金融庁が個別企業や個別議案ごとにどう議決権を行使したかを原則開示するよう求めたことで、今後は投資家行動の透明性が高まっていくと見られています。

スチュワードシップによって求められる機関投資家の行動

それでは、スチュワードシップによって、機関投資家はどのような行動をするべきなのでしょうか。

機関投資家が株主総会にどのような態度で臨むかなど議決権のあり方に加え、証券アナリストなどが企業との対話を通じて、積極的に株主総会に関わることが期待されています。

まず機関投資家は、スチュワードシップ活動における自社の方針を策定。

配当や利益成長などによる株主関係の充実や、ROE(自己資本利益率)の持続的成長などを掲げます。

ただし、これは各社が運用を託されている投資家の利益のために掲げているものなので、運用会社によって異なります。

そして方針に基づいた活動は、企業との対話や議決権の行使に現れます。

企業との対話では企業調査するアナリストがその役割を担います。

アナリストは企業の調査や分析する立場から企業に対する理解が深く、また面談などを通じて企業との接点も多いことから、企業の活動に客観的な提言ができる知識と機会を有しているからです。

ただし、議決権行使は専門の部署が行います。

株主総会にかけられる議案は、「役員などの改選」「新株発行」「利益の処分案」など経営に影響を与える重要な事案が多く、よいガバナンス(統治)になるかで判断します。

アナリストと企業によるコーポレートガバナンスに対する認識は、議決権行使の専門部署と共有されることにより、議案に対する判断に活かされるのです。


フリーレポート配信

長期間に渡り高めの配当を維持したり、増配している米国株について、投資家として知っておきたい情報を最新レポートとしてまとめています。「2020年にむけて注目したい米国配当株・REIT6選」こちらからご覧ください。(メールアドレスの登録が必要です)

また、ツイッターやフェイスブックで最新情報を配信しております。公式ツイッターアカウント@motleyfooljp公式フェイスブックアカウントをフォローする。

免責事項と開示事項 記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。

最新記事