米国でヘルスケアREITのブーム到来へ

モトリーフール米国本社、2019年8月18日投稿記事より
ヘルスケア関連不動産を扱うヘルスケアREIT(不動産投資信託)は、定年退職を迎える多くの団塊世代の恩恵を受けるとみられます。
今後、65歳以上の人々のヘルスケアニーズは大幅に増加するため、ヘルスケアREIT大手のヴェンタス(NYSE:VTR)などの動向が注目されます。なお、数値は執筆時点のものです。
シニア住宅事情の展望
ヴェンタスは、ポートフォリオの組み換え等によりここ数年パフォーマンスが低下していました。
しかし、2020年に反転の兆しが見え、2021年はキャッシュフローが成長軌道に乗る節目の年になると見ています。
当REITの純営業利益の約23%はシニア向け高級住宅物件からです。
これらの資産は、オペレーターとの長期契約に基づいてリースされており、通常、事前に設定された賃料引き上げが含まれています。
この事業は順調で、2019年の純営業利益の成長率は約1%と予想されています。
一方、ヴェンタスが所有及び運営するシニア向け資産で、純営業利益の約32%を占めるシニア・ハウジング・オペレーション・ポートフォリオ(以下「SHOP」)は低迷しています。
同REITは、2019年にSHOPの純営業利益が最大3%減少すると予想しています。
これは主にシニア住宅の供給過剰に基づく需要の低迷によるものです。
SHOPは、ヴェンタスにとって大きな逆風であり、投資家にとって大きな懸念事項でした。
これが、ヴェンタスの価格が過去3年間でその他のREITに遅れをとった理由の1つです。この部門が好転する場合、当REITの利益に大きく貢献するようになります。
また、競合REITであるウェルタワー(NYSE:WELL)およびHCP(NYSE:HCP)も、SHOPをそれぞれ約40%、36%の割合で抱えているため追い風が吹くことになるでしょう。
2021年のシニア住宅動向予想
それでは、どのようにしてヴェンタスは、2021年が需給の転換点になるという結論に達したのでしょうか。
まず、当REITは、データスペシャリストを採用し独自のデータベースを構築しました。
シニア住宅産業はかなり細分化されているため、データベースの構築が必要でした。
第二に、人口測定、高齢者住宅建設、高齢者住宅許可、占有レベル、普及率(現在高齢者住宅を利用している高齢者の割合)などに関するデータを米国内から収集しました。
このデータを使用してシニア住宅業界を徹底的に調査した結果、ヴェンタスは市場全体では2020年から2021年の間に供給の低下と需要の増加が見られると結論付けました。
この予想に基づけば、ヴェンタスの業績は大きく改善するとみられます。
しかし、競合のウェルタワーとHCPも同様に改善するでしょう。
ヘルスケアREITの全般的な回復状況を注視する必要があります。
(訳注:ヴェンタスの分配金利回りは、11月19日時点で5.4%です。なお、米医療制度改革などの不透明感の高まりで、ヴェンタスの価格は10月中旬から19%下落しています。)
(米国株投資にご関心がある場合は、モトリーフールの下の記事をご参照ください。)
フリーレポート配信
コロナ禍で消費者が一斉にレストランや航空機の利用を敬遠した一方、在宅需要という大きな恩恵を享受し、新産業として伸びた分野もあります。過去1年で既に株価は大幅に上昇してしまいましたが、在宅関連銘柄としても、長期的な成長株としても注目できる3銘柄を取り上げます。
「在宅需要で新たな産業が勃興する中、注目のコンスーマー関連3銘柄」はこちらからご覧ください。(メールアドレスの登録が必要です)
また、ツイッターやフェイスブックで最新情報を配信しております。
公式ツイッターアカウント、公式フェイスブックアカウントをフォローする。
また、公式LINEアカウントの方では、投資初心者向けの情報を発信しています。
免責事項と開示事項 記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資アドバイスではありません。元記事の筆者Reuben Gregg Brewerは、ヴェンタスを保有しています。モトリーフール米国本社は、記事で言及されているREITを保有していません。