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【米国株】決算から市場動向を予測しよう

10月~11月は決算シーズンでしたね。

多くのハイテク企業の決算が発表され、好調を喜び、不調に悲観し、様々な思惑の中で株価が乱高下する時期でもあります。

さて、その中で他社の決算で、未発表の同業企業の株価が上下するケースや、一見全く関係ない企業の株価が上下するケースを見たことはないでしょうか?

前述の通り市場は様々な思惑を孕んでいるのですが、一例として「市場動向の先読み」が挙げられます。

これは簡単に言ってしまえば、「特定の企業の業績から市場動向を先読みして決算未発表企業に対する投資スタンスも変化させている」から起こるわけですが、ライナスは比較的IT業界に明るいので、ハイテク企業の決算を起点に考え方の例を説明し、そこからハイテクセクター以外にも触れていきたいと思います。

尚、「この場合は必ずこうなる」と言うような市場動向の流れを保証するものではなく、あくまで考え方の一例ですのでご了承ください。

ビジネスの流れと市場のパイに着目する

まず、特定の企業の決算から市場動向を考えるときは「ビジネスの流れ」と「市場のパイ」に着目する必要があります。

マクロ経済に明るい人は「風が吹けば桶屋が儲かる」ような状態でも推測できるかもしれませんが、少し難しいのでもっとシンプルに、直接関係がありそうな企業同士の関係性から考え、そこから広げていきましょう。

次に市場のパイですが、例えば市場で3社独占状態のビジネスがあるとします。

A社は市場の70%、B社は市場の20%、C社は市場の10%を占めており、C社が昨年対比で-50%程度業績が悪化しました。

この場合、市場のパイが変わらず、あるいは伸びているとすれば、C社のシェアが激減したことになります。

逆に、市場も半減しているとすればC社のシェアは変わらずですが、A社、B社も業績悪化の可能性があります。

この情報だけで判断するのは難しいので業績悪化の理由にもよりますし、やはりマクロ経済や市場の雰囲気も感じ取る必要がありますが、「A社もヤバい!!」と狼狽するのはやや安直すぎると思います。

私なら「C社はシェア奪われたか?」程度に考えるでしょう。

「ビジネスの流れ」と「市場のパイ」、この2つを念頭に、具体例を挙げてみましょう。

ビジネスの下流から見る場合

ハイテクセクターでビジネスの下流から見る場合、わかりやすいのは半導体でしょうか。

半導体もスマートフォン向け、製造機器向け、サーバー製品向けなど色々あると思いますが、今回はIntel(INTC)やAdvanced Micro Devices(AMD)、NVIDIA(NVDA)を中心に見ていきます。

これらの企業も様々な製品を出しているので、データセンター製品部分の数字にフォーカスしてみましょう。

データセンター分野において、INTCやAMDならサーバー製品向けのCPU、NVDAならサーバー向けのGPUを製造していますが、これらの数字が悪化していた場合、これらを搭載するサーバー製品があまり売れていない可能性があります。

INTCとAMDに関してはお互いのパイの問題もありますが、それはここでは一旦置いておきましょう。

サーバー製品が売れていない場合、サーバーを扱うメーカーであるHewlett Packard Enterprise(HPE)やDell Technologies(DELL)、中国ではLenovo Group(LNVGY:ADR)、日本では富士通のサーバー部門の数字が悪化している可能性があります。

また、実際にこれらの企業の数字が悪化していた場合、サーバーは様々なビジネスで使われるので、企業がIT関連への投資を控えている可能性や、サーバーを多く利用するクラウドベンダーが追加投資を控えている可能性があります。

また、サーバーに付随して購入されるソフトウェアやサービスも不調になる可能性もあります。

先にクラウドベンダーの不調を視野に入れた場合、AWSを展開するAmazon.com(AMZN)やAzureを展開するMicrosoft(MSFT)が追加投資を控えている可能性があります。

事業絶好調であればある程度追加投資をしていくでしょうから、クラウド事業の成長が鈍化している可能性が挙げられます。

いまやクラウドは多くのサービス・ビジネスに利用されているので、クラウド事業が鈍化している場合SaaS企業やクラウドを利用する非IT系の企業がIT関連への投資を控えている可能性があります。

また、こちらもクラウドサーバー上で動くソフトウェアやアプリケーション企業も不調になる可能性があります。

ソフトウェアやアプリケーションにフォーカスしますと、RedHatEnterpriseLinuxを持つIBM(IBM)やOracleDatabaseを持つOracle(ORCL)、を持つハイパーバイザを持つVMware(VMW)やMSFTのSQLServerなどの製品に影響があるかもしれませんが、こちらはカテゴリが広すぎて推測するのは難しいですね。

そして「企業がIT関連への投資を控えている可能性」もサーバー製品やクラウド事業の数字からはやや推測しにくいですが、現在多くの企業はIT関連に投資をしています。

これはSaaSを提供する企業やAIの開発をする企業以外にも、専用の社内システムを導入したり、SaaSを活用したり、投資の対象は多岐に渡ります。

オールドエコノミーで言えば資本財と同じような考え方でしょう。

景気が良く、事業が拡大傾向なら設備投資を行います。製造なら資本財…のように考えられていたものが、今や多くの企業でハイテクに…となるわけです。

このように、半導体(CPU,GPU)→サーバー→クラウド事業→各企業のIT投資と繋がっていき、ここから「企業は内部留保を増やしているのかも」「景気後退に備えているのか?」など推測することができます。

もちろんこれは同時に数字が悪化するわけではなく、クラウド事業などは足元が好調でも次年度見通しが悪ければ先行投資を控える可能性もあります。

ビジネスの上流から見る場合

もちろん逆方向に見ることも可能です。

前述の通り同時期に数字の悪化が起きるとは限らないので「上流がダメな時には下流はとっくにダメ」な可能性もありますが、クラウド事業が傾けば、投資を控えサーバーなどのハードウェアが売れにくくなり、サーバーなどのハードウェアが売れにくければ半導体の売れ行きも悪くなる…半導体が売れなければその素材も需要が落ちるかも…など様々な投資判断の材料にできます。

推測はあくまで推測に留めるべき

このように、特定の企業の業績から、関連する企業の業績を推測していくことで、様々な市場の動向を推測することができます。

例えばAMZNやMSFTなどクラウドベンダーの株を持っている場合、「自分は保有していないから、半導体やハードウェア企業の決算は興味ないや」と捨て置かず、目を向けてみると少し先の未来がぼんやりと見えるかもしれません。

推測ができると素早い判断ができる可能性もありますが、市場は比較的素早くこういった推測を織り込みます。

そしてこの推測が間違っていたり、行き過ぎていたりする場合、短期的な乱高下を招く可能性があるわけです。

先の例で言えば「INTCのデータセンター部門が下げた!」「HPEもダメそうだから売りだ!」と先読みして下げるものの、実際はHPEが好決算で反転上げ…のような動きになるわけです。

この場合は推測に乗っからず、先読みで下げたところを拾えていると、反転上げのタイミングで利ザヤを稼げるわけですね。

市場には様々な思惑がありますから、推測が出来ても「それだけ」で投資判断をするのはややリスクが伴うかもしれません。

まとめ

今回はハイテク関連の決算を起点とし、そこから市場動向を予測する例を挙げましたが、自分が得意とする分野で考えてみるとわかりやすいかもしれません。

こういった考え方をどんどん広げていくと、マクロな経済動向が追えるようになっていきます。

ちなみに、ライナス自身は長期投資家なので、あまり短期の決算の数字だけで売買判断をすることがありません。

何となく保有している銘柄の決算を見たり、その数字から関連する市場動向、経済動向を推測したり、あくまで「投資判断の材料の一つ」にする程度です。

そもそも推測は良く外れます(笑)

仮に短期の推測が当たり下げ基調になっていたとしても、金融政策などにより立て直すこともあり、中長期では想定しきれないことも多くあります。

未来は誰にもわからないので、ある程度「読み」が出来たとしても、リスク許容度に見合った慎重な行動を心掛けたいですね。

それでは今回はこの辺で。明日は大吉!


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免責事項と開示事項 記事の筆者ライナス@米株仮面は、ビザ株、マスターカード株、マイクロソフト株、アップル株、アルファベット株、ジョンソンエンドジョンソン株、ファイザー株、アムジェン株、アッヴィ株、コカコーラ株、P&G株、ブリティッシュアメリカンタバコ株、マクドナルド株、AT&T株、USバンコープ株、アメリカンステーツウォーター株、ユニオンパシフィック株を保有しています。

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