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投資におけるポートフォリオの現金比率はどれくらいにすべきなのか?

投資を行うと誰しもが悩むことは、自分のポートフォリオの現金比率をどれくらいに設定すべきかではないでしょうか?

巷では「年齢=現金比率」ということも言われていますが、本当にそれでいいのか悩ましいでしょう。

実は自分のポートフォリオにおける現金比率は人により異なるのです。

自分自身にどのようなライフイベントがあり、それに対しどれくらい現金を保有しておく必要があるのか見極めていく必要があります。

投資における現金比率はどれくらいが適切?

自分のポートフォリオにおける現金比率は、「年齢=現金比率」、「生活費の6ヶ月分」が目安と言われることがあります。

果たしてこれらは正しいのでしょうか?

「年齢=現金比率」や「生活費の6ヶ月分」というのはあくまで目安で、当然全ての人がこれに当てはまるわけではありません。

しかしこれらには理由があります。

「年齢=現金比率」と言われるのは、20歳の方で職に就いている方であれば、定期的な収入があることと、運用期間が長くとれることから、現金比率を下げてもそれほどリスクはありません。

ところが55歳の方は、定年まで残り5年(再雇用制度を活用すれば65歳)で、定期的な収入を得られる期間が短くなります。

仮にリーマンショックなどの経済危機が発生した場合、現金比率を下げてリスク資産を増している場合、自分の資産を大きく減らしてしまう可能性があります。

このような場合、資産を減らしてしまった後に、定期的な収入などで補うことができなくなるのです。

また「生活費の6ヶ月分」については、失業保険の受給が関係しているといえます。

【失業保険の受給までの流れ】

引用:ハローワーク 雇用保険手続きのご案内

上記の図は離職をしてから失業保険を受給するまでの流れです。

失業保険の受け取りは、「会社都合の退職」と「自己都合の退職」で受給開始までの期間が異なります。

前者はすぐに受給することができますが、後者は最短でも4ヶ月もかかります。

自己都合で離職をすると、4ヶ月間無収入となることから、少し余裕を持たせて6ヶ月分の現金は確保しておいた方がいいでしょう。

ここまでは日常生活におけるリスクを踏まえ、「年齢=現金比率」や「生活費の6ヶ月分」の現金比率があると望ましいことをお伝えしてきました。

では投資を行う上で、現金比率が低いとどのような弊害があるのでしょうか?

以下で詳しく見ていきます。

投資において現金を保有しておく重要性

超低金利の時代では、素晴らしい投資先を見つけることは難しくなります。

なぜならば、少しでも高い利回りを求めようと皆同じ動きを取り、利回りの高い投資先があったとしても投資家が集まり、結果として利回りが低くなってしまいます。

たとえば利益の一部(ここでは100とします)を分配金として投資家に還元しようとします。

これを5人の投資家に分配すると、1人当たり20の分配金が得られます。

ところが20人の投資家が集まると、1人当たり5の分配金となり、1人当たりの利回りも低くなってしまいます。

このように超低金利時代では、皆同じ行動をとることから、高い利回りを出し続ける素晴らしい投資先を見つけることが難しくなるのです。

実はそのような難しい相場であればあるほど、現金の保有率が鍵を握ることがあるのです。

投資を行えば最初のうちは、どうしても現金の比率が下がってしまいます。

特に上昇相場であればあるほど、積極的に投資を行いたくなり、自分のポートフォリオにおける現金の比率が下がります。

そうなると、数少ない素晴らしい投資先が見つかったとしても、すぐに動かせる現金がなく、投資ができないという事態に陥ります。

これは大変もったいないことで、中には損失を覚悟で保有株式の一部を売却するなどして、何とか現金を作ろうとします。

しかし自分が投資をした時は時すでに遅しで含み損が発生し、また新たな投資先が見つかり、損失覚悟で売却して・・・と負のスパイラルに陥ります。

待つのも相場、と言われる所以がここにあります。

自分のポートフォリオにおける現金の比率を下げ過ぎると、せっかくの投資チャンスを逃すことになります。

それではどのくらいの現金比率が、ポートフォリオのパフォーマンスを最大限に発揮することができるのでしょうか?

以下では世界の機関投資家の現金保有率を見て、自分のポートフォリオの参考にしてみましょう。

機関投資家の現金保有比率

以下で世界を代表する機関投資家の現金比率を確認し、自身のポートフォリオの参考にしてみましょう。

ここではGPIFとウォーレンバフェット氏(バークシャー・ハサウェイ)の2つの機関投資家を取り上げてみます。

GPIFの現金保有比率

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)とは、日本の厚生年金と国民年金の年金積立金を管理、運用する厚生労働省管轄の独立行政法人です。

私達が毎月納めている厚生年金や国民年金は、GPIFが信託銀行などの運用受託機関を通して国内外の株式や債券に投資をし、運用収益を年金の原資としています。

2019年6月末現在、以下のようなポートフォリオとなっています。

【運用資産合計額:約160兆円】

  • 国内債券:26.93%(約43兆円)
  • 国内株式:23.5%(約38兆円)
  • 外国債券:18.05%(約29兆円)
  • 外国株式:26.43%(約42兆円)
  • 短期資産:5.09%(約8兆円)

参考:GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)2019年度の運用状況

上記の「短期資産」が主に現金などで、なんとGPIFの現金比率は約5%しかないのです。

バフェット(バークシャー・ハサウェイ)の現金保有比率

バークシャー・ハサウェイはアメリカのオマハに本社を置く、世界最大の投資持ち株会社です。

同社を経営するのは、世界一有名な投資家であるウォーレン・バフェット氏です。

同社は1888年に綿紡績事業会社として設立され、順調に経営が進んでいましたが、1960年代に安価な外国製品に押され、破綻寸前までに追い込まれました。

その後バークシャー・ハサウェイの経営権を握ったバフェット氏は、事業を180度転換し、投資会社として事業を拡大します。

ちなみに1985年に綿紡績事業からは撤退しています。

現在は保険事業、鉄道事業、上場企業への投資などで収益を得ています。

バフェット氏の投資方針は、割安で放置されている株をフォーカス投資するスタイルです。

投資の基本である分散投資とは真逆の戦略をとっています。

2019年7月現在、バークシャー・ハサウェイの手元現金は1,100億ドル(約12兆円)で過去最高水準に達しています。

運用資産に対する現金比率は、18%を超えています。

バフェット氏は理想のポートフォリオについて、株式に90%、その他現金などに10%と推奨しており、理想のポートフォリオの現金比率を上回っていることから、株式市場にネガティブな要素があると見て取れます。

ちなみにバフェット氏の最新ポートフォリオは、マネックス証券のiBillionaireというサイトで確認することができます。

参考:マネックス証券 iBillionaire

なおこのサイトを閲覧するには、マネックス証券の口座開設が必要です。

日本人の現金保有比率はどれくらい?

2018年12月の日本経済新聞の記事によると、日本人の家計金融資産における現金保有比率は5割を超えています。

参考:日本経済新聞 家計金融資産

家計金融資産における現金保有比率は欧州で3割、米国では1割と比べると日本の現金保有比率の高さが伺えます。

日本人は昔から家計金融資産における現金保有比率が高いと言われています。

それは日本人の金融教育の遅れや、バブルを経験したことにより、リスク資産に投資をすることを拒む傾向があるといえます。

2019年現在、メガバンクの預金金利は最低水準で推移しており、預貯金ではお金が増えないと理解していながらも、何に投資をすべきなのかわからないといった声もあります。

一方、欧州や米国では小学生で金融教育を実施し、比較的若い年齢から投資を経験することが多いです。

投資を行う際はいざという時に現金も残しておこう

これまで機関投資家や世界の家計金融資産における現金比率を見てきました。

このようなデータを見て、思ったよりも現金比率が低いと感じられたのではないでしょうか?

それでは彼らと同じように現金保有比率を減らし、リスク資産の比率を上げるべきなのでしょうか?

確かに現在のような超低金利時代では、預貯金だけでは資産を増やすことは難しいです。

そのため少しでもリスクをとって、金融資産に投資をする必要がありそうです。

しかし理想の現金保有比率は、前述させていただいた通り、人それぞれ異なります。

たとえば下記の2人のパターンを考えてみましょう。

【パターン1】

  • 30歳男性、独身
  • 金融資産:預貯金500万円
  • 社会人8年目(年収500万円)
  • 来年結婚予定

【パターン2】

  • 25歳女性、独身
  • 金融資産:預貯金100万円
  • 社会人4年目(年収350万円)
  • 結婚予定なし

これら2つのパターンではどちらの方が現金保有比率を高めた方がいいでしょうか?

答えは、パターン1の男性です。

パターン1の男性はパターン2の女性に比べ、金融資産も年収も上回っています。

ところが来年結婚を控えているため、今後大きなライフイベントを控えています。

特に結婚式を行う場合、多額資金が必要であることや、子どもができた場合に備えて現金の保有比率を高めておく必要があります。

一方、パターン2の女性は独身で仕事もしており、結婚などの大きなライフイベントを控えていないため、現金保有比率を下げたとしても、問題ないといえるでしょう。

現金保有比率を決める際は、「いざという時」がどれくらい想定できるかや、その金額がいくらくらいかかりそうかなど、しっかり把握しておかなければなりません。

まずは自身のライフイベントを洗い出し、どれくらいの現金があればいいのか確認してみましょう。

まとめ

今回のポイントは以下の通りです。

  • 機関投資家の現金保有比率は全資産に対し10%〜20%
  • 投資を行う上で現金保有比率が低いと、投資チャンスを逃してしまう可能性がある
  • 自身のライフイベントを洗い出し、いざという時のための必要なお金を確認する

超低金利時代の今は、少しでも高い利回りを求めてリスク資産に多く投資をしたくなるかもしれません。

ところがリーマンショックのような100年に一度の経済危機が発生すると、一瞬にして大切な資産を失うことになります。

そのため自身のライフイベントをしっかり確認し、最低限の現金はしっかり確保しておくべきでしょう。


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