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ホームカントリーバイアスとは?国内の機関投資家と個人投資家の動向を解説

ホームカントリーバイアスとは、投資家が海外投資に慎重になり、自国市場の資産への投資を増やすことです。

たとえば、運用額の大部分を自国市場の株式や債券などで運用することを指します。

ホームカントリーバイアスが起こりやすい要因としては、以下の三つが考えられます。

  • 国内市場の株式や債券のことはよく分かっているので投資しやすい
  • 海外のマーケットや企業はよくわからない
  • 国内の企業や経済を応援したい

通常、幅広く国際分散投資するほうがリスクは軽減できます。

しかし、投資対象の仕組みやリスクが十分理解できるものに投資することは資産運用の基本で、自国内の株式や債券を中心に運用するのは自然なことです。

ただし、資産が分散されてない分、リスクは高くなります。

とくに日本人はホームカントリーバイアスが顕著で、自国通貨である「円」に対する信頼感が他国よりも強くなっています。

個人の金融資産の半分以上を、ほとんど金利のつかない現預金で持っていることからもよくわかるでしょう。

大切な資産を外国通貨で保有ことに抵抗を感じ、資産を円だけで持つことのリスクに対する意識が薄いのです。

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のポートフォリオ

 

国内の機関投資家もホームカントリーバイアスの意識が強く、国内の債券・株式への投資がほとんどです。

しかし、低金利が続く中、国内への投資だけで利回りを確保するのが難しくなり、海外への投資を増やしています。

たとえば、私たちの年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のポートフォリオは以下の通りです。

出典:GPIF

GPIFは、「長期的な観点から安全かつ効率的な運用」を行うため、上記の資産構成割合を「基本ポートフォリオ」として定めています。

年金という資金の性質上、大きなリスクは取れないので国内の債券や株式が中心になっていますが、低金利が続く中、GPIFも外国資産の比率を増やしてきました。

「基本ポートフォリオ」策定の経緯は、以下の通りです。

第一期中期目標期間(2006年~2009年)

  • 国内債券…67%
  • 国内株式…11%
  • 外国債券…8%
  • 外国株式…9%
  • 短期資産…5%

2006年度から2009年度までを対象期間とする第一期中期目標では、リスク水準を国内債券と同程度に抑えつつ、実質的な運用利回り1.1%を確保するよう、上記のような基本ポートフォリオが作成されました。

この時の比率は国内市場78%、海外市場17%と、ホームカントリーバイアスが強いポートフォリオでした。

第2期中期目標期間(2010年4月~2014年10月)

  • 国内債券…60%
  • 国内株式…12%
  • 外国債券…11%
  • 外国株式…12%
  • 短期資産…5%

引き続き「安全、効率的かつ確実な運用」を目指していましたが、国内債券の比率を7%下げて60%にし、国内株式を1%、外国株式を3%、外国債券を3%引き上げました。

当時はこれでも大きな変化でしたが、依然として日本市場が72%とホームカントリーバイアスが強い状態が続いていました。

2014年10月~

  • 国内債券…35%
  • 国内株式…25%
  • 外国債券…15%
  • 外国株式…25%

2014年になり、GPIFは新興国債券への投資拡大の検討を発表。

外国債券には新興国債券だけでなく、格付けの低いハイイールド債の組み入れも進めました。

そして10月に基本ポートフォリオを劇的に変更。国内債券の比率を35%まで下げ、国内外の株式の比率を大きく上げました。

この結果、国内と海外の比率は60:40になったのです。

依然として国内の比率が高いものの、年金財源の枯渇化が心配される中、リスク資産である株式や海外資産の比率を高める結果となりました。

個人投資家の動向

個人も外貨建資産を増やしています。

2018年度末の外貨預金は7兆円強で、6年ぶりに過去最高を更新。外国債券や外国株式を含む家計の外貨建資産は40兆円を超えています。

しかし、個人の家計金融資産は1860兆円で、外貨建資産は2%にすぎません。

多くの資金が金利のつかない国内の預貯金に滞留しているのです。

日本の低金利にしびれを切らし、海外の資産に投資する流れは続いていますが、依然としてホームカントリーバイアスが強い構図が続いています。

出典:日銀 資金循環

ただ、老後2000万円問題などで、将来に対する資産運用のニーズは高まっています。

つみたてNISAやiDeCo(イデコ)などの投資非課税制度も充実してきました。

今後投資に対する意識が高まれば、海外投資に対するニーズも高まることが予想されます。

まとめ

仕組みやリスクを理解できるものに投資するのが資産運用の基本なので、ホームカントリーバイアスがかかるのは自然です。

これは、日本だけでなく欧州や米国でも同様の傾向があります。

ただ、資産が分散されない分、リスクを抱えていることを理解しておきましょう。

個人も海外への投資を増やしていますが、個人の金融資産の海外資産比率はわずか2%。

しかも、個人金融資産の半分以上は金利のつかない預貯金です。

将来への資産形成のためには、偏ったホームカントリーバイアスを修正し、海外資産への投資を増やすべきでしょう。


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