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金融業界で進む「野村外し」とは?野村証券の現状について解説

野村証券は日本屈指の証券会社ですが、ここ数年は業績の悪化と共にネガティブなニュースが多くなってきました。

その影響もあり、金融業界で「野村外し」が加速しつつあります。

今回は、金融業界で進む「野村外し」について、野村の現状を含めて解説をします。

野村証券とは

野村証券は野村ホールディングス傘下の子会社で、債券取引を中心に証券会社として発展して来ました。

2007年に起きたリーマンショックをきっかけに経営陣を刷新。

企業の若返りを狙った人事を取ると、リーマンショックのきっかけであるリーマン・ブラザーズの欧州・中東部門をわずか2ドルで買収したと話題になりました。

東日本大震災以降は、東北復興のために尽力しており、日本の大企業として責任ある振る舞いを取ってきました。

野村グループの中核を担う会社であるため、野村証券に何かあれば、そのままグループ全体に影響を与えます。

失態続きの野村証券

そんな一流企業ですが、ここ数年はあまり良くないニュースを耳にします。

たとえば、2012年にはインサイダー防止規制を守らない経営実態が明らかとなり、業務改善命令を受けました。

他にも、親会社の経営不振を受けてレイオフを検討しているとニュースで取り上げられ、マイナス金利の影響により24年間も続けていた投資信託の運用を終えるなど、苦しい経営戦略を選択して来ました。

そして、2019年4月には最終赤字として1000億円を計上し、経営が苦しい実態が発覚。

野村証券の店舗数を削減すると発表があり、株主たちを驚かせました。

全国に150店舗以上ある店舗の内、東京・大阪・名古屋の3大都市圏25店舗を統合すると決定し、大規模なリストラを計画しています。

また、7月には野村証券元社員が、在籍時のネットワークを使い複数の投資家に架空の投資商品を提案している疑いがあると発表。

もちろん、実体のない投資商品を売りつけるのは詐欺行為であり、大掛かりな詐欺事件に発展する可能性があります。

このように、野村証券は証券業界においてトップを走っていたのですが、ここ数年は信頼と実績を損ねるような結果となっていました。

そして、2019年5月に耳を疑うようなニュースが飛び込んできました。

それは、野村証券社員が投資家に対して、東京証券取引所の市場再編に関する情報を漏えいしたという内容でした。

東京証券取引所の市場再編

東京証券取引所(以下東証と省略)は、市場第一部を含め4つの市場を持つ日本最大規模の取引所になります。

一部上場企業という肩書は社会的にも経営的にも大きなメリットを得られます。

しかし、昨今の世界経済の素早さに対応するべく、東証は4つの市場を再編する計画を開始します。

2018年から懇談会を開き、現在4つある市場を、ピラミッド構造の3つの市場に再編すると決定しました。

ピラミッドの上に位置する市場が最上位で、その下に中堅の市場、新興企業と続きます。

ここまでの情報はメディアに公開された物のため、ご存知の方も多いかもしれません。

野村証券の営業が漏えいしたのは、このピラミッドを区切る上場基準に関する情報です。

野村証券の営業は、「東証一部の時価総額基準が250億円以上になりそうだ」という内容を、国内外の機関投資家に不適切に提供していたと発覚したのです。

情報の漏えいは罪になるのか?

上記の情報が事実かどうかはさておき、懇親会で知り得た情報を投資家に漏えいすることが罪になるのかというと、罪になる可能性は十分考えられます。

たとえば、懇親会の情報を利用してお金を得る、いわゆるインサイダー取引に該当する場合があります。

今回のケースにおいては、野村証券営業の行為は漏えいした情報がインサイダー取引に当たらず、法律を破るような罪には該当しません。

懇親会では法人関係の情報に関しては取り扱いを厳しくしていましたが、該当しないが市場に影響を及ぼす重要情報に規定を定めていなかったという見落しもありました。

しかしながら、野村証券営業がした行為は、個人の良識のみならず、会社としての経営体質を揺るがす問題へと発展。

金融庁は2012年のインサイダー取引以来の業務改善命令を出し、過怠金1000万円を課しました。

野村証券側も企業体制の見直しを図るとともに、経営陣の減給処分などを発表。一応の責任を取った形となりました。

金融業界の野村外し

情報漏えいの責任を取った野村証券ではありますが、それだけで信頼回復とはいきません。

本業での1000億円を超える最終赤字の計上や、首都圏を中心に店舗数を減らすリストラ計画などもあり、野村証券に対する信頼は厳しい物がありました。

そのため、金融業界で野村外しの動きが加速しつつあります。

たとえば、企業が社債を発行する際に、投資家への販売などを行う主幹事は信頼と実績のある一流の証券会社に任されるパターンが多いです。

野村証券は日本屈指の証券会社として信頼されていましたが、これらの騒動の影響もあり、大阪ガスを含めた複数の会社の主幹事から除外されてしまいました。

財務省も、現在の野村証券に大きな仕事は任せられないと判断。政府が保有する日本郵政の第3次売却から、野村証券を外す決定を下しました。

生命保険など複数の機関投資家は、野村への債券・株式の売買注文を停止しています。

証券会社は売買注文の手数料で儲けている部分もあるため、大口の機関投資家が利用しないというのは、大きな損失となります。

このまま野村離れが進めば、個人投資家も離れていき、野村証券が進めている構造改革も間に合わない結果になるかもしれません。

野村ホールディングスの中核を担う野村証券の失墜は、グループ全体に大きな影響を与えかねません。

野村証券が不調な理由

野村証券が不調な理由として、企業の体質を変えられなかった事が上げられます。

たとえば、この20年でインターネット証券会社が大きな躍進を遂げました。

手軽さと低価格を売りにしたインターネット証券は、現在の金融市場にマッチしており、若い投資家が流れていきました。

しかし、野村証券は対面式の営業という事業モデルを変えずにきました。

また、リーマン・ブラザーズを買収したことも、現在まで尾を引く影響を与えています。

結局の所、2012年にインサイダー取引が発覚した頃と変わらない企業体質が、今日の状況を生んでしまったといっても過言ではありません。

万が一、野村証券が潰れてしまった場合

経営の立て直しを図る野村証券ですが、度重なる不祥事に加えて本業の赤字もあり、先行きは不透明です。

そのため、野村証券が経営破たんしないとも限りません。

万が一、野村証券が破たんした場合、預けている証券やお金は戻ってきます。

証券会社は投資家から預かっている有価証券やお金は、破たんした時に備えて自社の資産とは別に管理するように法律で定められています。

ですが、これまでの野村証券の行動や対応を見ていると、この法律がきちんと守られているのか不安になります。

もし、野村証券が顧客資産の返還が難しいとなった場合は、日本投資者保護基金から一人当たり1000万円までの補償がされます。

野村証券にトータルで1000万円以上預けていたとしても、1000万円以上の補償はありません。

野村証券ほど巨大な企業だと、法律を順守している筈ですが、現在の野村証券が信頼できるかと問われると難しいです。


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記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。

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