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ADR(米国預託証券)とはどんな投資なのか?仕組み・メリット・注意点を解説

貯蓄から投資の流れを受けて、日本株や米国株に投資を検討されている方も多いことでしょう。

さらに高いリターンを求め、欧州やアジアの成長企業へ直接投資を検討している方もいらっしゃるかもしれません。

ところが国によっては、政府の規制で外国人投資家が株を買えない国もあるのです。

そこで活用したい方法がADR(米国預託証券)です。

今回はADR(米国預託証券)について理解してもらうために、

  • ADR(米国預託証券)とは?
  • ADRの仕組み
  • ADRに投資をするメリット
  • ADRに投資をする際の注意点
  • ADRを利用して世界中の企業に投資をしよう

以上についてお伝えしていきます。

ADRに投資を行うことで、日本の証券会社で扱っていない国に直接投資することができ、投資の幅を広げるチャンスとなります。

ADR(米国預託証券)とは?

ADRは「American Depositary Receipt」の略で、米国預託証券と呼ばれています。

たとえばインドの企業に目を付け、個別株に投資をしたい場合、日本からインドの株式を直接買うことはできません。

そこでADRを活用することで、自分の目を付けたインド株に投資することが可能になります。

近年の日本株市場は、少子高齢化、将来への不安から消費が落ち込み、企業収益が伸び悩んでいます。

2019年10月2日現在で21,778円で、バブル最高値の38,915円をいまだに上回ることはありません。

少しでもリターンを求めて新興国株に目を向けたいところですが、日本の証券会社では新興国株を扱っている会社が少ないです。

そこで活用したい投資がADRです。

ADRは証券口座で専用口座を開設すれば、誰でも取引が可能になります。

ただしADRは全ての株式を扱っているわけではないので、注意しましょう。

ADRの仕組み

例としてブラジル企業A社のADRの仕組みを図解したものが、以下の図1です。

【図1】

 

ADRを一言で説明すると、外国株(米国株以外)の代わりとして取引可能な証券です。

言い換えれば、米国の株式市場で米国株以外の株が上場していなくとも、取引できる証券です。

図1を元にADRが発行されるまでの流れを以下に示します。

  1. B銀行がブラジルでA社の株式を購入し、現地銀行に保管
  2. B銀行はブラジルの現地銀行に預けたA社株と引き換えに預かり証(預託証券)を発行
  3. A社とB銀行は発行された預託証券をアメリカの取引所に上場させる

つまりADRを発行し、アメリカの取引市場を介すことで、購入できない現地の株式を買うことができるのです。

ADRに投資をするメリット

ここでADRのメリットについてまとめてみましょう。

  • 現地政府の規制によって、株式を売買しにくい国の株式に投資ができる
  • 配当金の受け取りの際、確定申告で現地で納めた税金を取り戻すことができる
  • 現地で直接取引を行うよりも手続きの手間を省くことができる

現地政府の規制によって、株式を売買しにくい国の株式に投資ができる

前述させて頂いた通り、インドの株式は外国人投資家の直接投資が規制されています。

最近はアジアなどの新興国株式を扱う証券会社が増えてきましたが、ブラジルなど南米の株式を取扱う証券会社は少ないです。

ADRは証券会社により取扱い銘柄が異なりますが、イギリス、インド、中国、香港、南アフリカ、ブラジル、メキシコ、オーストラリア、ロシア、ルクセンブルク、イスラエル、オランダ、フィンランド、台湾、アルゼンチンなどの国の銘柄に投資することができます。

リスク分散という意味でも世界中の国の銘柄に投資できることは、ADRのメリットの一つでしょう。

配当金の受け取りの際、確定申告で現地で納めた税金を取り戻すことができる

ADRに投資をしていても、図1のA社が配当を実施する場合、配当を受け取る権利を持ちます。

配当が実施されると、日本では配当所得として課税対象になり、投資先企業の国でもその国の税制によりますが、課税される可能性があります。

つまりADRは現地の国でも課税され、日本でも課税されと二重課税を受けることになってしまいます。

ところが、日本と租税条約が結ばれている国であれば、確定申告を通じ現地で支払った税金を取り戻すことができます。

日本と租税条約を結んでいる国は、主要先進国とイスラエル、インド、中国、南アフリカ、メキシコなど2014年4月末現在で、80カ国あります。

現地で直接取引を行うよりも手続きの手間省くことができる

日本から直接できない国に投資を行う場合、現地で証券口座を開く必要があることはお伝えしました。

このような場合、日本で日本株を保有する時と同様、全てのリスクを負う必要があります。

また細かい情報などは、現地の証券会社とやり取りが必要になり、様々な手続きが発生します。

ところがADRはその役割を、前述の例でB銀行が担ってくれるため、投資家は投資だけに集中できます。

ADRに投資をする際の注意点

ADRの取引の際の注意点は以下のような内容が挙げられます。

  • 預託証券の発行管理に関する費用実費が発生する
  • 原株式が上場していても、ADRのみが上場廃止になる可能性がある
  • 原株式への転換は不可
  • 議決権行使ができない

まず預託証券の発行管理に関する費用実費ですが、1株あたり約2円ほどかかります。

この費用は固定された金額ではなく、今後も変わる可能性があります。

また原株式(預かり証を発行している銘柄)が上場していても、ADRのみが上場廃止になることや、そのような場合ADRへの転換もできません。

さらに原株式の保有者は証券会社(日本のADRを販売している証券会社)の名義となるため、ADRに投資をしていても株主の議決権行使ができません。

ADRはあくまで間接的に投資をしていると認識しておきましょう。

ADRを利用して世界中の企業に投資をしよう

ADRを利用することで、世界中の国の株式に投資をすることが可能になります。

特にアジア、中東、東欧、アフリカ、南米などの新興国はこれから経済成長が大いに期待できます。

その様な国に投資する方法は、現地で証券口座を開設する、投資信託を通じて売買をするの2択ですが、ここにADRが加わります。

ADRはこの二つのいい部分のみを取った投資といえ、現地で証券口座を活用することなく、投資信託よりも多くのリターンを得られる可能性があります。

またADRは図1のように、上場審査が行われるため、審査を通過した銘柄のみ取引できるため、財務状況が悪い会社や、業績が悪い会社は基本的には省かれます。

安心して、世界中の株式に投資を行うためにもADRを活用してみるのはいかがでしょうか?


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記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。

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