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米国独自のキャッシュレス・ペイメントの進化とその関連企業について

消費税が10%に上がった日本では、キャッシュレス・ペイメントの場合は還元があるなど、国を挙げてキャッシュレス化を進めています。

日本では、スイカ、パスモのような交通系キャッシュレスや、PayPay、iDなど非接触型スマホ決済などが、キャッシュレス化の中心を担っている状況です。

一方で、キャッシュレス先進国であるアメリカは、統計データにもよりますが、6割程度がキャッシュレスと言われています。日本の2割程度に比べると格段に高い数値です。

アメリカの場合は、クレジットカード発祥の国でもあり、クレジットカード決済の普及率は非常に高いです。

ほぼどんな店でも、金額にかかわらずクレジットカードで決済できます。

以前は、パーソナルチェック(小切手)による決済(これも一応、キャッシュレスです)もかなり多かったですが、これは昨今ではデビットカードへの転換がだいぶ進んでいるようです。

クレジットカードの普及には、やはり多額の現金を持ち歩くことが危険であることが一つの要因であったと言われています。

ホールドアップ強盗も多かったアメリカでは、現金を持つことは危険であったかと思います。

同様に、中国でWeChat Pay(テンセント)やAlipay(アリババ)が普及した背景には、現金に対する信用度が低いという背景がありました。

そのため、アリババグループやテンセントが決済の仲介者として入ることで、決済の信用度が増したということが挙げられます。

クレジットカードでも同じ効果が得られますが、QRコード決済であれば、事業者側はQRコードを印刷した紙だけあれ良いので、導入コストがクレジットカードに比べて圧倒的に低いです。

更にクレジットカードに比べて仲介業者に対する手数料が低いということも、普及の要因のひとつであったと思われます。

さて、キャッシュレスの進んだアメリカですが、その大半はクレジットカードであり、その傍系のデビットカードです。

非接触型スマホ決済が、Apple Payの健闘にもかかわらず、なかなか浸透しない理由の一つは、クレジットカード決済先進国だから、という逆説的なものです。

ハーバード大学のクレイトン・クリステンセン教授の「イノベーションのジレンマ」という本をお読みになった方はご理解いただけると思いますが、クレジットカードという決済革命ともいえるイノベーションをおこしたアメリカは、その先進性と広くそれが普及しているが故に、次のイノベーションに乗り切れないというのが現状です。

既に、クレジットカード決済のシステムで、ある意味事足りているので、あえて非接触型スマホ決済を導入するインセンティブがない、あるいは低いというのが実際です。

一方、中国や日本のようにクレジットカード決済が進んでいない社会では、クレジットカードから、非接触型スマホ決済への移行が進みやすくなっています。

進化の過程は国によって異なりますが、キャッシュレス化の進化は、社会的なコストの低減のためにも必要なこととされています。

中国や日本とは異なる形で進むアメリカのキャッシュレスの分野での主要プレーヤーには、American Express(AXP)、Visa(V)、MasterCard(MA)のような会社があります。

アメリカの場合は、まずはクレジットカード会社が中心です。

そして、これら3社は世界のクレジットカード市場をもリードする企業です。業績的にも好調を維持しています。

決済に関連した金融サービス(決済処理システム)には、Paypal(PYPL)、Square(SQ)、3PEAInternational(PAYS、Paysignです)などがあります。

PaypalとSquareは、インターネットを通じた決済システム(銀行口座もしくはクレジットカード紐づけ)、Paysignはプリペイドカード型です。

また、主にBtoBの決済ソリューションを手掛ける会社としては、13Verticals(IIIV)、Fleetcor Technologies(FLT)などがあります。

キャッシュもしくは小切手による決済は、アメリカで40%、海外で60%あると言われており、この分野でのクレジットカード、非接触型スマホ決済などのシェア争いと、その争いの中での様々な技術革新(Fintech)が進むと考えられます。

この文脈で考えた時に、Facebook(FB)が企画したデジタル通貨Libraは、中国のWe Chat PayやAlipayにも匹敵するものになり得るとの期待がある一方で、クレジットカード会社から見れば、大きな脅威であり、既得権益側としては、それを取り込むか排除するかの戦略を迫られることになるかと思われます。

そして、同様の観点から、大きな脅威になり得るのが、アマゾン(AMZN)ではないでしょうか。

アマゾンが自社で銀行業やクレジットカードなどの決済システムを持つ下地は持っています。

アマゾンは既にAmazon Payを始めていますが、この分野に本格的に出てきたら、その脅威はFacebook以上になるでしょう。

この分野の発展は、金融サービス業以外の分野からの進出も含めて、幅広い視野で見ていく必要があります。

それだけ、遅れていてビジネス機会の多い分野だからとも言えます。

個人の決済の分野は目に見えるところであり、話題に上りやすいですが、BtoBの決済の進化は急速であり、この分野はある意味ブームになっていると言っても良いくらいです。

BtoBの決済分野は$120Trillion(約1京3千兆円)のビジネス機会とも言われており、クレジットカード会社の進化も含め、これからもかなりの進化、新しいビジネスの見込める成長分野かと思います。


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記事の作者、松本義和は記事内で言及されている銘柄を保有してはいません。

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