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【米国株】バランスシートにない資産を持つGoogleの戦略

Alphabet(ティッカー:GOOG、GOOGL)と言えば皆様何をイメージしますか?

やはり検索エンジンの「Google」のイメージが強いでしょうか。

動画を見るのが好きな方はYoutube、ブロガーの方はAdsenseを思い浮かべますかね。

いずれも広告収入が柱になるので、広告企業のイメージが強いかもしれませんね。

Alphabet自体はGoogleやYoutubeなどのインターネット、コンテンツビジネスの他にもテクノロジー、科学や医療の研究、ベンチャーへの投資など様々なビジネスを有していますが、今回は「AI First」を掲げるテクノロジー企業としてのAlphabetの側面を解説します。

Alphabetのテクノロジー

Alphabetのテクノロジー関連で代表的なものをいくつかあげますと、「GoogleChrome」「Google Home」「Google翻訳」「Google MAP」などWebを活用した一般ユーザー向けのサービスや、「Google Cloud」などの企業向けサービスがあります。

他にもオープンソースとして提供しているものでは「Android OS」「kubernetes(クーバネティス)」「TensorFlow(テンソルフロー)」のように、OSやコンテナ技術、マシンラーニング/ディープラーニングライブラリもあります。

さらに意外なところでは「TPU(Tensor Processing Unit)」と呼ばれる機械学習用プロセッサなど、ハードウェアの開発も行っています。

Alphabetは「稼ぎ下手?」

Alphabetは例に挙げたサービスの多くを無償で提供しています。

流石にクラウドサービスやハードウェア、デバイスは無償提供できないものの、かなり太っ腹な公開ぶりです。

検索エンジン、ブラウザ、翻訳サービス、地図アプリなど一般ユーザー向けのサービスは広告を掲載することで企業から収入を得ていますが、Android OS、kubernetes、TensorFlowなど次世代のデファクトスタンダードとなる先進的な技術(Androidは既に十分普及していますが…)はライセンス料を徴収すれば、それだけでビッグビジネスになるのでは?もったいない…と思ってしまいます。

しかし、それをオープンソースとして広く公開していることには狙いがあると思います。

Alphabetの狙い

予め断っておきますと、私はGoogle社員ではないのであくまで私個人の推測です。そして今回の記事はここからが本題です。キーワードは「データ資本主義」です。

Alphabetは各サービスから利用情報を収集し、それをAIの学習に活用しています。

検索なら検索予測や関連ワード、翻訳なら文脈、地図なら利用経路などですね。

これらを用いてAIの精度、結果的にサービス品質を向上させ、より利用者を増やし、利用者が増えれば収集できる情報が増え、さらに学習させ…とサイクルを回すことが可能になります。

つまり、サービス提供により直接的にお金を回収するのではなく、将来的にお金を生み出すための材料となる「データ」を収集しているわけです。

現在「データ」には資産価値がありません。バランスシートにも乗りません。

どれだけ収集しても、売上としても利益としても表現されず、税金もかかりません。

むしろデータ保管、管理にコストをかける分、経費が増え利益は減って見えるかもしれませんね。

さて、Alphabetは収集したデータを自社サービスの向上に利用していますが、もちろんそれだけではありません。

冒頭でも述べた通り、テクノロジー、科学や医療の研究もAlphabetのビジネスです。データを収集したサービスそのものの向上以外にも、データは活用できるということです。

例えば自動運転ならWaymo、手術ロボットならJNJと提携し研究、開発しています。活用可能なデータを横展開することや、多岐に渡るAI開発の過程で得られる学習プロセス効率化のノウハウを利用することで、あらゆるジャンルのビジネスに参画可能な土壌を形成していると思います。

シンギュラリティ問題もありますが、「AIが多くの仕事を奪いかねない」とするのなら、そのビジネスは全てAlphabetが参入可能と言うことです。

しかし、大きな壁があります。それは世界を見渡せば、まだまだ技術的に後進的な企業が多い、ということです。

Alphabetのように革新的な技術、サービスを次々生み出す企業にとって、望むのは「黎明期」の派手な盛り上がりではありません。

盛り上がりだけでは安定した利益を生み出せないからです。目指すべきは広く実用化され、人々の生活に浸透し、提供する技術・サービスが「日常」になることでしょう。

人工知能(AI)もキーワードだけは古くからあります。しかしそれらは期待されていた反面、性能や価格の面から実用化に難があり、AI活用は人々の日常にはなりませんでした。

そしてそこから長い年月を経て、デバイスの進化、ネットワークの進化、アルゴリズムの開発など周辺環境が整ってきたことにより研究が進み、再び実用化が期待されています。

しかし「期待されている」ではダメなわけです。世界のごく一部で導入され、騒がれたところで実用化に至らなければそれは研究の域を出ません。

多くの企業が実用的なAIを開発し、広く普及することで今度こそAI活用が人々の日常となり、Alphabetの持つ技術が本来の評価を得て、膨大なワイドモートを築き上げるのではないでしょうか。

ワイドモート≒永続する会社≠値あがる銘柄

日常に浸透することで得られるワイドモートの例として、今広く利用されているMicrosoft社の「Windows OS」があります。

投資家にとっては非常に心強いMSFTの「強み」なわけですが、それ自体が世間的に騒がれているでしょうか。

脆弱性や大型アップデートがあれば多少ニュースにはなりますが、決して「WindowsOS」そのものが「期待される騒がれるトレンド」ということではありません。

それだけ人々の日常に馴染んでいるということですね。

Alphabetが目指すところもそこにあると思います。

モバイル向けOSである「Android OS」、コンテナ技術である「kubernetes」、AI開発のためのフレームワークである「TensorFlow」をオープンソースとして広く公開し、活用した世間の多くの企業…これはIT企業に限らず、あらゆる業界の企業が「テクノロジーフレンドリー」になることで、Alphabetの技術が圧倒的存在感を得る…今はそのための種まきをしているではないか、と感じています。

まとめ

私が推測するAlphabetの戦略をまとめます。

  • 資金のみならず、将来に投資可能な「データ」を収集している
  • データは多くのサービス、ビジネスにおいて強力な「武器」になる
  • 武器を使おうにも売ろうにも、世間の技術が足りず「戦場」がない
  • 革新的技術を無償で広めることで、戦場を作り出そうとしている

「武器」や「戦場」という表現がやや印象悪そうですので、「商品」「新興市場」と置き換えていただいても構いません。

私はGOOGLホルダーですので、パラダイムシフトが起きた時、覇権を握る一社になることを期待しています。

それでは今回はこの辺で。明日は大吉!


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記事の筆者ライナス@米株仮面は、ビザ株、マスターカード株、マイクロソフト株、アップル株、アルファベット株、ジョンソンエンドジョンソン株、ファイザー株、アムジェン株、アッヴィ株、コカコーラ株、P&G株、ブリティッシュアメリカンタバコ株、マクドナルド株、AT&T株、USバンコープ株、アメリカンステーツウォーター株、ユニオンパシフィック株を保有しています。

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