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米物流サービス銘柄比較:UPSとフェデックス

モトリーフール米国本社、2019年10月1日投稿記事より

米物流サービス大手のユナイテッド・パーセル・サービス(UPS、NYSE:UPS)とフェデックス(NYSE:FDX)は、一見したところ同様のサービスを展開しています。

両社とも国内外で小包や書類の宅配サービスを展開し、サプライチェーン、貨物輸送、ロジスティクスサービスを行っています。

しかし、両社の株のパフォーマンスは大きく異なります。両社の違いを詳しく見ましょう。

UPS

UPSは米資本財サービスセクター内で6番目に大きい企業であり、時価総額は約1000億ドル(約10兆8000億円)で、フェデックス(約370億ドル)の2.5倍以上の規模です。

UPSの主要ビジネスセグメントは、国内、海外、サプライチェーン・貨物輸送です。

2019年第2四半期(4~6月)と2018年第2四半期を比較した場合(下の表を参照)、国内セグメント売上は増加していますが、海外およびサプライチェーン・貨物輸送セグメント売上が落ち込んでいます。

このため、調整後1株当たり利益は、2018年第2四半期の1.94ドルに対して2019年第2四半期は1.96ドルとわずかしか増えていません。

ただ、全セグメントの営業利益率は前年同期比で上昇しており、全体としては堅調な業績となっています。

財務指標 2019年第2四半期 2018年第2四半期
米国内セグメント売上 115億5000万ドル 103億5400万ドル
米国内セグメント営業利益 12億800万ドル 9億3900万ドル
米国内営業利益率 10.8% 9.1%
海外セグメント売上 35億500万ドル 36億200万ドル
海外セグメント営業利益 6億6300万ドル 6億1800万ドル
海外営業利益率 18.9% 17.2%
サプライチェーン・貨物輸送セグメント売上 33億9300万ドル 35億ドル
サプライチェーン・貨物輸送セグメント営業利益 2億7200万ドル 2億1600万ドル
サプライチェーン・貨物輸送営業利益率 8% 6.2%

出典:UPSの決算資料

特筆すべきはUPSの海外セグメントの営業利益率で、18.9%に上昇しており、フェデックスが貿易摩擦および世界経済減速の悪影響に1年以上言及して苦闘しているのと対照的です。

増収率は減速しているものの、ロジスティクス関連に大規模な投資を行いつつ営業利益率を上昇させているのは見事でしょう。

さらに、22億ドルにおよび株主還元(5億ドル分の自社株買いと17億ドル分の配当)を行っており、堅実な企業と言えるでしょう。

フェデックス

UPSと異なり、フェデックスは国際エクスプレス便が全売上高の大半を占めます。

過去4年度間、国際エクスプレス便は一貫して成長してきました。

エクスプレス便小包の数量は2016年以降50%増となっていますが、1箱当たりの平均売上はこの間に19.70ドルから18.40ドルに減少しています。

数量の増加とリターンの低下は、オランダの物流企業TNTエクスプレス買収によるとみられます。

セグメント売上及び財務指標 2018年度 2019年度 2020年度

第1四半期(6~8月)

国際エクスプレス便 361億7000万ドル 373億3000万ドル 89億5000万ドル
地上宅配 184億ドル 205億2000万ドル 51億8000万ドル
貨物輸送 68億1000万ドル 75億8000万ドル 19億1000万ドル
サービス 2800万ドル 2200万ドル 400万ドル
その他 40億4000万ドル 42億4000万ドル 10億2000万ドル
全売上高 654億5000万ドル 696億9000万ドル 170億5000万ドル
営業費用 611億8000万ドル 652億3000万ドル 160億7000万ドル
純利益 45億7000万ドル 5億4000万ドル 7億5000万ドル
営業利益率 6.5% 6.5% 5.7%

出典:フェデックスの決算資料

フェデックスの地上宅配と貨物輸送の数量が増え、2019年度の売上高は過去最高となりました。

一方、国際エクスプレス便はフェデックスの事業の主体ではあるものの、TNTの欧州へのエクスポージャーにより、世界経済の影響を受けやすくなっています。

2019年度の売上高は過去最高の696億9000万ドルでしたが、38億ドルにおよぶ時価評価による退職年金の損失により純利益は5億4000万ドルに過ぎませんでした。

結論

9月30日の時点で、UPSの株価は年初来で23%上昇していて市場平均を上回っています。

一方、フェデックスの株価は11%下落しています。

予想配当利回りについても、UPSは3%超ですが、フェデックスは2%未満に過ぎません。

なお、フェデックスは2020年度の希薄化後EPS(1株当たり利益)ガイダンスを10~12ドルとしており、予想PERは12.0~12.5倍となっています。

UPSの希薄化後EPSガイダンスは7.45~7.70ドルで、予想PERは15.3~15.8倍です。

予想PERで見た場合UPSの方が割高で、一貫して株主価値を高めてきたことが評価されているでしょう。

しかし、UPSは全数量の5~8%がアマゾン向けなので、アマゾンが運送能力を増強していった場合、ビジネスを失う恐れがあります。

一方、フェデックスはアマゾンとの運送契約をかなり解消しているので、アマゾンに関するリスクはほとんどありません。

フェデックスの長期的な成長見通しを重視する場合、株主は短期的なボラティリティを乗り切る準備が必要です。

(米国株投資にご関心がある場合は、モトリーフールの下の記事をご参照ください。)

「米国株投資を始めるのに適した、国内のネット証券5社を比較」


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元記事の筆者Daniel Foelberは、フェデックス株を保有しています。モトリーフール社は、フェデックス株を保有し、そして推奨しています。

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