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10大バイオ株の優れた実績と見通し

モトリーフール米国本社、2019717日投稿記事より

長期的に市場リターンを上回る株式投資を考えているのであれば、バイオテクノロジー株は有望な分野とみられます。

100銘柄を超えるバイオ株で構成されているSPDR S&P Biotech ETF(NYSEMKT:XBI)は、過去10年間でS&P 500 Indexの約2倍のパフォーマンスをあげています。

大手バイオ企業は相当な利益を生み出し、複数の有力医薬品を扱っています。1

0大バイオ企業を合わせると、年間利益は500億ドル(約5兆4000億円)以上、年間売上高が2,000億ドル以上にもなります。

バイオ企業とは?

技術的に言えば、バイオ企業とは生物学的製剤を開発する会社です。

生物学的製剤は、化学的に合成された物質とは異なり、生物が生み出すたんぱく質などを医薬品として利用します。

生物学的製剤を開発するいかなる製薬企業も、バイオ企業と呼ぶことができます。

生物学的製剤は多くの病気の治療に非常に効果的であることが証明されているので、ほとんどの大手製薬会社の製品ラインナップには生物学的製剤が含まれています。

しかし、これらの大手製薬会社はバイオ企業と呼ばれていません。

例えば、ジョンソン&ジョンソン(NYSE:JNJ)は、2つのベストセラー医薬品であるRemicadeとStelaraを含む複数の生物学的製剤を販売しています。

しかし、ジョンソン&ジョンソンは通常、バイオ企業とは呼ばれていません。

同社は売上高の大部分を生物学的製剤以外から生み出すためです。

一方、ギリアド・サイエンシズ(NASDAQ:GILD)は通常、バイオ株として分類されています。

しかし、ギリアドはその売上高の大部分を生物学的製剤以外からあげています。

「バイオ企業」という言葉は、かつて大手製薬会社ではない小さな製薬会社を表すのによく使われてきており、かつて同社は比較的小さな製薬会社であったため、バイオ企業と引き続き呼ばれています。

ご覧のとおり、どの医薬品株がバイオ株で、どれがそうではないかを判別するのは容易ではありません。本稿のバイオ株ランキングでは、2つの基準を使用します。

まず、SPDR S&P Biotech ETFに含まれる株はすべてバイオ株としてカウントします。

第二に、同ETFが保有していなくても、その総売上高の半分以上を生物学的製剤から得ている大手製薬株は、バイオ株とみなします。

10大バイオ株の概要

本稿の10大バイオ株は、1世紀以上も前から営業しているヘルスケア大手企業から最近の数年で急速に成長した企業まで多岐にわたります。

これらのバイオ銘柄は、比較的一般的な炎症性疾患から遺伝性疾患まで、幅広い治療分野に焦点を当てています。

会社名 時価総額 予想PER 主な医薬品分野
ロシュ・ホールディングス (OTC:RHHBY) 2486億ドル N/A がん、希少疾患
ノボノルディスク(NYSE:NVO) 1229億ドル 18.5倍 がん、免疫関連
アムジエン (NASDAQ:AMGN) 1169億ドル 7.8倍 骨疾患、片頭痛
アッヴィ (NYSE:ABBV) 1107億ドル 7.7倍 がん、免疫関連
イーライリリー(NYSE:LLY) 1085億ドル 17倍 がん、糖尿病
ギリアド・サイエンシズ (NASDAQ:GILD) 797億ドル 9.0倍 がん、抗ウイルス薬
セルジーン (NASDAQ:CELG) 701億ドル 8.1倍 がん、免疫関連
バーテックス・ファーマシューティカルズ (NASDAQ:VRTX) 429億ドル 27.0倍 希少疾患
バイオジェン (NASDAQ:BIIB) 425億ドル 7.2倍 希少疾患
リジェネロン・ファーマシューティカルズ (NASDAQ:REGN) 300億ドル 10.9倍 眼疾患

出典:YAHOO! FINANCE。時価総額、予想PERは2019年9月27日時点

ロシュ・ホールディングス

スイスのロシュ・ホールディングスは、ジェネンテック社買収によりバイオ株のリーダーになりました。

2017年には、世界トップ10のベストセラー生物学的製剤のうち4つが同社によって販売されました。

しかし、類似薬(バイオシミラー)との競合に直面しているため、ブロックバスター(売上高10億ドル以上の薬)のいくつの売上は落ち込んでいます。

しかし、同社には売上が急増しているいくつかの生物学的製剤があります。

例えば、乳がん治療薬Perjeta、多発性硬化症治療薬Ocrevus、およびがん免疫療法のTecentriqなどです。

大型バイオ薬には、他分野への展開の可能性があります。

ロシュは既存の医薬品のいくつか、特にTecentriqの追加承認を得ることを期待しています。

Tecentriqのその他の分野への展開としては、炎症性疾患、および希少疾患の治療を目的としたいくつかの有望な新薬を含みます。

ノボノルディスク

デンマークのノボノルディスクは、強力な糖尿病関連医薬品が売上高の大部分を占めています。

同社製品には、TresibaやNovoRapidなどの最も売れているインスリン医薬品が含まれています。

最も急成長している製品は、2型糖尿病薬Ozempicで、2018年に発売された新薬のトップにランクされています。

同社は他のいくつかの分野でも成功を収めています。

肥満治療薬Saxendaは売上が伸びています。血友病薬および成長障害治療薬は、総売上高に大きく貢献しています。

ノボノルディスクも他分野へ展開しています。

Ozempicは糖尿病治療薬として評価されたのち、臨床試験で成長障害治療薬としての評価が進んでいます。

アムジエン

アムジエンは、現在7つのブロックバスターを抱えています。

しかし、このうち、白血球減少症治療薬Neulasta、貧血症治療薬Aranespを含む4つの医薬品の売上が落ち込んでいます。

しかしながら、骨粗しょう症治療薬Kyprolisの売上は急増しています。

骨髄腫薬のKyprolisが同社の次のブロックバスターとなる見込みです。

アムジエンがノバルティスと共同販売しているコレステロール薬Repatha、白血病薬Blincyto、片頭痛薬Aimovigにも大きな期待が寄せられています。

アムジエンは現在、開発の後期段階にある6つの薬を有しており、それぞれ有望とみられます。

そのうちの3つは、既存薬の改良です。もう1つは、実験的なアルツハイマー薬です。

アッヴィ

アッヴィは、抗リウマチ薬Humiraでバイオ企業と認められた大手製薬会社です。

2018年に、Humiraは世界で最も売れ行きのよい薬となり、アッヴィの総売上高の61%を占めました。

しかし、Humiraはヨーロッパで類似薬との競争に直面しているため、売上高は減少し始めています。

アッヴィには、Humiraの売上減少を相殺するための潜在的な製品がいくつかあります。

血液治療薬Imbruvicaはその一番手です。

また、アッヴィの抗がん剤は、2024年までに95億ドルの売り上げを上げ、今後5大ヒット商品の1つになると予測されています。

また、アッヴィには、2019年に発売された関節リウマチ治療薬Upadacitinibがあり、売上高65億ドルを達成できると考えられています。

さらに、アッヴィは、子宮筋腫の治療におけるOrilissaおよび他の種類のがんの治療におけるImbruvicaとVenclextaの追加承認を取得することを期待し、後期臨床試験を進めています。

イーライリリー

イーライリリーはバイオ株とは考えられていないかもしれません。

しかし、同社の総売上高の半分以上は、糖尿病、がん、免疫薬などの生物学的製剤から得られています。

そのため、このランキングで使用されている基準に従えば、バイオ株となります。

イーライリリーの新薬には、糖尿病治療薬Trulicity、インスリン製剤Basaglar、乳がん治療薬Verzenio、乾癬治療薬Taltzが含まれています。

これらの製品の売上を伸ばしたことで、同社はいくつかの古い医薬品の売上減少を補うことができました。

また、新しい片頭痛薬Emgalityは、イーライリリーの今後の売上高に大きく貢献するでしょう。

ギリアド・サイエンシズ

ギリアド・サイエンシズはHIV治療の先駆企業です。

バイオ薬に関しては、2018年時点で6つのブロックバスターHIV薬を持つマーケットリーダーです。

ギリアドの最新のHIV治療薬Biktarvyは、史上最も売れ行きのよいHIV治療薬になりそうです。

しかし、ギリアドはHIVに焦点を合わせているだけではありません。

同社のC型肝炎ウイルス薬は、年間売上高で数十億ドルを生み出し続けています。

しかし、その主要なライバルであるアッヴィの競争により、売上高は減少しています。

ギリアドはまた細胞療法におけるリーダーで、これは2017年にKite Pharma買収で獲得した薬Yescartaがあるためです。

後期開発段階にあるFilgotinibにより、ギリアドは免疫薬におけるリーダーの地位を獲得する可能性があります。同社はまた、HIVの発見前予防療法薬Descovyへの認可を求めています。

セルジーン

セルジーンの主力製品は血液がん治療薬Revlimidで、同社の総売上高の60%以上を占めています。

しかし、Revlimidは独占特許権切れで2022年から類似薬との競争に直面します。

それでも、Revlimidの他に、セルジーンはいくつかのブロックバスターを持っています。

多発性骨髄腫薬Pomalyst、免疫学薬Otezla、そしてがん治療薬Abraxaneなどです。

セルジーンの開発中の薬には、多発性硬化症治療薬Ozanimod、がん細胞治療薬bb2121とLiso-cel、血液疾患治療薬Luspatercept、および骨髄線維症治療薬Fedratinibを含む潜在的なブロックバスターが満載です。

なお、セルジーンはブリストル・マイヤーズ・スクイブ(NYSE:BMY)に約740億ドルで買収される予定で、買収計画は順調に進んでいます。

バーテックス・ファーマシューティカルズ

バーテックス・ファーマシューティカルズは、嚢胞性線維症、肺や他の臓器に深刻なダメージを与える可能性がある希少疾患に対する治療薬市場で大きなプレゼンスがあります。

現在承認されている、嚢胞性線維症関連の医薬品(Kalydeco、Orkambi、Symdeko)は、2018年に30億ドルを超える売上を達成しました。

バーテックスはまた、嚢胞性線維症以外の疾患への治療薬拡大を目指しています。

同社はCRISPRセラピューティクス(NASDAQ:CRSP)と共同で、希少疾患の血液障害であるベータサラセミアおよび鎌状赤血球症を標的とする遺伝子治療薬を開発しています。

バーテックスの開発予定薬には有望な鎮痛剤も含まれています。

バイオジェン

バイオジェンは、多発性硬化症薬分野で躍進したバイオ企業です。

しかし、同分野のインターフェロン療法薬のAvonexとPlegridyの売上は減少しています。

またTysabriは、バイオジェンが最初に開発しましたが、ロシュのOcrevusとの厳しい競争に直面しています。

バイオジェンの今後の最大の成長ドライバーは、脊髄性筋萎縮症薬のSpinrazaです。

しかし、ノバルティスの脊髄性筋萎縮症遺伝子治療薬Zolgensmaに対する米国食品医薬品局(FDA)の承認によってリスクにさらされる可能性があります。

バイオジェンは、Aducanumabを画期的なアルツハイマー病薬にすることを狙っていました。

しかし、Aducanumabは後期段階の臨床試験で失敗しました。

現在、バイオジェンには4つの後期臨床試験段階の開発候補が残っており、そのうちの1つはアルツハイマー病を標的としています。

リジェネロン・ファーマシューティカルズ

リジェネロン・ファーマシューティカルズの眼疾患治療薬Eyleaが、バイオ分野の初期の成功を牽引しました。

Eyleaは、リジェネロンの総売上高の60%以上を生み出し続けています。

サノフィ(NASDAQ:SNY)との提携により、リジェネロンに有力な薬がもたらされました。

湿疹薬Dupixentはこれまでのところ、同薬分野において最も成功しています。

がん免疫療法薬のLibtayoは、リジェネロンとサノフィの共同開発からブロックバスターになることが期待されています。

リジェネロンは、7つの後期開発段階の薬を保有しています。

このうち4つは既存薬をベースにして、新分野の治療にターゲットを当てています。

残りの3つは新薬候補で、リジェネロンがテバ・ファーマシューティカル(NYSE:TEVA)と共同で開発している有望な鎮痛薬Fasinumabが含まれています。

主要バイオ株のリスク

これら10大バイオ株のそれぞれがリスクに直面しています。

例えば、臨床試験失敗の可能性は常にあります。また、ほとんどの企業の製品は、すでに市場に出ている競合薬および将来的に新しい競合薬と競争することになります。

アッヴィ、セルジーン、ロシュなどのバイオ企業のいくつかは、すでに類似薬またはジェネリック薬品と競合しています。

米国のヘルスケア改革がこれらのバイオ株にダメージを与える可能性もあります。

米議会は処方薬の高コスト対策を検討しており、バイオ株の成長見通しに悪影響を及ぼす可能性があります。

ただし、10大バイオ株は、小型バイオ株ほどリスクが高くはありません。

主要バイオ企業はそれなりの収益基盤があります。

そして、新薬開発投資のため、または成長促進のための戦略的買収に向け豊富な資金を保有しています。

長期的には、これらの主要バイオ株はさらに大きく成長すると考えられます。

(米国株投資にご関心がある場合は、モトリーフールの下の記事をご参照ください。)

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元記事の筆者Keith Speightsは、アッヴィ株、セルジーン株、ギリアド・サイエンシズ株、SPDR S&P Biotech ETF、バーテックス・ファーマシューティカルズ株を保有しています。モトリーフール社は、バイオジェン株、セルジーン株、ギリアド・サイエンシズ株を保有し、そして推奨しています。モトリーフール社は、CRISPセラピューティクス株を保有しています。モトリーフール社は、アムジエン株、ジョンソン&ジョンソン株、ノボノルディスク株、バーテックス・ファーマシューティカルズ株を推奨しています。

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