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【米国株】リスクと分散の考え方。ケース別に見る「分散」の落とし穴

ポートフォリオを組むとき、「分散を効かせる」ことを意識しますよね。

そして分散を効かせる理由は「リスクを低減するため」と考えている方も多いと思います。

しかし、分散の仕方によってはリスク低減にならないことは覚えておくべきです。

そもそも「リスク」とは?

投資の勉強をしている方には耳タコかもしれませんが、話題によって「損する可能性」とか「値が取りうる幅」とか前提が変わったりします。

ここでは後者の「値が取りうる幅」を前提に話を進めます。

ただ、「リスク」の言葉の意味について言及する記事ではないので、わかりにくい場合は「損する可能性」で考えていただいても構いません。

「リスク」を確率でイメージする

分散によるリスク低減を考えたとき「分散対象」とその分散対象が取りうるリスク、つまり取りうる値幅を考えなければなりません。

例えば1つの銘柄を買い、その値幅について考えてみるとしましょう。

大体1年でも20%くらい値動きがある銘柄も多いので、何となく確率のイメージはこんな感じでしょうか。

私の場合、期待を込めてこんなイメージだった時もありました(笑)

これに対し、銘柄を増やすことでお互いの損益がおよそ平均化されていき、上記の図で言えば横軸の数字が小さくなり、±5%くらいまでマイルドになるのではないか…こうしてリスクを低減できるのではないか、ということがリスク分散のシンプルな考え方だと思います。

ちょうど下の図のようなイメージです。

ファット・テールを考慮すべき

イメージをわかりやすくするために正規分布のグラフを載せましたが、難しい統計は置いておいて、もっと感覚的な話をしましょう。

例えば、よく言われるS&P500の年率リターンを平均化して6~7%のリターンと考えた時、そこからバッファを見込んで考えると、中長期で年率3~10%くらいかな?と見込んだとしましょうか。

「いやいや、6~7%じゃ少し欲張りすぎ。3~4%と見込んで、ちょっとマイナスになる年もあればもっとプラスになる年もあるかもしれない、くらいがちょうどいい」と考え方もいるかもしれませんね。

いずれにせよ感覚的には「中長期で見た時、過去の実績の平均値±〇%に回帰する」と捉えていることになります。

特に最近投資デビューした方はややもすれば、○○ショックのように時々スゴイ数字が表れることを知りつつも、そうそう起こることではなく、概ね平均値に近い結果になるだろう…という楽観を抱きがちです。

しかし、市場にランダム性がある以上「未来の事は誰にも判らない」のが投資の世界ですから、平均値を信じても、中央値を信じても、確率的に起こりやすそうな部分だけを信じても、報われるとは限らないわけです。

ハワード・マークスは著書「投資で一番大切な20の教え」の中で、本来確率的に起こりにくい正規分布の両端(テール・イベント)が、投資家の心理、極端な行動により高確率で起きうる状態となる「ファット・テール」に警鐘を鳴らしています。

ケース別に見る「分散」の落とし穴

何が起こるかわからない未来、軽視しがちな「最悪の事態」にも備えるために投資対象を分散することでリスク低減を狙うわけですが、冒頭でも述べた通り「分散対象によっては必ずしもリスク低減に繋がるとは限らない」ことは意識すべきです。

これはつまり「よりリスクが高いものに分散すると、かえってリスクが上がる」と言うことです。

当たり前のことですが、「リスク」そのものが不透明なものであるため、重要であるにも関わらず案外難しかったりします。

いくつかの投資手法に対して、分散の考え方について例を挙げてみましょう。

インデックス投資(株式100%・国際分散)

インデックス投資の場合、NYダウかS&P500かで指標や銘柄組み入れ比率のルールが異なりますが、一先ずS&P500でも採用される時価総額加重平均で考えてみましょう。

この場合個別の銘柄比率は決まってくるので、株式における分散の対象でよくある選択肢は「国」になると思います。

米国オンリーか、国際分散か、という話が多いでしょうか。

イメージ的には国際分散の方が、分散が効く分「リスク低減」していることになります。

しかし、新興国は成長性が高い代わりに政治リスク、通貨リスクなどを孕んでおり、米国株より高いリスクを持っている可能性があります。

単純に数字の取りうる幅だけ見れば、米国一本よりリスクは増大しやすいと言えるでしょう。

また、全体的に世界分散株式よりも米国株式の方がリターンも高い傾向にあります。

それでも、国際分散はいつか来るかもしれない(現在十分すぎるほど期待が乗った)米国の衰退と、新興国の台頭に備え、単純な数字上のリスク以上の「わからない未来」に備えていると言えるでしょう。

実はライナスも少額ながら、つみたてNISAでは全世界株式の投信を保有しています。

個別株銘柄分散・セクター分散

次は個別株やセクター別ETFを用いた投資法です。

個別株の場合は管理面や分散対効果も考慮すると8銘柄~16銘柄が最適、という考え方もあります。

1つの銘柄(あるいはセクター)に集中投資していると、その銘柄やセクターがこけたとき危険なのでリスク低減のために複数銘柄に分散を…と考える方が多いと思います。

私も個別株投資家なので、概ねそんな感じです。

欲しい銘柄買っていたら増えていただけ、という方もいそうですけどね。

確かにセクターや銘柄ごとにリセッションを含めた景気循環で強弱があり、これを分散することである程度リスクをマイルドにできるかもしれません。

ポートフォリオを考えるときは「そういう部分」に目が行きがちです。

しかし、暴落時は何買っていても下がるわけです。

本当に「リスク低減」を考えるならやや弱いと言わざるを得ないでしょう。

私も17銘柄と多くの銘柄を保有している上にほぼフルインベンストメント、個人ブログでも株式ポートフォリオとそのリターンだけにフォーカスし、現金など他のアセットにフォーカスしていないので「銘柄分散のお陰でS&P500よりマイルドに」とか、直近で言えば「公益のお陰で下げにも強い」と言う感想を抱いていました。

しかし下げ相場で「この銘柄のお陰で助かった」みたいなことを言い出す時点で本当の「リスク低減」からは目を逸らしていることになりますね。

アセット分散

こちらはそもそも株式100%ではなく、株、債券、REIT、ゴールド、現金などアセットそのものを広く分散投資するケースです。

私はこれこそが本当のリスク低減のための分散だと思っています。

それぞれのアセットで値動きが異なるので、分散によるリスク低減効果は強いです。

現金もインフレ率などを考慮する必要がありますし、輸出入を行っている時点で為替の影響は避けられませんが、日常生活で見れば自国通貨の保有割合を調整することがリスクを低くする簡単な手段と言えます。

ゴールドも安定したリターンを得られるものではありませんが、価値は安定しています。

株式の市場平均に対する値動きの度合いをβ値(ベータ値)などと言います。

これも将来絶対であるとは言えませんが、俗に低リスク資産と呼ばれる債券などはβ値が低いです。

β値を参考にしながらリスク分散を図ると良いでしょう。

まとめ

個人的には、フルインベストメントの株式100%でリターンを追い求めておきながら、「銘柄分散でリスク低減!」を主張する姿勢にはやや矛盾を感じてしまいます。

ローリスクハイリターンと言う理想を追い求めたい気持ちはわかります(ここでの「リスク」は損する危険性と言う意味で)。

しかし些か短絡的と言うか、片手落ちと言うものです。

よく考えなければ、分散の結果リスクを増やす可能性さえあるわけです。

キャッシュポジションを厚くしたり、ゴールドに投資したりすると、リターンは期待できなくなります。

株式ならば得られたであろうリターンを得られないと考えれば機会損失です。

しかし儲かりもしないし、損もしない。それこそが本来の「リスク低減」なのです。

現在、自分がどれだけのリスクを取っているか。

取っている分散とリスク低減の方法が、自分が理想とするラインに収まるようリスク設計されているか。今一度見直していただきたいと思います。

その上で「問題なし」、あるいは「問題があろうとも許容する覚悟がある」と言えるのなら、相場と長く付き合っていけるでしょう。

最後に、リスク低減を狙って債券を持とうとも、ゴールドを持とうとも、それらが将来確実に「守りの資産」であるかは誰にもわからないということです。

いかなる分散を心掛けても、未来は不透明であるということはお忘れなく。未来をコミットできる人など誰一人としていないのです。

それでは今回はこの辺で。明日は大吉!


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記事の筆者ライナス@米株仮面は、ビザ株、マスターカード株、マイクロソフト株、アップル株、アルファベット株、ジョンソンエンドジョンソン株、ファイザー株、アムジェン株、アッヴィ株、コカコーラ株、P&G株、ブリティッシュアメリカンタバコ株、マクドナルド株、AT&T株、USバンコープ株、アメリカンステーツウォーター株、ユニオンパシフィック株を保有しています。

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