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ソフトバンクの私募ファンド「ビジョン・ファンド2」が持つ可能性を解説

ソフトバンクグループの孫正義社長は、大規模な私募ファンド「ソフトバンク ビジョン・ファンド2」を発足すると発表し波紋を呼んでいます。

今回は、「ソフトバンク ビジョン・ファンド2」について解説します。ファンドの目的や仕組み、そしてもう一つの私募ファンド「ソフトバンク ビジョン・ファンド」についても解説します

ソフトバンク ビジョン・ファンド2(SVF2)とは

「ソフトバンク ビジョン・ファンド2(SVF2)」とは、業界トップクラスのテクノロジー企業への投資を目的とした、ソフトバンクグループの私募ファンドです。

ソフトバンクグループが私募ファンドを設立するのはこれが初めてではありません。

既に同様のコンセプトで設立した「ソフトバンク ビジョン・ファンド(SVF)」が軌道に乗り、成功したのを受けてSVF2に繋がったのです。

ソフトバンク以外の投資者には、アップルやマイクロソフトといった名だたる国際企業の他に、みずほ銀行や三井住友銀行などの国内メガバンクがずらりと並んでいます。

発表日である2019年7月26日時点で、出資予定額は総額1080億ドルに到達。このファンドがどれだけ注目を集めているのか物語っています。

2019年8月時点ではファンドはまだスタートしていません。

しかし、ソフトバンクグループの孫正義社長は2、3ヵ月以内に投資を開始すると発表しているため、非常に注目が集まっています。

SVF2の目的

SVF2の目的はテクノロジー分野に投資をして、現状のAI革命の波を更に増して、世界を豊にすることです。

SVFの投資先を分析すると、オンライン金融やタクシーの配車アプリ、オンライン食料品配送サービスなど、インターネットを活用してライフスタイルを変化させるサービスを中心に投資をしています。

SVFの投資先は多岐に渡っており、投資した80社以上のAI関連企業はほとんどが外国の企業です。

投資リターンが年間45%に達していることからも、ファンドの分析能力は優秀であると言えます。

孫正義社長の意気込みは強く、5月に行われた決算会見では、「ビジョンファンドに対する情熱が私の情熱の97%」と力強く言い放ちました。

ファンドの仕組み

本来ならSVF2の組成などを解説したいところですが、現時点ではまだ組成が完了しておらず、SVF2の仕組みは不透明な部分が多いです。

そこで、本記事ではSVFの仕組みを解説しながら、SVF2に迫りたいと考えます。

SVFの大口投資家はソフトバンクグループと外部投資家

SVFは一般的な投資ファンドと違い、クローズされたファンドになります。

2017年にスタートし、投資家の大規模な初回クロージング(募集)を完了すると最終クロージングを半年以内に終了すると告知。

ファンドの投資期間を5年、存続期間を最低12年と設定しました。

ファンドの仕組み自体はそれほど複雑ではありません。

投資家がファンドに出資した資金をGPと呼ばれる会社が責任を持って運営。

投資先を選定し、資金を回収すると投資家や外部の第三者に分配・返金をします。

SVFの場合は大口投資家がソフトバンクグループの他に、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマーン副皇太子らが発足したファンドが居ることから、話題になりました。

SVF2には日本のメガバンクが参加

現時点で最大の出資者はソフトバンクグループです。

続いてSVFにも投資しているアップルや台湾の鴻海精密工業の他に、今回マイクロソフトが初めて参加を表明したのは大きな話題を集めました。

そして、SVF2にはみずほ銀行や三井住友銀行、UFJ銀行といった3大メガバンクの他に、第一生命保険や三井住友信託銀行、SMBC日興証券など国内の有力金融機関が揃っています。

やはり、SVFが高い運用成績を上げているのを受けて、国内の金融機関も興味を示したのです。

ソフトバンクグループがSVFを発足するメリット

SVFの目的意義はともかくとして、ソフトバンクグループがSVFを発足するには経済的なメリットがあります。

ソフトバンクグループはSVFにとって大口投資家であると同時に、運営会社の親会社にあたります。

SVFが利益を上げれば分配金がソフトバンクグループに入るだけでなく、SVFの業績はソフトバンクグループの連結対象になります。

ファンド全体が連結対象になっているのが、SVFの大きな特徴と言えます。

例えば、SVFが1000万円の投資をしたとします。

投資先が好調だったため、資金は2200万円となって戻ってきた場合の投資損益はプラス1200万円です。

このうち、ファンドの運営費用や管理報酬、成功報酬を差し引くと、700万円が投資家に分配金として入ります。

ソフトバンクグループと他の投資家との分配金の割合は出資した金額や報酬の貰い方で変わりますが、今回は1対1とします。

その場合、ソフトバンクグループに入る分配金は350万円となります。

しかし、ソフトバンクグループはSVFを連結対象にしているため、SVFに入る管理報酬や成果報酬も利益として計上できます。

つまり、ソフトバンクグループはSVFの大口投資家であると同時に運営会社であるため、多くの利益を得る可能性があります。

事実として、SVFが発足してからソフトバンクグループの株価は安定して上昇しています。

2018年末の世界同時株安で大きく値を下げましたが、僅か一カ月で株価を持ち直し、今も上昇傾向にあるのはSVFが好調なおかげだと言えるかもしれません。

SVF2の懸念材料

先に始まったSVFは好調な成績を残し、出資者として世界的な企業や日本の金融機関が名を連ね、SVF以上の資金が集まると予想されるSVF2ですが、全てが順調だとは言えません。

そもそも、好調なSVFがあるのに新しいファンドを立ち上げることになったのかというと、SVFの投資資金が底をつきそうな結果となっているからです。

SVFはサウジアラビアから450億ドル、アブダビから150億ドルと中東から大量の資金を集め、総額930億ドル(約10兆円)の投資資金がありました。

この投資資金を5年かけて運用する予定でしたが、予定よりも早いペースで投資が進み、今期から来期には投資資金が無くなってしまう事態となっています。

そのため、新しい出資者を探していたのでしたが、孫正義社長は新しいファンドの設立に方針を変えたのです。

その新しいファンドにSVFの大口投資家であるサウジアラビアとアブダビが参加するかどうかは未定です。

というのも、幾つかの懸念材料があるからです。

SVFの好調な成績は真実なのか

SVFの年間投資リターンは45%とされています。

このリターンは一般的なベンチャーキャピタルと比べれば2倍以上の成績で、優秀な結果だと言えます。

日本の金融機関が参加したくなるのも理解できます。

しかし、この数字はソフトバンクグループが独自に算定した書類上の数字に過ぎません。

私募ファンドであるSVFは市場とは無縁となっているため、株式市場の投資家や買い手の意志や戦略が反映されにくくなります。

SVFの好調な成績は、果たして本当なのか疑問の残る余地があります。

SVFの資金が底をついたという事実

SVFの資金が底をつくという状況は投資を受ける側にとっても不安要素となっています。

昨今のマーケットは、圧倒的な資金で市場を制圧した者が勝者となります。

ライバル企業の進出を阻むためにも、投資を受ける企業はSVFの資金を当てにしていましたが、ファンドの資金が底をつくとなれば、投資を断わり別のファンドから投資を受ける可能性が出てきます。

SVFで資金が底をついてしまったから、SVF2でも同様の事が起きるのではないかという懸念から投資先が見つからないというのも十分考えられます。

サウジアラビアの人権侵害

倫理観の面からもSVFには批判的な声が寄せられています。

大口投資家であるサウジアラビアの王族らには2018年10月にジャーナリストが行方不明になった事件に関与したとして、トルコ政府から批判を受けました。

他にも女性の権利活動家の拘束や公開処刑、非人道的な刑罰などがあったことから、サウジアラビアの人権侵害が問題となっています。

SVFの投資先であるIT分野やシリコンバレーの人々は、人権侵害などの問題に対して深い関心を抱いています。

人権侵害をおこなっている国が大口投資家となっているファンドから融資を受けることの倫理的な問題として議論を呼んだのです。

SVF2でサウジアラビアらの出資は確定していませんが、協議は継続しているとの発表がありました。

参加すればSVF2の投資資金が底をつく心配は少なりますが、倫理問題が浮上するかもしれません。

個人投資家への影響

SVF2は私募ファンドのため、一般的な個人投資家が参加できる余地はほとんどありません。

しかし、SVF2が個人投資家に与える影響は大きいです。というのも、ソフトバンクグループの時価総額は国内だとトヨタ、NTTに次いで3位。

仮にソフトバンクグループがSVF2を失敗して株価に大きな影響を与えれば、連動して日本経済に大きなダメージを与える可能性は十分に考えられます。

一方でSVF2が好調な成績を出せれば、SVFの時と同様に株価が安定して上昇する可能性もあります。

SVF2を購入して分配金を得るのは難しいですが、SVF2が好調なのか不調なのかで、経済が動くことは間違いありません。

自分とは無関係とは思わずにチェックしましょう。

まとめ

以上が、SVF2に関する解説になります。

SVF2は私募ファンドですが、規模の大きさから経済に大きな影響を与えます。

また、SVF2の投資先は将来性のある企業の可能性が高いため、投資先として研究するのもおもしろいです。


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記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。

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