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割安株投資は死んだのか?

ここ10年くらい、いわゆる割安投資が、米国でも日本でもあまり効かない状況が続いています。

それはなぜなのかを考えてみたいと思います。

割安を計る方法として、PBR(株価純資産倍率)やPER(株価収益倍率)、あるいは配当利回りとか様々な指標が使われます。

一般的にはPBRとかPERが低い、というのが使われます。

ある会社のPER、PBRは大きく変質することは少なく、ある一定範囲内で動くだろうとの前提があります。

そして、平均からズレた状況を割安とか割高と表現します。

PBR、PERで、株価以外の変数は、PBRの場合は資本、PERの場合は収益です。

資本にしても収益にしても、四半期に一度アップデートされるものです。株価は毎日変動する変数です。

そのため、割安・割高に影響する最大の要因は株価です。

株価が買われ過ぎれば割高になり、売られ過ぎれば割安になります。それをPERやPBRの動きで判断します。

このように見ていくと、割安株投資は市場が悪い時には下値抵抗力がありそうに見えるので、選好されやすい。

確かに景気が比較的落ち着いた成長をしている時には、出遅れた割安株が、物色の循環で上がることも大きくなるかと思います。

また、割安株投資では、当該指標(PERとかPBRとか配当利回りとか)の過去の動きと比較して割安度を判断することが多いので、対象となる企業は、比較的長期のヒストリーを持っていることが条件になります。

成長株投資は、成長性が重視されることもあり、新技術や新しいビジネスモデルなどの収益の成長性の高いものが投資対象になります。

最先端技術やその周辺のビジネスにお金が集まります。

全てではないものの、成長株投資の中心の投資先は、新しい技術やビジネスモデルなどが多く生み出されている分野になり、景気のサイクルの影響ももちろん受けますが、むしろトレンドにより影響されやすいと考えられます。

大きなトレンドの転換点では、確かに成長株投資から割安株投資有利に転換しています。それが今後あるかどうかがポイントになります。

過去10年の状況を思い出していただければお分かりになると思いますが、日本でもアメリカでも成長株投資の方が、パフォーマンスが良かった。

こんなに長期にわたって成長株の方がずっと良いということは過去にはあまりありませんでした。(下の表は、アメリカ株)

9月 年初来 3年 5年 10年
Russell1000Growth 1.53% 25.16% 17.28% 13.36% 15.56%
Russell1000Value 2.01% 16.04% 8.55% 6.95% 11.81%

9月6日時点。3年・5年・10年は年率

リーマンショックで、世界中の中央銀行が金融緩和でマネーを大量に放出して、経済・市場を支えました。

そしてその際に支えを受けて、経済は成長し、AIや自動運転、5Gなど、新たな革新的技術が経済、株式市場を牽引しています。

こうした大きな成長期待の持てる企業は大量の資金を集めています。これが成長株投資への追い風の一つになりました。

10年にわたって成長株投資が好調な理由の構造的要因は、あふれかえるマネーの存在です。

この状況を過剰流動性とも言います。世界中の金利が低下し、大量のマネーが利回りを求めて、世界中の債券市場に流れこみ、債券バブルともいわれる状況を作り出しました。

更に、マイナス金利が蔓延してしまうと、株式市場にもそのマネーは流れ込んでいます。

その大量のマネーがインデックスファンドやスマートベータと呼ばれる投資などに大量に流れ込みました。

良い企業も悪い企業も同様に買われてしまいます。

また、わずかに残収益チャンスを大量のマネーが一気に流れ込んで、消化してしまう。

割安ということで取れるリターンもほとんどなくなってしまいました。

こうした状況がずっと続くのでしょうか?

いずれ、成長株投資より割安株投資がより効果的になる状況が来るとは思います。それはいつ起きるのか?

市場のトレンドの大きな転換点が来た時です。市場を牽引する成長株の成長に陰りはいずれ来るでしょう。

ただ、それで簡単にトレンドが大きく変わるかは疑問です。

過剰流動性の状況で、世界中にマイナス金利を含む超低金利の状況が続いているので、債券に逃げるということもあまりできません。

行くところがないので、少し下がってもまたマネーは戻ってきます。大きな下落が当面は想定しづらい。

成長株も簡単ではないですが、概ね成長株投資優位が続くのではないかと思われます。

気を付けていただきたいのは、成長株優位の市場でも、割安株投資でうまくいくケースはもちろん沢山あります。

ただ、全体としては、割安株投資に厳しい状況は続くと考えられます。

投資で最も気を付けなければならない言葉、「今回は違う」を使いたくありませんが、超低金利の状況は、投資の世界を歪めていることも間違いないです。

そもそも割安株投資は、かなり幅広い知識や経験・忍耐力も必要ですし、深いリサーチも必要です。

印象と違って初心者向けの投資法ではないのです。

「なんちゃって割安投資」は、トルピード(Torpede 水雷)をつかみやすい。

安いものには安いなりの理由があり、水面上に浮上しないまま爆発する水雷のようなものというケースも多いことも忘れてはいけません。


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記事は、一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。
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